「上司の前であくびをする部下」がいたら要注意…「やる気がないから」ではない、ストレスを抱えやすい人の特徴
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口数が少ない相手の真意を汲み取る方法はあるのか。コミュニケーションの専門家であるパトリック・キング氏は「実は相手の『しぐさ』には、言葉からはわからないメッセージがたくさん詰まっている」という――。 ※本稿は、パトリック・キング著、浦谷計子訳『本を読むように人を読む 心理解読大全』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「なでる」「さする」は自分を落ち着かせようとするサイン
額を触る、首をさする、髪の毛をいじる、手を揉むというのは、すべて、ストレスを和らげるための行動だ。
首は身体の中の弱い部分でありながら、比較的、外部にさらされている。弱い部分はとかくねらわれやすいから、のどや首を急所のように感じるのは無理もない。だから、その弱い部分を無意識に隠したり撫でたりするのは、内面に抱えている葛藤や感情的苦痛、不安の表れだと理解できる。このしぐさは女性よりも男性に多く見られる。
男性はネクタイをいじったり、首の上部を圧迫したりするが、女性は頸切痕(首の根元の鎖骨の間にあるくぼみ)に指を当てたり、そわそわとネックレスを触ったりする。
相手のこうした振る舞いに目を向けると、その人が今まさに感じている恐怖や不安が明らかになる。あなたがちょっと攻撃的なことを言ったとしよう。すると相手は少しふんぞり返って、腕組みをし、片手を喉に当てた。そういう場合、あなたの発言が相手にある種の恐怖や不安を引き起こしたと考えられる。
同様に、額やこめかみをさすったり、触ったりするしぐさは、感情的な苦痛や苦悩を表す。指先で何かを軽くコツコツと叩くのは、一時的なストレスの表現かもしれないが、両手で頭を抱えたままでいるのは、極度の苦悩を意味する可能性がある。
抱える、撫でる、さするといった動きは、自分を落ち着かせようとしているサインだと思っていい。たとえば、緊張や驚きを感じると、人は頬を触る、唇をこすったりなめたりする、耳たぶを揉む、髪やヒゲをいじるといったしぐさを見せる。
あくびもストレス発散反応のひとつ
だが、撫でたりさすったりするだけが鎮静化行動ではない。頬を膨らませてから息を盛大に吐き出すというのも、深刻なストレスを発散しようとするときのしぐさだ。悪い知らせを受けた人や間一髪で難を逃れた人に、よく見られる。
そして、意外なことに、あくびもストレス発散反応のひとつだ。退屈を表すというより、むしろ、ストレスを受けた身体がより多くの酸素をとり込もうとして見せる突然の反応なのだ。動物にもよく見られるだろう。
また、「脚の浄化」と呼ばれるストレス発散反応もある。脚の汚れを洗い流すかのような、ほこりをはらうかのようなしぐさのことだ。テーブルに隠れて見逃しやすいが、もし相手がこのしぐさをしていたら、ストレスを和らげようとしていると考えていい。
「換気」も気づきにくいしぐさのひとつかもしれない。暑さを和らげるようにシャツの襟を引っ張って首回りの通気をよくしたり、肩にかかった髪をはらったりするのがそうだ。不快感や緊張感の表れと考えられる。文字どおり、不快な環境のせいという場合もあるが、内面の緊張やストレスがそうさせている可能性が高い。