「頭のいい子が育つ家庭」では常識…普通の親は「もう宿題やったの?」と聞く、では一流の親はどうする?
Profile
頭のいい子が育つ家庭と、普通の家庭の差は何なのか。東大生作家の西岡壱誠さんは「東大生の親には子供へ指図したり宿題をやったか確認したりしない傾向がある。話すスキルより、子供の考えを聞き出すのがうまい」という――。 ※本稿は、西岡壱誠『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
東大生の親は“聞き上手”
「東大生が育った家庭では、どんな共通点があるのか?」
これは、私たちがこれまで数多くの東大生やその親御さんと接してきた中で、何度も考えさせられてきた問いです。
私たちは、東大生を対象にしたアンケート調査やインタビューを継続的に実施しており、その中で「東大生の親に共通する特徴とは何か?」というテーマについて考察してきました。その中で、私たちの取材で特に浮かび上がってきたのが、「親子のコミュニケーションの質」という要素です。
学力や集中力、思考力を育てるうえで、「親御さんの子どもに対する関わり方」は大きな影響を与えます。しかし、それは単に「勉強を教える」「習い事をさせる」といった支援だけではありません。それよりも、とてつもなく長い「親と子どもの会話の日常会話」の方が重要な時間だと言えます。
今回は、「東大生の親は、話し上手ではなく、聞き上手である」ということについてみなさんにシェアさせていただきたいと思います。
勉強をガッツリ教えない
多くの東大生に「親との会話で印象に残っていることはありますか?」と尋ねると、返ってくるのは「よく話を聞いてくれた」「意見を押し付けてこなかった」というエピソードです。
「買い物の時でも、塾から家に帰る時でも、基本的には話を聞いてくれて、こちらから親に話をする時間が長かった」
「受験する学校とか将来について話す時、母親は端的に自分の意見を伝えた後で、『○○(自分の名前)はどう思う?』と聞いてくれることが多かった」
このように、「あなたはどう思う?」という問いかけを重視している家庭が多いのです。多くの人は、東大生の親というと、勉強をガッツリ教えて、「これはこうなんだよ」ということをたくさん語るようなイメージを持っているかもしれません。このイメージは実は現実とは逆で、自分の意見や自分の持っている情報を伝える時間は最小限に抑え、あとは相手の話を「聞く」フェイズにしている場合が多いのです。
東大生の親は、「話す」スキルよりも、「聞く」スキルが高いです。例えば、東大生の親は、日常的な会話の中でも、「はい・いいえ」で答えられる質問(クローズドクエスチョン)」ではなく、「あなたはどう思う?」「どうしたい?」といったオープンクエスチョンを多用する傾向があります。