「お前って本当に無能だな」と言ったも同然…包んだつもりのオブラートから本心ダダ漏れの危険フレーズ9
部下の「存在」を消してしまう、悪気のない上司の言葉
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人が自然とついてくるリーダーは何を実践しているのか。2万人以上を指導したコーチの林健太郎さんは「マネジメントする側が最もやってはいけないのは、会議などへの参加者の存在を否定するような発言。それはコミュニケーションの入り口で出やすい」という――。 ※本稿は、林健太郎『リーダーの否定しない習慣』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
部下の「存在」を消してしまう、悪気のない上司の言葉
それでは「否定しないマネジメント」を進める際に、基本となる大切な考え方をお伝えします。まず押さえるべき一番大切なことは「相手の存在を否定しない」ということです。否定というのは、様々なシーンや状況から生まれます。
「違う!」「全然ダメ!」と意見を否定する、考えを否定する、行動を否定する、失敗を否定する、仕事の姿勢を否定する、資料などの成果物の出来を否定する……など、様々考えられるでしょう。そのなかでも最も相手に与える影響やダメージが大きく、最もやってはいけない否定が、「存在の否定」なのです。
「えっ? 存在を否定することなんてありますかね?」
「無視するとかそういうこと? さすがにそんなことをする人いますか?」
などと思うかもしれません。とはいえ、これは実際、起こり得ることで、直接的でも、間接的な伝わり方でも、存在を否定されたと感じるシーンがあります。その代表例が、相手のミスを否定するときに人格否定をしてしまうことです。たとえば、
「え、それで終わり?」 「もうちょっと考えてから動いてくれる?」 「何回言ったらわかる?」 「やっぱ向いてないんじゃない?」 「正直、戦力になってないよね……」 「こういうの、○○さんに任せるのはちょっと不安なんだよね 「もう少し“ちゃんと”してもらえると助かる」 「自分で気づいてくれるといいんだけどなぁ」 「あ、○○さんはそのまま聞いてるだけで大丈夫です」 |
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これらの言葉に含まれるニュアンスを裸の言葉にすれば、きっと「お前って本当に無能だな」といった本音になると言ったら言い過ぎでしょうか?
そう言ってしまえば、完全にパワハラにあたります。ただ、先に例示したような、多少オブラートに包んだ発言をリーダーがしたとします。
これらは能力や結果に対する否定ですが、それを言われた部下からすれば「自分が否定された」と感じるでしょう。この職場にいてはいけないのか、能力的に不適格なのかと思い悩むかもしれません。こういったものが「存在の否定」です。
あなたは、部下の存在を否定していないと、言い切れるでしょうか?