だから「やりたいことをやらず、ただ悩む人」が続出する…本当にやりたいことを知るための"YES・NO質問"
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自分が本当にやりたいことを、見極めるにはどうすればいいか。心理セラピストの杉田隆史さんは「人はやりたいと言って、それをやらないことで心を安定させることがある。本当にやりたいことかどうかを知るためには、『はい』か『いいえ』で答えられるこの質問を自分自身に投げかけるといい」という――。 ※本稿は、杉田隆史『「なんだか生きづらい」がスーッとなくなる本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
「悩み」が心の安定に役立っているケースも
私の知人に、飲食店に勤務している人がいます。
彼は私に会うたび、いつも「独立して自分の店を持ちたい」と夢を語ります。ところが、10年以上も前からそんな話を聞かされているのに、彼の独立の計画は一向に進んでいる気配がないんです。
こんなふうに、「~さえできれば、人生が大きく変わるのに」と自分でわかっていながら、それに対して、何年も行動を起こしていないことってありますよね。
こういうのって不思議ですよね。自分が「やりたいこと」のはずなのに、しかも「人生が大きく変わる」とわかっているはずなのに、やろうとしないなんて。
でもそういう行動の奥には、意外な心理が隠れています。
じつはこういうケースでは、「悩みが希望になっている」んですね。
たとえば私の知人の例であれば、彼が独立に実際にチャレンジして、結果「独立できない」ということがハッキリわかってしまったら、もう「希望」が持てなくなってしまうわけです。
でもやらないでいれば、ずっと「希望」を持っていられます。告白しなければフラれないみたいな感じと言えばいいのでしょうか。
ということは、彼は「独立さえできれば」と悩んでいながら、じつは「やってしまって」その「悩み」が奪われることを、心の奥では恐れていたりするんです。それは同時に「希望」を奪われることにもつながるわけですから。
もし、「独立さえできれば」という「悩み」がなかったら、不満だらけの毎日をやりすごせなかったんだと思います。おかしな話ですが、「悩み」が心の安定に役立っていたんですね。