【産婦人科医監修】妊婦は蟹を食べてもよい?正しい食べ方と注意点

【産婦人科医監修】妊婦は蟹を食べてもよい?正しい食べ方と注意点

2022.05.05

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杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠中はどのような食べ物を食べてもよいのか、心配になることが多いですよね。妊娠中に蟹を食べてもよいのか、気になったことがある人もいるかもしれません。今回は蟹を食べるときの注意点や気をつけたいことをまとめました。また、妊娠中に蟹を食べたことがあるママのエピソードも紹介します。

妊娠中に蟹は食べてもよい?

妊娠中に蟹を食べてもよいのか、心配になったことがある人もいるかもしれません。結論から言うと、妊娠中に蟹を食べることに問題はなく、機会があれば食べても大丈夫です。

むしろ蟹にはたんぱく質、各種ビタミン・ミネラルなど大切な栄養素が豊富に含まれているため、妊娠中の栄養補給には優れています。ただし、妊娠中に蟹を食べるうえで知っておきたいポイントもあるので、具体的に紹介していきます。

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※写真はイメージ(iStock.com/whitebalance.oatt)

出典:第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版)/文部科学省

知っておきたいポイント

生食によるリステリア菌への感染

生の魚介類にはリステリア菌が含まれている場合があり、免疫が低下しているときに摂取すると、感染してしまう恐れがあります。リステリア菌は胎盤や胎児へ感染し、胎児に奇形を引き起こしたという報告はありませんが、流産に至ってしまうことがあります。妊娠中は、蟹に限らず生の魚介類の摂取は避けましょう。


出典:リステリアによる食中毒/厚生労働省


水銀の摂取

蟹には妊娠中に接種を控えるようにいわれる水銀が含まれているため、蟹を食べてはいけないと誤解する人がいるかもしれません。しかし、蟹を少量かつ数回食べたくらいでは、問題にされる水銀の量には達しません。

厚生労働省では水銀含有量が多いメカジキ、ミナミマグロ、金目鯛などの魚は食べる量を調節するように呼びかけていますが、この中に蟹は含まれていません。


出典:食品の安全に関するQ&A/厚生労働省


カドミウムの摂取

蟹味噌など甲殻類の内臓には、カドミウムが蓄積されやすいことが分かっています。カドミウムは長期間にわたり大量に摂取すると人体に害を及ぼすと分かっていますが、土壌や海中に広く存在している物質のため、わたしたちは普段から米や野菜、肉や魚など多くの食品から摂取をしています。

妊娠中においても普段の食事で摂取する程度であれば気にする必要はありませんが、長期にわたり大量の摂取をすると、赤ちゃんに影響を与える可能性も考えられます。まだ医学的に解明はされていませんが、もしも妊娠中に蟹味噌を食べる場合は、少量をたまに楽しむ程度にしておくと安心でしょう。


出典:食品中のカドミウムに関する情報/農林水産省


胎児への甲殻類アレルギーの懸念

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※写真はイメージ(iStock.com/ozgurcankaya)

ママが妊娠中に蟹を食べることで、赤ちゃんが甲殻類アレルギーを発症することを不安に思う人もいるかもしれません。しかし、医学的には妊娠中のママが特定の食品を除去したからといって、赤ちゃんの食品アレルギーを予防できるという証明はされていないので、アレルギーの観点を気にする必要はないでしょう。


出典:ママのための食事BOOK/厚生労働省


食中毒対策

妊娠中は免疫が低下しているため、普段よりも食中毒にかかるリスクが高くなっています。蟹に限らず、調理をする際には食中毒対策を改めて徹底しましょう。

<食中毒対策リスト>


  • 買ってきた食材は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる
  • すぐに食べないときは冷凍保存を積極的に活用する
  • 調理中はこまめに手を洗う
  • 生野菜や果物は調理前に流水でよく洗う
  • 生の魚介類を料理する際に使った調理器具は、使い終わったら洗剤でよく洗う。できれば熱湯をかけて消毒する
  • タオルや布巾は常に清潔なものを使う
  • 肉や魚介類は中心まで十分に加熱する
  • 食材は消費期限内に食べる。開封後は期限に関わらず早めに食べきる
  • 調理したものは鍋や皿にそのまま放置せずに、冷蔵庫で保存する
  • 残ったものを温めなおすときも、十分に加熱をする

出典:これからママになるあなたへ 食べ物について知っておいてほしいこと//厚生労働省

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※写真はイメージ(iStock.com/PeopleImages)

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妊婦さんにオススメな食べ方

前述のとおり、妊娠中に蟹を食べる場合は生ではなく、しっかりと加熱をしてから食べましょう。妊婦さんに特におすすめの食べ方はカニ鍋です。鍋料理には身体をあたためる効果があり、さまざまな野菜や豆腐など一度に多くの食品が摂れるので、栄養補給にも適しています。調理が簡単なので、体力が落ちているときにもよいでしょう。

妊娠中に蟹を食べた人のエピソード

妊娠中に蟹を食べたことがあるママから、話を聞きました。

30代女性
30代女性

妊娠中に夫と居酒屋に行くことが何度かありました。私は蟹が大好きなので、焼き蟹や茹で蟹をノンアルコールビールとともに食べました。お刺身の蟹もあったので食べたいなと思いましたが、妊娠中の生食は怖いので諦めました

30代女性
30代女性

お正月に実家に行ったときに、茹でた毛蟹が出されました。その時は久しぶりに蟹味噌も食べてとても美味しかったことを覚えています。蟹は高価なので、あまり頻繁には食べられないので、妊娠中に食べたのはその一回だけだったと思います

注意点を守って蟹を楽しもう

妊娠中に蟹を食べてもよいのか、蟹に含まれている物質や食中毒、アレルギーなどさまざまな観点から見てみました。衛生面に配慮しながらしっかりと加熱をして、適切な量をたまに食べる分には問題ないでしょう。

ただ、蟹が新鮮ではなかったり、自分自身の体調が優れないときなど、懸念があるのであれば、やめておいたほうがよいかもしれません。食べたいと感じたときに適量を食べてストレスを発散する程度にとどめておくと安心ですね。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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