習近平政権の綱渡り…「面子か、景気か」で揺れる中国がこれから直面する「5%成長」の呪縛

習近平政権の綱渡り…「面子か、景気か」で揺れる中国がこれから直面する「5%成長」の呪縛

トランプ関税の標的になった中国はこれからどうなるのか。中国経済を分析する伊藤忠総研主任研究員の玉井芳野さんは「不動産市場の調整が続く中でも1~3月期の実質GDP成長率はプラス5.4%の好調なスタートを切ったが、4月以降激化した米中貿易戦争により、景気減速は避けられない」という――。

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2025年4月3日にフロリダ州マイアミで撮影されたドナルド・トランプ米大統領(左)と、2025年3月5日に北京で撮影された習近平中国国家主席(右)

1~3月期は5%超え成長、好調なスタート

4月16日に発表された中国の2025年1~3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.4%と、2024年10~12月期(+5.4%)と同じ伸びを維持し(図表1)、通年目標である「+5%前後」を上回る好調な結果であった。国家統計局公表の前期比は+1.2%(年率+4.9%)と10~12月期の+1.6%(年率+6.6%)から減速したものの、高めの伸びを維持した。

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1~3月期が高成長となった背景には、①消費財買い替え促進策拡充を受けた個人消費の改善、②インフラ投資の加速、③4月以降の更なるトランプ関税引き上げを警戒した駆け込み輸出、の3つの要因があると考えられる。

各要因について詳細をみてみよう。

まず①の消費に関して、1~3月期の社会消費品小売総額(当社試算の実質)は前年同期比+4.7%と前期の+3.6%から伸びを高めた。2024年から景気支援の一環として実施されている消費財買い替え支援策を受け、家電の販売が引き続き好調なほか、2025年から新たに補助金支給対象となったスマートフォンなど通信機器も前年比で約+30%と高い伸びを示した。

政策効果や駆け込み輸出に依存

次に、②のインフラ投資(鉄道・道路、水利・環境・公共施設管理、電気・ガス・水道の合計)については、1~3月期に前年同期比+13.9%(当社試算の実質)と前期の+13.5%から小幅に伸びを高めた。

中国政府は、2025年3月に開催された全人代(国会に相当)で、インフラ投資の資金源となる地方政府専項債という債券の発行枠を2024年から増額しており、その発行ペースの高まりが投資を押し上げた模様。

③の輸出については、1~3月期に前年同期比+5.7%と前期の+9.9%から伸びが鈍化したものの、2~3月に米トランプ政権が全対中輸入品に合計20%の追加関税を賦課したことを考慮すると、高めの伸びを維持したと言えよう。

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2025.05.06

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