【産婦人科医監修】妊娠16週目(妊娠5カ月)のお腹の赤ちゃんの様子

【産婦人科医監修】妊娠16週目(妊娠5カ月)のお腹の赤ちゃんの様子

胎動や性別、赤ちゃんの大きさについて

2018.12.14

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠16週目は妊娠5ヶ月に入り、安定期ともよばれています。早い人は超音波(エコー)検査を通して性別が分かる時期です。妊娠16週目のママの体調やお腹の赤ちゃんの様子と、妊娠16週目に特に注意することを医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長、杉山太朗先生の監修のもと解説します。

妊娠週数16週目とはどんな時期?

妊娠16週は、妊娠5ヶ月の1週目妊娠中期に入ります。

一般的に、安定期と呼ばれますが、妊娠中に絶対に安定していることはないため、無理はせずに過ごすことが大切です。

妊娠16週目の妊婦さんの特徴

妊娠中期の妊婦
iStock.com/kuppa_rock

ママは、身体つきがより一層妊婦さんらしくなってきて、さまざまな変化が出てきます。妊娠16週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。


体調

妊娠16週は、つわりの症状が落ち着いてくる時期です。つわりの症状が落ち着てくると、基礎体温が下がり、だるさや熱っぽさが和らいで妊婦さんの体調も安定してきます。しかしなかには、まだつわりがある妊婦さんもいます。

安定期といわれるから、と急に活動的になるのではなく体調をみながら少しずつ運動をしたり、行動範囲を広げられるとよいですね。

ホルモンが呼吸中枢に影響して、深く息を吸うことがつらくなったり、子宮が横隔膜を圧迫して思うように肺が広げられなくなるため息が上がりやすくなることがあります。また、この時期は便秘になりやすく、便秘からお腹の張りを感じることがあります。ほかにも、ホルモンの影響で歯周病を引き起こす菌が増殖して歯茎が腫れたり、口腔内のトラブルも起こりやすくなる、女性ホルモンが増えることでおりものの量が多くなるなど、身体的にマイナートラブルを抱えやすい時期です。


お腹の大きさ

子宮は幼児の頭より少し大きい程度になり、外見からも妊娠さんとが分かるくらいにお腹がふっくらしてきます。


妊娠16週目の妊婦さんの身体

妊娠16週になると、胎盤が完成します。胎盤を通して母体の栄養がお腹の赤ちゃんに届きます。早い人だと胎動を感じる人もいます。しかしこの時期の胎動は、腸が少し動いた程度の些細なもので感じ取るのは難しいかもしれません。

ママの身体全体に皮下脂肪がついてきて、ふっくらとした丸みを帯びた妊婦さんらしい身体つきになってきます。お腹だけでなく、バストやお尻も大きくなります。産後の授乳に備えて乳腺が発達するため、バストが妊娠前より2カップくらいサイズアップする人も多いようです。

乳頭から黄色っぽい分泌物が出る人もいますが、産後の母乳の準備のためなので、分泌物が出たときには、洗い流したり、ふき取って清潔に保つようにしましょう。他にも乳輪や乳頭が黒ずんだり、お腹を中心に毛深くなったと感じる人もいるでしょう。

妊娠16週目の赤ちゃん

大きさや胎内での様子

エコーでお腹をみてもらう妊婦さん
iStock.com/7postman

妊娠16週目の赤ちゃんの身長は、15~16センチ程度です。

妊娠16週になると脳が発達するので、赤ちゃんが胎内の記憶を持つようになるといわれています。聴覚が作られ始めるので、ママの心臓の音や血液が流れる音が聞こえるようになります。

指などの細かい関節がすべて作られ筋肉も発達してくるので、手足の動きが活発になります。超音波(エコー)検査では、赤ちゃんが羊水の中で口を開け閉めしたり、手を口元に持ってくる仕草が見られることもあります。


身体の形

超音波(エコー)検査でも4頭身になり、手足もはっきりしてきた人間らしい姿が見られます。この時期、早いと超音波(エコー)検査を通して赤ちゃんの性別がわかることもあります。妊娠16週は、3D、4Dエコーで見るのも適していますよ。

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妊娠16週目のうちにやっておきたいこと

赤ちゃんに話しかける

聴覚が作られどんどん発達していきます。ママとパパが話している声なども聞こえることがあるようです。一説には胎内記憶を持つといわれたり、胎教を始めるのに向いているといわれるのは妊娠5ヶ月のこの時期です。

まだ赤ちゃんの性別がわからなくても、性別を問わないニックネームなどをつけるママもいるようですね。お腹をなでたり、お腹の中にいる赤ちゃんに積極的に話しかけて、赤ちゃんにママの声をたくさん届けましょう。


