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【産婦人科医監修】正期産とは。臨月との違いや気をつけること
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田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
正期産とは、ママや赤ちゃんにリスクが少ない時期の出産を指します。正期産のために日常生活で気を付けること、臨月との違い、正期産を過ぎても生まれない場合のこと、先輩ママの体験談をまとめました。
正期産とは
正期産とは、妊娠37週0日〜41週6日目までの出産のことを言います。
似た言葉の正産期は医学用語ではありませんが、一般的にこの妊娠37週0日~41週6日の期間を指します。
一般的に、この期間の出産は母子ともにリスクが低いため目標となる分娩時期とされています。この時期に生まれた赤ちゃんは、その後の発育に支障がない状態にまで育っているとされています。
妊娠22週0日から妊娠36週6日までに出産した場合は「早産」、妊娠42週以降の出産は「過期産」と呼ばれます。
早産では、長期間の新生児集中治療室での治療が必要となるケースがあり、生まれる時期が早いほど合併症や重い障害、生命に関わる問題などが発生する可能性が高くなります。
また、妊娠高血圧症候群、胎盤が子宮の出口をふさぐ前置胎盤、出産の前に胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離、胎児機能不全などを発症し、子宮内で赤ちゃんが生きられなくなるリスクが認められると、人為的に早産とすることもあります。
妊娠22週以降37週未満の時期に、早産に至る可能性が高く切迫した状態になると「切迫早産」と呼ぶことも。
お腹のはりや痛みを伴う子宮収縮が頻発するなど、子宮口が開いて赤ちゃんが出てきそうな状態のことを言い、破水してしまうこともあります。
破水して羊水が出続ければ陣痛が起きたり、羊水の量が減ることで赤ちゃんが圧迫されたりといったことが問題となるでしょう。
また、妊娠22週未満の妊娠の停止は「流産」と呼ばれ、早産とは区別されます。
正期産は「臨月」と同じ?
臨月と正期産について、同じ意味なのか気になるママもいるのではないでしょうか。2つは似ている表現ですが同じではありません。
一般的に「臨月」は、出産予定日(40周0日)1カ月前の、36週0日から39週6日までのことを言います。
いつ出産してもおかしくない時期となり、臨月に入るとこれまで2週間に1回だった妊婦健診が1週間に1回に変わります。
37週0日から41週6日までの間に生まれることを「正期産」というので、臨月とは異なることを事前に知っておきましょう。
正期産のために日常生活で気を付けること
外出や服装など、正期産の時期を過ごすポイントについてご紹介します。
しっかり妊婦健診に通う
妊婦健診をきちんと受診し、先生や助産師さんの指導に従うことは、正期産を目指すためにとても大切でしょう。
特に、これまでの妊娠で早産になったことのある方、子宮頸がんや異形成が見つかり子宮頸部を切り取る手術を受けた方、双子や三つ子などの多胎妊娠、腟内の感染のひとつである細菌性腟症の方は、より早産になりやすいと 言われています。
定期的な超音波検査で、早産になる可能性がないか注意深く検査してもらうようにしましょう。
無理をしない
早産の予防のためには、日頃から無理のない生活を心がけることが大切です。
妊娠中は疲れやすい状態にあるため、疲れを感じた時は日中でも横になり、昼寝をして休息しましょう。
また、家事や散歩、ストレッチ、マタニティヨガなど適度な運動は、気分転換や体重コントロールになってよいですが、無理をせず少しずつ続けるようにしてお腹が張っている際は控えるとよいかもしれません。
妊婦さんの体調が良ければセックスをすることも問題ないですが、お腹が大きい時期には圧迫しない体位で、負担がかからないよう配慮する必要があります。
妊娠中は免疫力も低下しているため必ずコンドームを使い、お腹の張りを感じたり、気分が悪くなったりした時はすぐに中断しましょう。万が一お腹の張りが治まらなかったり、出血する場合は必ず受診してください。
体を締め付けない楽な服装をする
妊娠中は、ゆったりしていて体を締めつけない服装を選びましょう。乳腺も発達してくるため、ブラジャーなどの下着もワイヤーのないものに変えるのがおすすめです。
着脱が簡単なもの、汗をよく吸収して保温性が高く冷えを防いでくれるもの、洗濯がしやすいもの、靴はかかとが低く安定したものを選んだというママの声もありました。
また、妊娠5カ月の時期にはかなりお腹が大きくなります。安産を願う「戌の日」の儀式で腹帯やマタニティガードルを装着する際は、お腹を圧迫することなくしっかり支えるものを選ぶとよいでしょう。
車の運転や旅行に注意する
妊娠中は、ホルモンの影響で注意力が散漫になります。
