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お腹の張りや胎動について
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠21週目は、胎動など赤ちゃんの成長を感じられる一方で、お腹の張りなどのマイナートラブルや体重増加などの注意点もあります。お腹の大きさ、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと、解説します。
妊娠週数21週目とはどんな時期?
妊娠21週は週数でいうと、妊娠6ヶ月の2週目です。
妊娠中期で、妊娠期間の折り返し地点になります。
妊娠21週目の妊婦さんの特徴
妊娠週数21週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。
体調
ママの身体はお腹がせり出し、骨盤や腰椎が前方に傾いて重心がずれるため、腰痛の症状を訴える人が少なくありません。
つわりがなくなり、だいぶ落ち着いて過ごせるようになりますが、女性ホルモンの分泌が増え、自律神経が乱れやすくなります。ホルモンバランスの変化でイライラしたり、憂鬱になるなど、その日その日で気分にバラつきが出る場合があります。
この時期に落ち込んだ気分になったり、今まで体験したことのないような心と身体の変化に戸惑って、うつ状態になる人もいるようです。
お腹の大きさ
子宮はより大きくなり、洋服の上からでもお腹の大きさが分かる程度になります。妊娠21週くらいになると、子宮底がおへその下あたりに位置し、お腹が苦しいと感じる人もいるでしょう。
お腹の大きさが目立ってくる時期なので、マタニティ下着だけでなく、マタニティウェアを着ることをおすすめします。
妊娠21週目の妊婦さんの身体
妊娠21週ともなると、いままで胎動を感じられなかった人も、胎動を感じだすでしょう。お腹のなかの赤ちゃんに蹴られたり、叩かれたりする感覚や、おなかをグルンと一回転するなどの激しい動きがみられることもあるでしょう。この胎動が痛いと感じる人もいるようです。
お腹が大きくせり出すため、お腹が苦しいと感じたり、子宮の収縮によってお腹の張りや腰痛を感じる人も多くなります。
授乳の準備のために乳首から母乳のような分泌液が出ることがあり、これも「初乳」のひとつです。この時期に初乳があってもなくてもそのままにしておいて大丈夫です。
妊娠6ヶ月は、ホルモンバランスの影響でメラニン色素が作られやすくなり、シミやそばかすができやすくなります。ホルモンバランスの変化から乾燥肌や脂性肌になったり、肌荒れが起こりやすくなるなどのトラブルも見られる時期です。
ほかにも、子宮が大きくなることによって、腸の血管が圧迫されて血液の流れが悪くなり、便秘や痔になりやすくなったり、お腹が大きくなると下半身が圧迫されて血流が悪くなったり、冷えから足がつったりこむら返りが起こることもあります。
また、妊娠21週は、つわりがなくなり、食欲が増して体重が増加する傾向があるため注意しましょう。
妊娠21週目の赤ちゃん
大きさや胎内での様子
この時期の胎児は胎脂という白いクリーム状の脂肪で皮膚の表面を保護されています。また赤ちゃんの髪の毛が濃くなり、まつ毛や眉毛も生えてくる時期です。
この時期に、まぶたが上下に分かれ、目があくようになるため、赤ちゃんは太陽や部屋の光など明るさを感じることができます。超音波(エコー)検査で見ると、赤ちゃんがまばたきしたり、手を握る動作が見られるかもしれません。
ママのお腹の中を回転したりと、大きく動くので逆子になることもありますが、この時期の逆子はまだ問題ないといわれています。そのまま様子をみてもよいでしょう。
身体の形
妊娠21週の赤ちゃんの身長は、20㎝程度です。大きさでいうと、小さなパイナップルくらいです。身体の末端まで筋肉がついて、筋肉量が増えて、骨がしっかりしてきます。
なかには、超音波(エコー)検査で見ると性別がわかる人もでてきます。しかし、妊娠21週のときは赤ちゃんの向きや位置によっては、はっきりした性別の診断は難しいことがあります。もう少しすると、男の子と女の子の性別の特徴が判別しやすくなります。
妊娠21週目のうちにやっておきたいこと
健診には経腟エコーに備えた服装を
妊娠6ヶ月の妊娠中期になると、経腹エコーに比べて子宮頸部を細かいところまで見ることができる経腟エコーを使用することが数回あるでしょう。この時期の経腟エコー検査では、胎盤の位置や頸管長を確認します。
