コメ高騰の犯人は「JA」でも「卸」でもない…「令和のコメ騒動」で価格を吊り上げていた"真犯人"の正体
やっぱり5キロ2000円は安すぎ
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コメの価格はなぜこれほどまでに高騰したのか。三菱総合研究所の稲垣公雄フェローは「コメ卸などの流通業者が儲けようとして価格が暴騰したというのはあまりに早計だ。価格高騰の真の原因は極めてシンプルな理由だ」という――。(第1回) ※本稿は、稲垣公雄+三菱総合研究所「食と農のミライ」研究チーム『日本人は日本のコメを食べ続けられるか』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
本当に農協やコメ卸が価格高騰の黒幕なのか
一部に、「令和のコメ騒動」の原因として、「流通構造の多層化や複雑さが価格高騰の一因」「農協やコメ卸が価格高騰の黒幕だ」といった説があった。それは完全な誤解だ。コメの流通が複雑で非効率な面が残っているのは否定しない。だが、昨年から急に流通構造が複雑になったわけではない。需要に対して供給が不足したから価格が上がった。それ以上でもそれ以下でもない。
一般にコメの流通は「農家」→「集荷業者」→「卸売業者」→「小売」という流れになる。集荷業者は、ほぼ農協(JA)を指すと考えていい。この流通に対応して、農家が農協に売りわたす価格が「概算金」、集荷業者と卸売業者の取引価格が「相対取引価格」、小売りが消費者に売る価格が「小売価格」となる。
令和5年(2023年)までの20年間は、相対取引価格が60kgあたりおおむね1万2000~1万6000円というコメ安の状況にあった。令和5年頃のそれぞれのコメ価格をわかりやすく示すと図表1のようになる。

























