新大阪駅から15分なのに巨大廃墟がそびえる…「消えた終着駅」が映し出す昭和のニュータウンの栄枯盛衰
駆け出しのアーティストやアイドルにとっての"聖地"
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電車の「終着駅」には一体何があるのか。ライター・鼠入昌史さんの新刊『ナゾの終着駅』(文春新書)より、2024年まで大阪メトロ御堂筋線の終着駅として多くの新幹線ユーザーが目にしてきた千里中央駅の様子を紹介する――。
新幹線ユーザーにとってナゾの駅
以前、千里中央駅にやってきたときは、終着駅だった。
新大阪駅で新幹線を降りて、地下鉄の御堂筋線に乗り継ぐ。だいたいの場合は大阪の中心部、梅田やなんば、天王寺方面に向かう電車に乗るのだが、千里中央駅はそれとは反対の終着の駅。だから、大阪の人はもとより新幹線でたまに大阪にくるような人にとっても、千里中央という駅は気になる駅のひとつとしてすり込まれているに違いない。
千里中央駅、近くに住まいや職場があるわけでもない限り、まず訪れる機会はないだろう。全新幹線ユーザーにとってのナゾの駅。千里中央駅は、そう位置づけられる駅だった。
ここでいくらか細かい話をしておくと、地下鉄御堂筋線は江坂~なかもず間を結ぶ。途中には新大阪や梅田はもちろん、淀屋橋に心斎橋、なんば、天王寺といった大阪を代表する町が目白押しという、押しも押されもせぬ市内交通の大動脈だ。