たった2分で250℃に到達し、食パンがカリカリに…「トーストも焼けるオーブンレンジ」開発に7年もかかった理由
最大の課題は「乾燥でパサパサ」をどうするか
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【第1回】半年間、食パンを1万枚以上焼き続けた…累計400万台を突破した大ヒット「アラジン」高級トースターの開発秘話 食パンをカリっと美味しく焼くといったらトースターだ。しかし、近年はオーブンレンジと一体になった商品が登場している。株式会社千石は企画から約7年かけて「アラジン グラファイト オーブンレンジ」の発売にこぎつけた。開発するうえで何が壁になったのか。開発担当者の高橋弘真さんに話を聞いた――。(第2回/全2回)
レンジなのに両面カリカリに焼ける
まずは7月に発売された「アラジン グラファイト オーブンレンジ AEM-G14A」(販売元は子会社の日本エー・アイ・シー、実勢価格6万6000円前後)の基本機能について解説しよう。
これは独自の「グラファイトレンジ加熱」技術を搭載したオーブンレンジで、付属のヒートトレイに食パンを並べることで、天井からはグラファイトヒータで加熱、底面はレンジのマイクロ波がヒートトレイを加熱してトーストを焼くことができる。
容量は22Lサイズ、最大1000Wのレンジ出力に対応しており、オーブンの温度調節は80~250℃となっている。
安いトースターに美味しさで負けてきた
一番の魅力は、トーストが美味しく、すばやく焼けることにある。そもそも既存のオーブンレンジは、庫内の温度を上げ、熱風で加熱調理する。このため、温度上昇に時間がかかり、さらに熱風によりパンが乾燥するため、低価格のオーブントースターと比べても、美味しく焼くことができなかった。
しかし、グラファイト オーブンレンジでは、庫内天井にグラファイトヒータを配置。さらにヒートトレイをマイクロ波で温めて裏面を焼くことで、トーストを追求したのだ。
「2015年にトースターを発売し、その後順番にシリーズを増やして、2017年にホットプレートのような卓上調理器『グラファイトグリラー』を発売しました。キッチン家電メーカーとしての認知度が上がってきたので、次のステップとして考えたのがオーブンレンジでした。2018年ごろから社内で次はレンジをやりたいねと話して企画を進めていました」(高橋さん)