子どもに社交性は必要?なぜ親は子どもの没頭を妨げてしまうのか【てぃ先生×ひろゆき③】
現役保育士のてぃ先生と「2ちゃんねる」開設者で実業家のひろゆきさんによる「子どもが幸せになるためには」をテーマにした対談。全3回中3回目は、ネット上の誹謗中傷に対する考え方について伺いました。
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親が子どもが没頭していると不安になる
――もしお二人にお子さんがいたとして、その子がネットで誹謗中傷を受けたとしたらどのようなコミュニケーションを取りますか?
てぃ先生:弁護士に連絡する!
ひろゆき:直球ですね(笑)。
――お子さんに対してはいかがでしょう?
ひろゆき:ふ~んって。大したことじゃないんですよね。僕は基本、ネットに書いてあることが嫌なら見なければ? というタイプなので。
てぃ先生:みんなコメント欄を見たり、エゴサーチしたりするけど、なんでわざわざ自ら傷つきに行くんだろうってちょっと疑問なんですよね。もちろん良いことも書いてあるかもしれないけど、そこで予期せぬダメージを与えられることもあるわけで。だからある程度自分を律するのも大事かなと思います。誹謗中傷はもちろん許されたことではないけど、自分にとって気持ち良かったり都合が良かったりすることばかりが書いてあるわけないじゃないですか。
ひろゆき:人とぶつかる経験が少ないせいだと思いますけどね。リアルの友だちにもっとひどいこと言われてたら、ネット上で会ったこともない人に何か言われてもふ~んで済むじゃないですか。誰かに何か言われた時必要以上に気にしないためにも、やっぱり根拠のない自信、図太さが大事だと思うんです。アメリカなんかだと、誰がどう言おうと「自分かわいい!」と言う人がいる。もう誰が何と言おうと関係なく私が決めるし、親もそう言っている。やっぱりそういう子は強い。
てぃ先生:そういう意味では親御さんの力も必要じゃないですか? たとえば「かわいくない」と言われたとして、親も一緒に傷つくよりは「いや、あなたはかわいいよ」と言った方がいいかも。親側にも根拠のない自信が必要というか。
ひろゆき:日本はそもそもかわいいの類型が少なすぎると思います。肌が白くてスタイルがよくて、みたいな一つの像があるじゃないですか。でもアメリカやフランスだと、アフリカ系のかわいいがあって、ドイツ系のかわいいもあれば、スペイン系のかわいいもラテン系のかわいいもある。そういう風にかわいいの尺度がいろいろあるけど、日本の場合は一つの像におさまるかわいいじゃなかったらもうダメ、みたいな。もっといろんなパターンのかわいいを認識した方がいいと思うんですけどね。
――基準が一つだから苦しくなるというのはあるかもしれないですね。次のテーマに移りたいと思います。子どもが幸せになるために必要なスキルを一つだけ挙げるとしたら、何だと思いますか?
てぃ先生:僕は甘える力だと思います。最近の傾向として、親御さんはいかに早く自分の子どもを自立させるか考えてると思います。でもその結果子どもが甘えられる機会が少なくなった。日本は特に、人様に迷惑をかけてはいけないという教育も強い印象がある。だから、子どもが親御さんから離れて活動するようになった時、人に頼ったり甘えたりすることが上手にできずに損したり不利になったりするなと普段から子どもたちを見て思ってるんです。
てぃ先生:逆に甘えるのが得意な子は、たとえば普段はこういう時子どもを抱っこしないという価値観を持ってる保育士さんにも上手に甘えて抱っこさせてるんですよ。これは社会に出た時も役立つことがいっぱいあるんじゃないかなと思う。
ひろゆき:僕は逆ですね。没頭して時間が経つのを忘れる趣味があるかどうか。嫌なことがあってストレスが溜まったとします。でも、趣味に没頭しているとすっかり忘れられる人は、次の日に持ち越さないですよね。人とのかかわりを求めたり承認欲求があったりする人は、飲み会にお金を使ったりおしゃれするために色々買ったりする。そのためには嫌な仕事もしなきゃならない。一方で人にかかわらずとも没頭できる趣味を持っていると、別にそんなにお金を使わなくても家に帰れば楽しいよねっていう。なので、他人に依存しなくて済むという意味でも没頭できる趣味があるといいと思います。
てぃ先生:そういう考え方もありますよね。ただいつもこういう話題の時に言ってるけど、多くの親御さんが子どもに没頭させないんですよ。電車が好きな子はもう電車のことで頭がいっぱいだけど、親御さんは「ねえねえ、お花も見てみない?」みたいな提案をするじゃないですか。そこが難しい。心配なんでしょうね。
――そうなんですよね。一つのことに集中しすぎちゃうと心配してしまいます。
ひろゆき:どうしてですか?