通り慣れた道でも運転中は集中力が必要となるため、自分の体調に合わせて十分注意しながら運転しましょう。切迫早産の危険があるときには、運転は控えてください。
また、夫婦2人だけの最後の時間を楽しむために、妊娠中に旅行を計画する方は多いかもしれません。
妊娠中の旅行の計画は、ゆったりとしたスケジュールが組める国内を選び、妊娠5〜7カ月の妊娠安定期に行くようにしましょう。
移動の際はこまめに休憩を取り、旅行先で病院を受診する可能性を考えて母子健康手帳と健康保険証を必ず持参しましょう。
薬の服用、飲酒、喫煙を管理する
妊娠中に薬やサプリメントなどを服用したい場合は自己判断で安易に飲まず、かかりつけの医師に確認の上、妊娠中に服用しても赤ちゃんに問題ないか確認するようにしましょう。
また、妊娠中の飲酒や喫煙は、胎児性アルコール症候群や、出生時の低体重、早期破水、早産、胎盤異常、異所性妊娠(子宮外妊娠)、自然流産などさまざまな悪い影響が出る可能性があります。
妊娠前の習慣でなかなかやめることが難しい場合もあるかもしれませんが、赤ちゃんや自分、家族のことを想って絶対に避けましょう。
正産期を過ぎたらどうなるか
正産期を過ぎたのに産まれる気配がない場合はどうなるのでしょうか。その際の赤ちゃんの状態や、病院での一般的な対応についてご紹介します。
分娩誘発をする
出産予定日は通常、妊娠40週0日に設定されていますが、なかなか陣痛がこないママたちは少なくないようです。
特に初産婦さんの場合、子宮の出口が柔らかく開きやすくなる「熟化」が起こりにく
くなることもあり、予定日を超えることは珍しくないでしょう。
また、妊娠41週のうちでは、陣痛が来るのを待つか「分娩誘発」をするか個別判断になることもあります。
分娩誘発は、陣痛促進剤を点滴する方法になりますが、これを行うにはある程度子宮口が熟化していることが条件となります。
妊婦健診の間隔が短くなる
妊娠42週を超える過期産となると、赤ちゃんとママにかかるリスクが上昇し、トラブルが増えてくると言われています。
胎盤は徐々に機能が衰えるので、羊水や赤ちゃんの細かなチェックを行うために、週2回以上のペースなど健診間隔を短くする必要があるかもしれません。
巨大児になるリスクがある
過期産の出産は、出生体重が4000g以上の巨大児が生まれる原因となることがあります。
そのほかにも巨大児となる原因はさまざまで、母体が糖尿病を合併している場合や、母体の肥満などがリスクとなることも。
また、赤ちゃんが大きすぎると分娩時間が長くなりやすく、分娩を進めるうえでの問題も生じやすくなります。妊婦健診の際に帝王切開を提案されたり、いざお産が始まってから途中で帝王切開に切りかわることもあるため、事前に理解しておきましょう。
先輩ママの体験談
子ども二人とも正期産でした。日常で気を付けていたのは、とにかく体を冷やさないことです。
夏の出産はクーラーや汗で体が冷えがちなので、靴下を必ず履くことや上着を持ち歩くことなどをお医者さんに勧められて実行していました
正期産で出産しました。適度な運動に加え、長男のときはまわりに勧められてぞうきんがけなども真面目にやっていました。
次男のときは適当になってしまい、あまり気を付けていたことはないですが、下半身、特に足首を冷やさないように気をつけていました
妊婦健診を必ず受け、無理せず過ごして
無事に正期産で出産を迎えるには、妊娠中の定期的な健診を必ず受け、早産になりやすい状況の早期診断や予防が大切になるでしょう。
もし、正産期を過ぎている場合も焦らずに、分娩誘発や帝王切開という選択肢があることを事前に心しておくとよいかもしれません。
日常生活でも無理をしないようにして、何か問題がある場合はひとりで抱え込まずに、パパなど家族、かかりつけの医師、助産師さんの力を借りながら過ごすよう心がけましょう。
これから産まれてくる赤ちゃんのことを思いながら、自分らしく穏やかな正期産での出産になるとよいですね。
監修:杉山太朗
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
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私は、一人目が逆子でさらに卵巣嚢腫があったために帝王切開で出産しました。二人目、三人目は自然分娩で出産し、ほぼ正期産でした。
ただ問題だったのが、三人目となると、いろんなことをわかっている気になり、破水してからも家の片づけと食器洗いをして、上の二人のことを色々やってしまいました。
その結果、病院に向かう予定で外に出た途端、意識がとび「羊水塞栓症」という血液に羊水が流れ込む症状を起こし、大量出血で意識不明になり集中治療室に入りました。
明確な原因はわからないとのことでしたが、帝王切開ののちに自然分娩ができたこともあり、体力に自信もあったので自分の体を甘く見ていたと思います。
いくら経産婦とはいえ出産で亡くなる方もいた時代を考えると出産を控えているママたちにはとにかく気を付けてほしいな、といつも思っています