酒も飲まないタバコもやらない…「べらぼう」でくっきー!が演じる葛飾北斎がどうしてもやめられなかった習慣
神絵師が90歳で亡くなるときにつぶやいた"さすがのひと言"
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大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)に、芸人のくっきー!が演じる葛飾北斎が登場。歴史研究者の濱田浩一郎さんは「蔦屋重三郎(横浜流星)は北斎のキャリア初期から仕事を依頼していた。豪放なイメージの北斎だが、意外に酒もタバコもやらなかった」という――。
破壊力ばつぐんだった「べらぼう」の北斎役
大河ドラマ「べらぼう」において葛飾北斎を演じるのは、お笑いコンビ「野性爆弾」ボケ担当の芸人・くっきー!さんです。破天荒で「画狂」として知られる北斎をくっきー!さんがどのように演じるのかが注目されます。
江戸時代後期の浮世絵師として北斎は著名です。山水・花鳥・人物・器物などあらゆる題材を対象とした「北斎漫画」はフランス印象派にも影響を与えたことが知られており、現代においても北斎の人気は国内外でも高いのです。2014年10月から翌年1月にかけてパリのグラン・パレ・ナショナル・ギャラリーにて「北斎展」が開催され、35万人以上が来場したことはその事を改めて証明したと言えるでしょう。日本においても北斎の映画が度々制作されています(例えば2021年公開の映画『HOKUSAI』。北斎を演じたのは俳優の柳楽優弥さん)。
若き北斎は蔦屋重三郎から仕事をもらうが…
「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎と北斎は繋がりがありました。若き日の北斎が師事したのが、浮世絵師の勝川春章ですが、春章は浮世絵師の北尾重政と共に『青楼美人合姿鏡』(吉原の遊女の姿を描く錦絵本。1776年)の絵を描いています。この作品を出版したのが重三郎でした。
そして重三郎は、春草の弟子筋にあたり、「勝川かつかわ春朗しゅんろう」と名乗っていた北斎にも絵を依頼しています。例えば吉原の年間行事の中でも重要とされる「俄にわか」の絵です。蔦屋重三郎により出版された「仁和嘉狂言」シリーズは北斎30代の仕事でした。また重三郎が亡くなった後になるのですが、北斎は耕書堂(重三郎の書店)の絵を描いています。

では、重三郎とも仕事をした北斎とはどのような人物だったのでしょう。北斎は数々の逸話で彩られており、とりわけ目をひくのがその奇行です。先ず、北斎はその生涯の中で三十数回も画名を改名したと言われています。芸能人でも改名する人がいますが、せいぜい数回でしょう。ではなぜ北斎はそれ程多く改名したのか。心境の変化があったのかと言うとそうではなく、改名し、前の名を門人に譲っていたのです。何のために? いくばくかの礼金を得るためでした。

