経腟エコーをするときは内診台にあがります。検査がスムーズに行えるように、健診時には上下に分かれている服にしたり、ワンピースなどの場合はレギンスを履くなど服装に配慮が必要です。
里帰り出産に向けた行動を
里帰り出産をする人は病院の考え方にもよりますが、妊娠7ヶ月に入るまでには分娩の予約や、初診を済ませる、というのが一般的です。病院によっても妊娠12週までに分娩予約をしないといけない、という病院や妊娠7カ月を超えたころに分娩予約をする、などタイミングや医師の考え方によっても対応にバラつきがあります。
この時期には、里帰り出産の手続きが終わっているか、準備は整っているかなど振り返ってみましょう。また、仕事をしている妊婦さんが里帰り出産をする場合は、有休を含めていつから産休が取れるか、など確認をしておきましょう。
乳房のマッサージ
妊娠初期の乳房マッサージは、子宮の収縮を伴う可能性があるので控えた方がよいですが、妊娠6ヶ月頃になると、バストのマッサージやケアを始めてもよいといわれています。
乳房マッサージは、血行を促進して母乳を出やすくする効果があります。
悩みを抱え込まない
妊娠21週頃になるとこれから赤ちゃんが産まれることが楽しみな反面、育てていくことに強い不安やストレスを感じる妊婦さんもいるようです。ホルモンの影響が関係しているので、気持ちを割り切ったり、適度に体を動かしてリフレッシュすることが大事です。
病院に相談したり、親やパパ、友だちなど話せる人に話して、不安定な気持ちやプレッシャーを1人で抱え込まないようにしましょう。
妊娠21週目の妊婦さんが注意すること
妊娠高血圧症候群の予防
- 妊娠20週目から産後12週までに高血圧が見られる
- 妊娠中に高血圧とたんぱく尿がいっしょに表れる
上記の症状がどちらか見られると、妊娠高血圧症候群と診断されます。
妊娠高血圧症候群は急に体重が増えることでなりやすく、生活習慣や食事で予防できます。食べ過ぎによる体重の増加に注意し、塩分や糖分を摂り過ぎないバランスのとれた食事を心がけましょう。
腰痛対策
お腹が大きくせり出すため、重心がずれて、骨盤に負担がかり、腰痛の症状が出やすくなります。なるべく姿勢に気をつけたり、軽いストレッチを行うのもよいでしょう。背中を温めて筋肉をほぐすのも効果的ですよ。
お腹の張り対策
お腹が大きくなってくると、子宮が収縮する度にお腹の張りを感じることが増えます。このお腹の張りは少し安静にするとおさまることが多いので、お腹の張りやお腹が苦しいと感じたら無理せず休むことが重要です。
しかし休んでも強い痛みや、お腹の苦しさがおさまらなかったり、痛みを繰り返す場合は、原因がほかにあるかもしれないので、早めに受診するようにしましょう。
妊娠線対策
お腹が大きくなってくると、お腹の皮膚が急激に伸びます。伸びるスピードについていけず、皮膚の内側が裂けると妊娠線になります。
また、妊娠中はホルモンの影響で肌が乾燥しやすくなっているので、乾燥した肌をそのままにしておくと妊娠線になりやすくなります。妊娠線は、特に胸や太もも、お尻にできやすいので、妊娠線専用のクリームなどでたっぷり保湿して対策しましょう。
肌荒れ対策
妊娠中は、ホルモンバランスの影響でシミやそばかすができやすくなります。シミやそばかすには、ピーマンやパセリ、キウイ、いちごなどビタミンCの多く含まれている食材が効果的です。
また、乾燥肌や脂性肌などに肌質が変わることもあるので、水分をこまめにとって栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。敏感肌になっているときには、化粧品や石鹸も肌質に合わせて変えてみてもよいかもしれませんね。
お腹の大きさに考慮して行動する時期
妊娠6ヶ月の21週になると、つわりの症状がなくなり、過ごしやすくなる妊婦さんも多いようです。一方でホルモンバランスの影響で、イライラしたり、情緒が不安定になったりすることが増えるかもしれません。悩みや心配な気持ちは抱え込まず、周りの話せる人に話して発散することが必要です。
お腹が大きくなってくると、お腹が苦しいと感じたり、お腹の張りなどのマイナートラブルに悩まされたり、転ばないように気を張る場面も増えてくるでしょう。お腹の大きさからお腹の張りや、妊娠線予防の対策など意識してケアをすることも増えてきます。
お腹が大きくなって大変に感じることも増えるかもしれませんが、赤ちゃんが成長している証拠ですよ。
しかし妊娠6ヶ月のこの時期は、胎動を感じられたり、超音波(エコー)検査で性別が分かったり、赤ちゃんの成長が大いに感じられるときでもあります。妊娠6ヶ月である妊娠21週は、ちょうど折り返し地点。元気な赤ちゃんに会えるまでもう少しですよ。