――周りの人と話が合わなくなるんじゃないかという不安ですね。ほかの子が「こっちで遊ぼうよ」と声をかけても、自分がしたいことをするために断っていたら孤立しちゃうのかなって。
ひろゆき:みんなに合わせなきゃいけないっていうのが、僕ちょっとわからないんですよね。もし友だちと一緒に遊びたいけど入れないとしたらまずい。でも入る気がないんだったら、別にいいんじゃないって。
てぃ先生:それ、声を大にして言ってほしい! 僕のインスタには毎日10通くらいこういう質問が来るんですよ。「お友だちと一緒にいる時に、子どもが輪に入っていかないんです」と。僕が「お子さんはお友だちと遊びたがってるんですか?」と聞くと、「いや、興味がないみたいなんです」と返ってくる。それをなぜ入れたがるの? というのがわからなくて!
――このままだといざ輪に入りたい時にはもう入れないんじゃないかなとか、余計な心配をしてしまうんですよね……。
ひろゆき:子どもが輪に入りたいと思った時、入り方を教えてあげればいいじゃないですか。
てぃ先生:そうそう。あと僕が思うのは、特に小さいお子さんは「この子と遊びたい」よりも「この遊びがしたい」が常に先行されるんですよ。だから我が子が砂場遊びばっかりするなら、「ほら、あの子と遊びなさいよ」と言っても無理なんです。だって、砂場で遊びたいから。
じゃあ周りの大人ができることは何かといえば、その子のしている砂場遊びをより魅力的にすること。その子がめちゃくちゃ楽しそうに砂場遊びをしていたら、ほかの子たちも気になるじゃないですか。そしたらこっちが行かなくても、向こうが来てくれる。だから親御さんはその子がしたいことにとことん没頭させてあげて、それが広がるような対応をした方がむしろ得じゃないかと思います。
子どもの「なんで?」攻撃にどう対処する?
てぃ先生:もしひろゆきさんにお子さんがいたとして、もし習いごとをさせるとしたら何を選びますか?
ひろゆき:語学と運動ですね。英語なんかだと、10歳くらいまでに始めないとLとRの区別がつかないと言うじゃないですか。スポーツについても、運動能力が発達するのは10歳近辺までらしいんです。なので、この2つは若いうちにやらせるべきかなって。
特に運動ですね。双子のひとりは運動させて、もうひとりは運動させない実験をした時に、運動させた方の子の方がIQが良かったそうなんです。なので、運動させておいた方が脳が育ちやすい。あとはアホみたいに食わせる。結局身体の維持よりも多くの栄養を摂ることで成長するわけじゃないですか。なので、基本的には余るぐらい食わせないといけない。なので成長期はぽっちゃりしてるくらいでちょうどいいけど、最近の人は子どもを痩せさせようとするんであれは頭悪いなと思って。
――今回読者の方からも質問をいただいているので紹介します。
子どものなんでなんで攻撃に、理論的に返答してしまいます。雷が怖いという息子に対して、「あれは電気エネルギーが放出されているだけだから怖くないよ」と答えてしまいます。頭でっかちな子どもになりつつあるので、「雷さんがゴロゴロ太鼓を鳴らしてるんだよ」というようなファンタジーの返答をすべきでしょうか。(0歳と4歳をお子さんを育てる30代前半保護者)
てぃ先生:理論的な答えを求めているお子さんもいるので一概には言えませんが、たぶんゴロゴロ太鼓を鳴らしている理由が知りたいんですよ。僕がいつも気を付けてるのは、そのお子さんに絡めたエピソードとして応えることです。
たとえば、散歩してる時に花壇のお花を見つけたとします。その時お子さんが「なんでここにお花が咲いてるの?」と聞いてきたとして、理論的に答えようとすると「マンションの管理人さんが植えたからだよ」ということになるけど、お子さんが理解しやすいのは「『このお花きれい』と思ったでしょ? だから〇〇くんに喜んでほしくてここに咲いてるんだよ」と答えた方が、自分も絡んだ答えだから理解しやすいんですよ。
ひろゆき:なんでも神様のせいにする頭の悪い人たちの言い分を、頭のいい人たちが真似する必要ってないと思うんですよね。ちゃんと正しいことを理解したい子に間違ったことを教えるのは馬鹿のやることじゃないですか。
てぃ先生:たぶん「説明してもわからない」という気持ちが大前提としてあるんでしょうね。
ひろゆき:その考えはよくないと思ってるんですよ。エンジニアリングの世界でもよくあるけど、難しいとされている言語でも、子どもの頃からやっているといきなりできたりする。でもそんなに難しくないとされている言語から始めた人は、難しい言語に当たった時に「なんかこれ大変そうだからできない」と思い込んでできなかったりする。大人が難しいと思い込んでいるものは、子どももそういうもんかと思って簡単に受け入れてしまうんですよ。
外国語も同じで、英語は難しいとかドイツ語は難しいって言ってたらそうなのかって思っちゃうけど、みんなが普通に英語やドイツ語をしゃべってたら子どもも普通にしゃべるようになる。だから「これは難しいからできないだろう」と勝手に決めつけるのは、子どもにとってよくないんじゃないかと思ってます。
――たしかにそうですね。子どもに親の価値観や考えを植えつけないことが大事だと改めて思いました。今日はどうもありがとうございました!
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