メールの「お世話になっております」に意味ありますか?…いくら働いても仕事が終わらない人の悲しい共通点
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仕事ができる人、できない人の差はどこにあるのか。『道ばたの石ころ どうやって売るか?』(アスコム)を書いたPRコンサルタントの野呂エイシロウさんは「仕事が遅い人は、固定観念にとらわれて思考停止している。まずは常識を疑うことから始めるといい」という――。(第1回)
「枠」にとらわれる必要はない
あなたが連日残業続きで、ヘトヘトに疲れていたとします。その原因は、会議やプレゼンに提出する大量の資料作成に大幅な時間を割いているということ。やってもやっても仕事が終わらず、深夜までかかってしまうので、どうにかしたいと思っています。
そんな時、枠にはまった考え方しかできない人は、とにかく書類の作成スピードを上げよう、文章を早く書けるようにしよう、ショートカットキーをたくさん覚えよう、という「スキルアップ」な答えになりがちです。それはそれで必要かもしれませんが、多少の時短になったとしても、それだけでは定時上がりは難しいでしょう。
枠にはまらない人なら「そもそもその資料が必要なのか」ということから考えます。クライアントへの提出ならともかく、社内向けの資料であれば口頭で説明できないか、あるいは何十ページもの資料ではなく、ペライチに要点だけまとめたほうが結果的に社内の会議でも分かりやすいのではないか、ということも考えられます。
上司や先輩のやり方を踏襲するという“枠”にとらわれる必要はあるのかどうか考えてみるのも手です。クライアント向けのプレゼン資料であったとしても、ムダに豪華な資料が必要なのかどうか、あらためて検討してみてもいいのではないでしょうか。
「本当に必要なのか」を考える
クライアントに見せる資料は「きれいに」「豪華に」作らなくてはいけないというのも、ある種の思い込みです。クライアントが望んでいるのは美しさではなく、自分たちにメリットがあるかどうかです。
ある調査によると、商談に使うパワーポイントの資料は、「3色以内」「1ページ105文字以内」が、一番成約率が高いのだそうです。そのほうが見やすいということもあるでしょうし、結局は提案の中身しだいということでしょう。
「この仕事は、こんなふうにやらなければいけない」という枠組みにとらわれるのではなく、「そもそも、その仕事が必要なのか」という枠の外の視点に立てば、「残業をなくす」という課題解決に近づけます。
ちなみに、私はムダな仕事はしない主義で、特別な事情がないかぎりクライアントへのメールも数行です。1行の時もあります。
「こんな、短いメールは野呂さんだけだよ」と驚かれますが、支障が出たことはありません。「お世話になっております」なんて定型文は使いません。だって、意味がないですよね。もっとも私は普段からみんなを笑わせて、細かなことは気にしないキャラですから、「野呂だから仕方がないか」と思ってくれているのかもしれません。