【産婦人科医監修】妊娠中は豆乳を飲んでも大丈夫?栄養価や妊婦が飲むことによる効果、目安量など

【産婦人科医監修】妊娠中は豆乳を飲んでも大丈夫?栄養価や妊婦が飲むことによる効果、目安量など

妊娠中は栄養バランスを考え飲みすぎに注意しよう!

2020.03.10

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杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

大豆製品の中でも特に人気の高い豆乳。女性ホルモンと同じような働きをする栄養素が含まれていることもあり、妊婦さんの中には積極的に取り入れている方もいるのではないでしょうか。しかし、そもそも妊婦さんは豆乳を飲んでもよいのか。今回は、産婦人科医監修の下豆乳の栄養価や飲むことで得られる効果、注意点、摂取量の目安など解説します。

妊娠中に豆乳を飲んでも大丈夫?

豆乳
margouillat photo/Shutterstock.com

妊娠中は赤ちゃんのために体によい食品をたくさん摂りたいと思うことでしょう。豆乳は植物性たんぱく質が豊富で栄養価が高くヘルシーな飲み物と考え、毎日飲んでいる妊婦さんもいるかもしれません。

豆乳は妊娠中に飲んでもよい飲料です。医師から指示されていなければ、妊娠初期、妊娠中期、そして妊娠末期まで飲むことができます。

豆乳はどんな飲み物?

豆乳は大豆をすりつぶし、水を加えて煮詰め、繊維を取り除いた液状の飲み物です。豆腐、味噌、おからなど、私たちの生活には欠かせない大豆製品になります。

豆乳の原料となる大豆の栄養成分には、植物性たんぱく質や鉄分、カルシウムが多く含まれているので、妊娠中の食事にバランスよく取り入れたい食品のひとつです。


豆乳に含まれる栄養成分

  • 大豆たんぱく質
  • ビタミンB群
  • レシチン
  • 大豆イソフラボン
  • 脂質(不飽和脂肪酸)
  • カリウム
  • マグネシウム
  • 亜鉛
  • 葉酸など

葉酸をはじめ、赤ちゃんの発育に必要なカルシウム、貧血を予防する鉄分、むくみ予防に効果的なカリウムなど、豆乳には妊婦さんの体にとって必要な成分がたっぷり含まれています。

また、オリゴ糖が含まれているので便秘予防にも効果的でしょう。

まろやかな味わいのため、満腹感を得やすい妊婦さんもいるかもしれません。つわりの症状がつらく、食べ物がのどを通らないときには水分と栄養補給を兼ねて、豆乳を飲むのもよいでしょう。


大豆イソフラボンの効果

豆乳には、大豆イソフラボンが豊富に含まれています。大豆イソフラボンは、植物エストロゲンとも呼ばれています。女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)に似た働きをします。

一部では、大豆イソフラボンがエストロゲンに似た働きをすることから、高温期に飲むと影響があると言われ妊娠中は豆乳を控えた方がよいと言われていますが、妊娠中や授乳中の豆乳摂取による健康被害は報告されていません。

過剰に摂取しなければ、大豆イソフラボンを含む飲料・食品などの大豆製品が赤ちゃんや妊婦さんの体に影響を与えることはありません。

豆乳の種類

豆乳には、無調整豆乳、調整豆乳、豆乳飲料の3つの種類があります。それぞれの特長と妊娠中はどの豆乳を選んだらよいのかを詳しく見ていきましょう。


無調整豆乳

大豆と水だけでできている飲料です。大豆固形分が8%以上(大豆タンパク質換算3.8%以上)あるものを無調整豆乳と呼びます。


調製豆乳

豆乳に砂糖、塩、香料などを加え飲みやすくしたものです。大豆固形分が6%以上(大豆タンパク質換算3.0%以上)のものを調整豆乳と呼びます。


豆乳飲料

調整豆乳に果物や野菜の果汁、コーヒー、ココアなどを加えた飲料です。果汁入りは大豆固形分2%以上(大豆タンパク質換算0.9%以上)、その他は大豆固形分4%以上(大豆タンパク質換算1.8%以上)のものを豆乳飲料と呼びます。

豆乳飲料は、無調整豆乳や調整豆乳に比べ、大豆固形分が少なく、豆乳バナナや豆乳コーヒー、グレープフルーツやヨーグルト風味といったバラエティ豊かな味が楽しめるのが特長です。

妊娠中は無調整豆乳、調整豆乳、豆乳飲料、好みに応じて飲みやすいものを選ぶのがよいでしょう。

ただし、調整豆乳や豆乳飲料は、甘味料や保存料などの添加物が含まれている場合があり、無調整豆乳と比べるとカロリーが高めです。

適度な量であれば問題はありませんが、妊娠中は体重が増えやすく、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群など病気のリスクも高くなります。中には医師から注意を受けたことがある妊婦さんもいるのではないでしょうか。極力体重管理や栄養バランスを考えながら、豆乳を選ぶようにしましょう。

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妊娠中は豆乳と牛乳、どちらを選んだらよい?

