LUUPの嫌われ方はホームレスと似ている…マナーが悪いだけではない、社会が電動キックボードに不寛容な理由
「皆の空間」をわが物顔で使っている
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【後編】西成を「家族が集う小奇麗な街」にしてどうする…紋切り型の「金太郎飴タウン」ばかり造る再開発が乱発するワケ ホームレスが集う公園が浄化され、ちょっとした隙間に電動キックボードのポートができる東京の都市開発は正しい方向に進んでいるといえるのか。『ワイルドサイド漂流記 歌舞伎町・西成・インド・その他の街』(文藝春秋)を刊行したルポライターの國友公司氏と『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)などの著書がある都市ジャーナリストの谷頭和希氏に、それぞれの視点から語ってもらった――。(前編/全2回)
ミクロで見る街、マクロで見る街
【谷頭】以前から感じていたことですが、お互い街が好きで、街のレポートを生業としているのに、視点がまったく違いますよね。
【國友】そうなんですよ。僕は完全に「ミクロ」で、そこにいる個人の生活に興味があります。逆に谷頭さんは「マクロ」で、都市を構造的に捉えていますよね。自分はマクロ視点を持てないので、今日お話しすることで僕が見てきた「点」と、谷頭さんが見ている「線」が繋がるんじゃないかと期待してきました。
【谷頭】光栄です。僕も逆で、國友さんのようにその街に住み込んだり、自分を投げ打って対象の懐に飛び込んだりするのは苦手なんです。ルポライターという仕事に憧れはあっても、自分にはできないなと。
【國友】僕も谷頭さんのように、物事を俯瞰で分析することは苦手なので、お互いにないものを補い合える関係なのかもしれませんね。
【谷頭】まさに。國友さんの新刊『ワイルドサイド漂流記』(文藝春秋)を拝読して、ミクロ視点の面白さを改めて感じました。今や海外旅行もインスタで行き先を決める時代で、「もう未知の場所なんてない」と言われがちですが、この本を読むと「そんなことはないぞ」と。ジープで8時間揺られないと辿り着けない場所があって、そこにはわれわれの知らないリアルな生活がある。その描写が本当に面白いんです。
【國友】ありがとうございます。私も決してあんな旅をしたくてしているわけではないんですが(笑)。