「2で割り切れる数=偶数を0、8、65、110から全部選べ」正答率は小6が一番高く60%でも会社員が33%と低い訳
「誰でも読めばわかるはずの文章」を大人が読めない理由
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「誰でも読めばわかるはずの文章」を大人も読めない
私は2011年から、AIの可能性と限界を探るため、「ロボットは東大に入れるか」と銘打った人工知能のプロジェクトを10年間率いてきました。同時に私は、そのプロジェクトで開発された通称「東ロボ」に日本語を学習させるために試行錯誤したノウハウを応用して「リーディングスキルテスト(RST)」を開発し、日本人の「読解力」について、大がかりな調査と分析を始めました。
RSTは「誰でも読めばわかるはずの文章」を「読む力」を測るためのテストです。もっと言えば、「教科書を読む力」を測るテストです。もう少し厳密に言うと、「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結な文書」を「自力で読み解ける力」です。
RSTは6つの分野に分けて、能力診断をします。
① 係り受け解析 |
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6つ目の分野「具体例同定」では、テキストや辞書に書かれている「定義文」を読み解き、新しい言葉を獲得する力を測ります。
問題をご覧ください。
問題 具体例同定 Q 次の文を読みなさい。 2で割り切れる数を偶数という。そうでない数を奇数という。 偶数をすべて選びなさい。 ① 8 ② 110 ③ 65 ④ 0 |
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正解は、①「8」、②「110」、④「0」です。
「0って偶数なの⁉」と驚かれた方は少なくないと思います。