「チョコレートの明治」が通用しない…それでも10年後に70億円を稼いだ新規事業部がライバルを出し抜いた方法
大事なのは「会える人」より「決める人」
Profile
明治製菓は、1999年に業務用のチョコレート原料を企業に対して売る新規事業・カカオ事業部を始めた。「明治製菓の辺境」とされた事業部は、10年後に売上70億円をたたき出す。そこにはどんなドラマがあったのか。事業部を率いた山本実之さんの著書『明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上』(PHPビジネス新書)より、一部を紹介する――。(第1回)
原料市場で行われている「熾烈な戦い」をご存じか
チョコレートに限らず、原料市場はどこも、いくつもの業者がひしめく飽和状態。そこに飛び込んでシェアを分捕るのは、簡単ではありません。
バルク(原料)業界では常時、熾烈しれつきわまる戦いが繰り広げられています。
わかりやすいところでいうと、チェーンレストランのメニューに載っているビール。「生ビール」とオーダーすれば、キリンさんやアサヒさんなど、どこか一社のものが出てきますね。それは営業の人が、チェーンとの契約に成功したからです。
しかし安心はできません。メニューのリニューアルなど、切り替わりのタイミングがあるからです。そのつどライバルに奪われたり、また取り返したり。
ひっくり返すと大きいのも特徴です。小売店に一店一店かける営業のような、1%、2%の積み重ねとは対照的。お客様を一社獲得すればエリアまるごと、ときには全国丸ごと、地図が塗り替わります。オセロゲームのような「ゼロイチ」の世界です。
チョコチップ1粒に社運がかかっている
コンビニの幕の内弁当もそうです。細かい仕切りごとに一口サイズの卵焼きや、お惣菜が入っていますね。その上に何粒か、ゴマがかかっていたりもするでしょう。
あの卵焼き、あのゴマを納入するために、営業は命をかけています。ことによると「社運」もかかっているかもしれません。小さな一品一品も、全国規模で展開すれば莫大な量になるからです。





























