【産婦人科医監修】妊娠線はいつからできる?原因と対処法について

【産婦人科医監修】妊娠線はいつからできる?原因と対処法について

妊娠線はなぜできるのか

2019.05.28

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠するとほとんどの妊婦さんにできるといわれている妊娠線、なるべく痕を残したくないですよね。妊娠線とはどのようなもので、いつからできるのかなど、妊娠線ができる原因について解説します。また、妊娠線のできやすい部位と予防法についても併せてご紹介します。

妊娠線とは

妊娠線とは、皮膚組織がひび割れてできた、みみず腫れのような線のことをいいます。

妊娠中は毛細血管が透けて、赤茶色や赤紫色、赤青色っぽい線で、産後半年くらい経つと、透けて見えていた毛細血管の色が薄くなってピンク色っぽくなります。1年くらい経つと、肌が回復してきて白っぽくなることが多いようです。

脂肪線とも呼ばれる肉割れのことで、妊娠すると妊婦さんのほとんどができるといわれています。

原因

妊娠線はなぜ、できるのでしょうか。


急激な体重増加

体重計
Africa Studio/Shutterstock.com

妊娠中は、胎児や羊水胎盤など体重が増えることに加えて、食べつわりになるとつわりの影響で体重が一気に増加してしまう妊婦さんもいるでしょう。

皮膚が伸びながらお腹が大きくなりますが、皮膚の内側の真皮や皮下組織が急激な皮膚の伸びについていけないため、表面の皮膚に亀裂が起きて妊娠線として表れます。

また皮下脂肪が増えると、血液の循環が悪くなって妊娠線ができる可能性が高くなります。


ホルモンの変化

妊娠するとホルモン分泌が増えるので、ホルモンのバランスが崩れやすくなります。ホルモンバランスの乱れから肌が乾燥したり、かゆみを起こす場合があります。

妊娠すると増加するコルチコステロイドというホルモンは、コラーゲンの生成を抑えたり、肌のターンオーバーを乱す作用があります。

肌の弾力を低下させるため、ホルモンバランスの変化が原因で肌荒れになることがあります。


乾燥

皮膚が急激に伸びるときに、肌の内側の真皮と皮下組織が皮膚の伸びる早さについていけずに表面の皮膚が裂けます。

肌が乾燥していると、肌の柔軟性がなくなって亀裂が入りやすくなります。

妊娠線ができやすい部位

太ももにクリームを塗る妊婦
iStock.com/RyanKing999
  • お腹
  • 太もも
  • お尻
  • 二の腕
  • バスト

妊娠すると最も皮膚が伸びるのがお腹なので、お腹に妊娠線ができるという妊婦さんが多いです。特に恥骨の上から下腹部にかけてお腹が急激に大きくなるので妊娠線ができやすいです。

お腹のほかにも、出産の備えて腰からお尻にかけて脂肪がつくので、お尻にも妊娠線ができます。

妊娠して乳腺が発達してバストも大きくなるため、バストも妊娠線ができやすい部位の1つです。バストの横や下、太ももの内側の妊娠線はできても見逃しやすいので注意が必要です。

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妊娠線はいつからできる?

妊娠線がいつできるかについては、一般的に妊娠後期の、お腹が一気に大きくなったときにできたという人が多いです。臨月までは妊娠線がなかったのに臨月に入ったらいきなり妊娠線ができたという人もいます。

なかには妊娠初期からできたという人もいたり、妊娠線がいつできるかについては個人差があります。

妊娠線ができてしまったら、いつ消えるのかと心配になる妊婦さんもいるでしょう。

妊娠線は1度できると、完全に消すことは難しいですが、しっかりケアをすればある程度目立たないようにすることはできるでしょう。

妊娠線がいつ消えるかや薄くなるかについては、ケアの頻度や妊娠線の範囲、深さ、部位によって個人差はありますが、妊娠線を薄くするためには1~2年程度かかるといわれています。

妊娠腺をなるべく作らないようにするためには、妊娠が分かった時点から早めにケアを始めることが大切です。

妊娠線予防

なるべく妊娠線を作らないために以下のような方法で予防しましょう。


保湿する

皮膚が乾燥すると、亀裂が入りやすくなります。

乾燥を防いで皮膚の伸びをよくするために、マタニティクリームやオイルでこまめに保湿して肌を柔らかい状態にしておくことが大切です。

朝の着替え時と入浴後など1日に2回程度を目安に保湿するとよいでしょう。乾燥しやすい冬場やお腹が急激に大きくなる妊娠後期には、3~4回に回数を増やすことがおすすめです。


体重管理

急激な体重増加は、真皮と皮下組織が皮膚が伸びるスピードについていけずに妊娠線ができます。体重が急に増えると妊娠線ができやすくなるため、食事は和食中心にしたり、1度の食事量を減らして食事回数を増やす、毎日体重を測る、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動で体重を管理することが必要です。


マッサージ

妊娠線専用のオイルやクリームを使ってマッサージをすることもおすすめです。

できれば毎日マッサージすることが理想的ですが、時間がないときや体調がすぐれないときには無理して行わず、1日おきのマッサージでもよいです。

オイルやクリームはたっぷりめに使うことがポイントです。

マッサージをしていてお腹の張りを感じたり、体調が悪くなったときにはマッサージをやめましょう。

妊娠線予防は早めに始めよう

妊娠線の予防
GOLFX/Shutterstock.com

できれば妊娠線は作りたくないという妊婦さんがほとんどでしょう。

妊娠線がいつからできるかについては、お腹が急激に大きくなる妊娠後期の人が多いようですが、妊娠初期からできる人もいたり個人差があります。

妊娠線は1度できたら完全に消すことは難しく、特に皮膚が伸びるお腹や太もも、お尻、二の腕、バストは妊娠線ができやすいので注意が必要です。

妊娠線を予防するためには、毎日の保湿やマッサージ、適度な運動や食事に気をつけて体重管理をすることが大切です。

妊娠線ができていない時期から早めにケアをすることが妊娠線の予防につながります。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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