「食料と水」だけでは備えが足りない…大災害を生き抜くため「最低1人35個」は備蓄すべき"防災グッズ"
過去の「トイレパニック」の惨状は意外と知られていない
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地震や台風、豪雨といった自然災害が起きると、「日常」が突然奪われる。そのような緊急事態に備えて水や食料を備蓄する人が増えてきているが、意外と知られていないのがトイレ問題だ。一体どんな問題に直面するのか、日本トイレ研究所の加藤篤代表理事に話を聞いた――。
緊急事態でも排泄は止められない
地震や豪雨などの被災地では、断水や停電の影響で水洗トイレが長期にわたって使えず、外部支援としてのトイレも来ない「トイレパニック」が発生している。
1995年の阪神淡路大震災以来、過去30年間の災害のたびに避難所や自宅、事業所などで起きている問題だ。
「災害時でも当然、人間は排泄します。不特定多数の人がトイレに押し寄せるため、水の流れないトイレはあっという間に排便や汚水で満杯になり、著しく不衛生になって使えなくなるという事実を知ることが必要です」
災害時のトイレについて、トイレ研究所・加藤篤代表理事はこう話す。
汚物にまみれたトイレ、最終手段は野外
駅、公園、避難所などの既設のトイレの水が流れないとわかっていても、使用せざるを得ない。それが原因で、トイレは汚物の山で即閉鎖。やむを得ず野外で排泄するしかなくなる。周辺には大小便が放置され、悪臭のみならず感染症の発症リスクが発生する。
屋外に仮設トイレが設置されるが、和便器なので使えない、段差や階段があるので危ない、外は寒くて行きづらい、夜間照明なしで暗くて怖いといった問題も発生する。
し尿収集車もすぐには手配できないため、トイレの汚物はそのままになる。
水洗トイレが使えないことで引き起こされる負の連鎖。実際に、被災地で起きたことだ。

























