こんなマンション管理組合では弱すぎる…外壁崩落、漏水トラブルで露呈「プロが"最悪"という住民のパターン」
管理会社から「いいカモ」にされてしまう
Profile
住んでいるマンションに不具合が出た場合、住民や管理組合にできることは何か。一級建築士の須藤桂一さんは「管理会社に調査を任せるのは最悪だ。しっかりした管理組合は普段から住民同士の関係性を築き、外部の専門家との繋がりももっている」という――。
調査をデベロッパー任せにしてはいけない
どんなに注意を払ってマンション選びをしても、入居後にトラブルに見舞われることがある。最近も、東京都世田谷区の高級マンション「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」で深刻な欠陥、違法建築が発覚、訴訟に発展しニュースとなった。
そこで、マンションに不具合があった場合、大切な財産を守るため、管理組合や区分所有者がどうすべきなのか、ベストの対処法をマンション管理のプロに聞いた。
あなたのマンションで、もし外壁の崩落、漏水といった重大な不具合が発生した場合、管理組合はどんな対応をしているだろうか? 「管理会社にまず相談し、マンションを作ったゼネコン、デベロッパーに調査してもらう」のが普通だろう。
ところが、マンションの管理見直し、大規模修繕工事の設計監理について、コンサルティングの経験が豊富な一級建築士の須藤桂一さんは開口一番、「欠陥や違法建築の調査を、ゼネコンやデベロッパーに任せ切りにするのは最悪です」と切り捨てる。
「犯罪捜査を犯人にさせるようなもの。欠陥や違法建築があったとしても、簡単に認めるわけがありません。下手をすれば、証拠も隠滅してしまうでしょう。
管理会社も本来、“管理組合の味方”であるべきですが、とりわけ、マンションを作ったゼネコン、デベロッパーの系列管理会社には要注意。
マンション分譲後も、系列管理会社が管理を担うケースが圧倒的に多いのですが、系列管理会社が、欠陥や違法建築の隠蔽に加担しても不思議ではありません。親会社に逆らうはずがないからです。私は、系列管理会社が管理組合に対して利益相反行為を行った場合、ほかの管理会社に速やかに契約変更するようお勧めしています」(須藤さん)
外部の専門家にセカンドオピニオンを
では、建物や設備などの不審点に気づいた場合、管理組合はどう対応すべきだろうか?
須藤さんは、次のようにアドバイスする。
「多少のコストや手間がかかったとしても、独自に探した外部の専門家に調査してもらい、証拠を保全しましょう。欠陥工事は、管理組合に巨額の損害をもたらすことがあるので、長い目で見れば、そのほうが得策です。ただし、“セカンドオピニオン”を取るのが目的。調査結果を比較するため、後でデベロッパーにも調査をさせましょう」
大規模な施工不良による共用部の改修で、工費が5000万円かかったとしよう。区分所有者は持ち分が2%なら、100万円もの損害を被ったことになる。責任の所在を、明らかにしておく必要があるのだ。