会議中に「あくびする人」を怒ってはいけない…大事な場面でついあくびをしてしまう意外の理由
脳がなんとかしようと頑張っている証拠
Profile
なぜ人間はあくびをするのか。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんは「脳の自律神経中枢は酷使されるとオーバーヒートの状態になる。あくびは脳の温度が上昇したとき、鼻から息を吸って脳を冷却しようとして起こる生理現象だ」という――。 ※本稿は、梶本修身監修『最新医学でわかった 脳ファーストの休養学』(宝島社)の一部を再編集したものです。
カフェイン飲料が「隠れ疲労」の原因に
コーヒーや栄養ドリンクに含まれるカフェインには、脳の中枢神経を刺激して興奮させる作用(覚醒作用)があり、さらには眠気を誘発するアデノシンという物質の働きを阻害することで覚醒度を高めてくれています。眠気が覚めることで、疲労感が取れた気になるのは事実です。ただ、眠気が覚めても、脳疲労が回復しているわけではありません。
カフェィンを過剰に摂取すると、「疲労感なき疲労」、「隠れ疲労」を引き起こす恐れがあるのです。眠気覚ましにカフェイン飲料をがぶ飲みするのは危険な行為と言えます。
また、タバコを吸うと頭がさえて疲れが取れたように感じるかもしれませんが、それはニコチンによる覚醒作用によるもので、疲れは取れません。しかもニコチンが脳内に届くと「快感物質=ドーパミン」が放出されて脳がマスクされ、やはり疲労蓄積の原因になります。
そもそもタバコは酸化ストレスの状態になりやすく、吸うことでさらに疲れやすくなるので注意が必要です。
脳を守る最適解「鼻から冷たい空気を吸う」
脳の自律神経中枢は、過酷な環境や集中・緊張などで酷使されるとオーバーヒートの状態になります。そもそも脳は人体で最も激しく発熱する器官。とりわけ、鼻腔奥の上に位置する自律神経の中枢は最も発熱しやすく、熱が放熱しにくい場所にあります。脳のオーバーヒートは炎症を起こし、脳に大きなダメージを与えます。
脳(自律神経中枢)を守るためには、オーバーヒートしないよう冷やすことが大切です。その最適解が「鼻から冷たい空気を吸う」こと。鼻から吸う外気の冷たい空気が、車のラジエーターのごとく空冷式に、鼻腔びくうの上にある自律神経の中枢(視床下部)を冷却してくれます。
首を冷やすクールネックリングなどでも水冷式に脳への血流を冷やして脳温度を冷却することはできますが、血液を冷やすと身体の芯まで冷えてしまいます。また、額に冷却シートを貼っても、鼻腔の真上にある自律神経の中枢を冷やすことはできません。鼻から冷たい空気を吸うのがベストですが、深呼吸のしすぎによる過呼吸には注意が必要です。

























