あなたの「肩こり」と「腰痛」は宿命である…人類が知性と引き換えに受け入れた「二足歩行」の重すぎる代償
高齢者の歩行がチンパンジーのようになる悲しいワケ
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なぜ人は「肩こり」や「腰痛」に悩むのか。大阪がん循環器病予防センター所長・理事長の伊藤壽記さんは「その原因は、約600万年前に我々の祖先が二足歩行を選んだことにさかのぼる」という――。(第1回) ※本稿は、伊藤壽記『自然治癒力を引き出す』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
チンパンジーと人間の遺伝子はほぼ一緒だが
我々の祖先は約600万〜700万年前に類人猿(チンパンジー)と共通の祖先から分かれて、直立二足歩行を始めたと言われています。
小林武彦さんの著書『なぜヒトだけが老いるのか』(講談社現代新書)によると、遺伝子レベルでチンパンジーとヒトを比較すると、98.5%が同じだそうです。驚きですよね。600万年もかけて生じた遺伝子の違いは僅か1.5%。私たちとチンパンジーの遺伝子はほぼ一緒なのです。
その僅かな違いで、言葉を交わしたり、文明を発展させたりしながら、その存在の違いを大きくさせてきました。
祖先は生きるため、食べるために、四つ足ではなく二足歩行にすることで、手や指を使い食べ物をつかみ取り、道具を作り、その道具を使って色々なモノを作ってきました。その過程で、脳が発達し意思疎通の手段として言葉を話すことができるようになり、文字の誕生へとつながりました。そして現在の文明を手に入れたのです。
何百万年という途方にくれるような歳月を経て、環境に適応しながら人類は「進化」してきました。

