戌の日に安産祈願をする

昔から日本では、妊娠5ヶ月の戌の日に安産祈願をするという風習があります。犬は多産でお産が軽いため、犬のように円滑にお産ができるように戌の日の安産祈願に行くようになったようです。

妊婦さんが腹帯を巻いて安産をお祈りするのが一般的ですが、地域によって風習や習慣に違いがあるようです。事前に予約が必要な神社もあるので、確認しておくとよいでしょう。

妊娠5ヶ月の戌の日に安産祈願の予定を立てている人も多いと思いますが、妊娠中は毎日体調が変わります。体調がよくないときには無理せず、休んで日を改めてください。

戌の日の安産祈願はいつ行く?いつまでに行くかや持ち物など気になること

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おりもの対策

妊娠16週はおりものの量が増えるため、気持ちよく過ごすためにこまめにシャワーを浴びたりおりもの用のナプキンを使うなどおりもの対策が必要になるかもしれません。

おりものの色が白や黄色であれば心配はありませんが、血が混じったような茶色やニオイがいつもと違うときには感染症にかかっている可能性があるのでかかりつけ医を受診するようにしましょう。

妊娠16週目の妊婦さんが注意すること

マタニティ用の下着にする

妊娠16週くらいになると、個人差はありますが、授乳の準備に向けてバストが大きくなる人が多いです。バストが大きくなるのは乳腺の発達が理由ですが、バストの張りや成長を感じたら、乳腺の発達を妨げないように締めつけ感の少ないマタニティ用のブラジャーを身につけるようにしましょう。

また妊娠5ヶ月ごろは簡単に装着できる、腹帯付きのパンツやタイツなどを使い始めるのにもむいた時期です。


運動不足

妊娠初期にはつわりがひどかったり、だるさや腹痛のせいで思うように動けなかったママもいるでしょう。お腹の赤ちゃんのことを考えて安静にしなくてはと思って運動を控えがちになるかもしれません。

つわりの症状が落ちつき食欲が増す妊娠16週目ごろは、医師から安静の指示が出ていない妊婦さんには適度な運動がおすすめです。運動をすることでこの時期の体重の急激な増加の予防になりますし、体力をつけたり、むくみや腰痛を和らげることもできます。

妊婦さんでもできるウォーキングや散歩などは、外の空気を感じながら適度な運動になり、ママもリフレッシュできるでしょう。


横向きで寝る

お腹が大きくなってくるので、寝るときにも身体になるべく負担がかからず楽な姿勢をとることが大事です。

仰向け寝は、大きくなった子宮によって腸にも重さがのしかかったり、背中や腰に負担がかかることがあります。腰痛や痔が悪化することがあるので注意が必要です。


ストレスをためない

ママのイライラやストレスで多くのアドレナリンが分泌されると、酸素や栄養が赤ちゃんに届きづらくなるといわれています。妊娠5ヶ月は、体形の変化で思うように動けなかったり、ホルモンバランスの関係で情緒が不安定になったりしてストレスが溜まりやすい時期です。

胎児が記憶を持ち始めるのも妊娠16週目頃といわれていて、ママはできるだけストレスを溜めないように息抜きをしながら過ごせるとよいですね。


感染症対策

妊娠中の感染症は特に注意が必要です。細菌やウイルスが妊婦さんに感染するとお腹のなかの赤ちゃんに影響することがあります。妊娠中に決められている感染症検査をしっかり受けて、予防接種を受けたり、外出時はマスクを着用するなど感染症対策をしましょう。

安定期といわれても無理は禁物!

妊婦と旦那
iStock.com/AntonioGuillem

妊娠16週目になると、身体全体が大きくなり、より妊婦さんらしい体型になってきます。妊娠5ヶ月は、一般的に安定期といわれますが、妊娠中は体調が毎日変化し、便秘になったり、お腹の張りを感じたり、おりものが増えたりと体調が優れない日もあるので、安定期だからと過信せず、気をつけて過ごすことが大事です。

また、妊婦さんらしい体つきになることで、普段の姿勢がつらく感じたり、思うように動けなくてストレスを感じることもあるかもしれません。自分の楽な姿勢を見つけたり、リラックスできるよう工夫することが大切です。

超音波(エコー)検査で人間らしくなってくる赤ちゃんの姿が見られたり、早い人は性別が分かったりする時期です。お腹の赤ちゃんにママの声が届くようになったり、一説には記憶を持つようになるといわれるこの時期。ママとパパはこれから赤ちゃんが生まれてくるのを心待ちにしながら、たくさん話しかけましょう。

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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