上位クラスだった息子が中受に失敗…「マンションで笑いものだ」と責めたてる教育虐待妻の離婚危機
公立中に楽しく通っているのに「留学で性根を叩きなおしてもらえ」
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中学受験失敗がきっかけで子どもに教育虐待をするようになる人がいる。離婚や男女問題に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「極端なケースでは、子どもを留学などで遠くに追いやろうとし、夫婦で意見が食い違って離婚の危機に陥ることもある」という――。 ※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。
「超難関校合格は当然」と信じていたのに
A子さん(仮名)は、30代の主婦で、夫と息子と3人で都内のタワーマンションで暮らしていました。
中学受験を控えた息子は非常に成績優秀で、A子さんにとって自慢の子どもでした。
有名塾では常に上位クラスをキープして、模試では合格圏内。同じタワマン、同じ塾のママ友たちにはいつもうらやましがられ、A子さんは息子が超難関校に合格するのは当然と信じていました。
しかし、本番での結果は想像していたものとは大きく異なりました。息子はほとんどの学校に不合格となったのです。
唯一受かったのは、塾の勧めで練習のために受けた中高一貫校だけ。息子は当初その学校に行くつもりは全くありませんでしたが、公立中学に行くよりはとそこに通うと言いました。
しかしA子さんはその結果を受け入れられず、息子に対して怒りと失望を募らせました。もし息子がそこに通ったら、難関校に不合格になったから滑り止めの学校に通っているということが周りにもわかってしまう、高校受験で有名校に行けば周りを見返せる、と夫と息子を説得して、公立中学に進学することになりました。
「塾代を無駄にした」息子を責め続ける妻
ただ、それ以来、A子さんはことあるごとに中学受験について息子に「謝ってよ」と言うようになりました。
模試では良い成績だったのに、本番では失敗したことを何度も持ち出し、息子が「本番では頭が真っ白になって何もわからなくなった」と泣きながら謝ると、A子さんは「努力が足りなかった、何のために勉強をしてきたのか」「謝って済む話じゃない」とさらに激高します。
「塾代を無駄にした」「マンションの中で笑われている、買い物にも行けない」「あんたなんて私の子どもじゃない」――春休みの間中、A子さんは息子を責めて怒鳴り続けました。
春になり、息子は公立中学で新しい学校生活を始めましたが、A子さんは息子の門出を祝うことはありませんでした。
入学式にもA子さんだけ出席せず、行事のたびに本命だった難関校と比べて、「あっちに受かっていればこんなことにはならなかった」「ばかな生徒ばっかり」と息子に向かって嫌味を言い続けました。
さらに息子が「友達ができた」「今日学校で楽しいことがあった」と報告しようものなら、「出来の悪い人と友達になると高校受験に悪影響」と非難します。