豆乳 牛乳
Natalia Klenova/Shutterstock.com

栄養バランスを考えたり、体重管理が必要な妊娠中、豆乳と牛乳のどちらか迷う妊婦さんもいるかもしれません。

豆乳と牛乳の100gあたりの主な成分は、以下のとおりです。

・無調整豆乳

エネルギー

46kcal

タンパク質

3.6g

脂質

2.0g

カルシウム

15mg

1.2mg

食物繊維総量

0.2g

ビタミンA

0μg

葉酸

28μg

・牛乳

エネルギー

67kcal

タンパク質

3.3g

脂質

3.8g

カルシウム

110mg

0mg

食物繊維総量

0g

ビタミンA

38μg

葉酸

5μg

豆乳は、牛乳よりもタンパク質や鉄分、葉酸や食物繊維を多く含んでいます。一方で、牛乳は豆乳よりもカルシウムが多いです。無調整豆乳は牛乳よりもカロリーが低いので、医師から体重増加の注意を受けた妊婦さんは、牛乳を豆乳に代用してもよいでしょう。豆乳ヨーグルトもおすすめです。

ただし、妊娠中はひとつの食品ばかりを摂取せず、バランスのよい食生活を心掛けることが大切です。豆乳と牛乳は、それぞれ必要な栄養素を含んでいるため、妊婦さんの好みや食事の塩梅を見て上手に摂取したいですね。

出典:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」/文部科学省

妊娠中は豆乳をどれくらい飲んでもよい?

妊娠中、1日に必要なカロリーの目安は、以下のとおりです。

妊娠時期

カロリーの目安

妊娠初期(16週未満)

18~29歳:2000(kcal/日)
30~49歳:2050(kcal/日)

妊娠中期(16~28週未満)

18~29歳:2200(kcal/日)
30~49歳:2250(kcal/日)

妊娠後期(28週以降)

18~29歳:2400(kcal/日)
30~49歳:2450(kcal/日)


目安の摂取量

豆乳を料理に取り入れるときは、100gあたりのエネルギー量を意識して献立を考えるのがよいでしょう。そのまま飲むときは1日200ml程度コップ1杯分の量を目安としましょう。

豆乳飲料を飲むときは、量ではなくカロリーに注意してください。他のおやつと合わせて1日200kcal以内を目安にしましょう。

小腹が空いたときや食事を摂る時間がないとき、タンパク質を補給したいときに豆乳は手軽に栄養補給ができて便利です。つわりで食欲がないときは、つわりの軽減作用があるビタミンB6を含む豆乳バナナ飲料もおすすめです。

妊娠中は妊婦さんの健康や赤ちゃんのためにも1日に必要なエネルギー量を目安にバランスよく栄養を摂ることが基本です。

出典:「食事のバランスガイド」/厚生労働省
出典:「日本人の食事摂取基準(2015年版)妊娠・授乳期の食事摂取基準」/厚生労働省

妊娠中に豆乳を飲むときの注意点

妊娠中に豆乳を飲むときの注意点を解説します。


飲みすぎない

妊娠中に豆乳を飲むときは、摂取量に注意しましょう。妊婦さんが毎日豆乳を飲むことに問題はありませんが、特定の食べ物ばかり摂ると栄養バランスが偏るためよくないです。

また、調製豆乳や果物や野菜の果汁、コーヒーが加わった豆乳飲料は、砂糖が含まれている商品もあります。妊婦さんは摂取カロリーや体重管理にも気をつけたいので、砂糖不使用タイプの商品も視野に入れるといいでしょう。特に妊娠中期からは体重が増えやすくなるので、注意して豆乳を飲みましょう。


大豆イソフラボンの摂取量に注意する

内閣府食品安全委員会が発表しているデータでは、大豆イソフラボンに含まれる「大豆イソフラボンアグリコン」の1日の摂取量の上限を70~75mgとしています。

豆乳100mgあたりに含まれる大豆イソフラボンの平均含有量は24.8mg、豆腐は約20mgです。

大豆イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをし、美容的な効果も期待できるため「妊娠前から大豆製品を日常的に摂取していた」という妊婦さんもいることでしょう。植物性たんぱく質も豊富なので、健康志向の方は積極的に取り入れていたかもしれません。

しかし妊娠したら、豆乳を飲むときは他の大豆製品と組み合わせて大豆イソフラボンの量が上限を超えないように注意してください。

市販の豆乳や豆乳飲料の中には成分を濃縮した商品もあります。購入する際は、大豆イソフラボンの含有量をチェックするようにしましょう。

妊娠中は適度に豆乳を飲もう

豆乳 飲む
szefei/Shutterstock.com

栄養価が高く牛乳よりも低カロリーで植物性タンパク質も豊富に含まれてる豆乳。

つわりの症状がつらいときは、バナナやココア、ノンカフェインコーヒーなどの好きな食材と組み合わせてアレンジドリンクを楽しんだり、豆乳鍋や豆乳スープなど、妊娠中の体重管理メニューに活用するのもおすすめです。

妊娠中に豆乳を摂取する時は、栄養バランスを考えながら適度に飲むように心掛けましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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