「サザエさん」一家のような広い家はもう買えない…日本で「個性のない狭小住宅」が増殖しているワケ

「サザエさん」一家のような広い家はもう買えない…日本で「個性のない狭小住宅」が増殖しているワケ

日本人の家に変化が起きている。建築エコノミスト・森山高至さんは「都市部では土地価格の上昇により住宅地がどんどん切り分けられ、細長い狭小住宅が雨後の竹の子のごとく生まれている」という。著書『ファスト化する日本建築』(扶桑社新書)より、一部を紹介する――。

間口3m強の「細長過ぎる家」

都市の中に、ずいぶん細長い住宅が建てられているという実感はないだろうか?

間口が駐車場ギリギリの3メートル強、玄関はその駐車スペースの奥に位置する。いわゆる京都によくある小間口の町屋や長屋でもなく、都心の古い商業地の連棟長屋ですらない。

街区の都市計画指定では、住居専用地域と思われる2階建てが多く建つ住宅地の中に、あくまで一戸建てではありながら、細長過ぎるのである。

敷地と敷地の間は、人が通れるギリギリの隙間を互いに設けてあり、ネットフェンスやブロック塀で仕切られている。その隙間分50センチを両側に加えて、土地の大きさは4mぐらいの幅であるケースが多いだろう。

これらは元々の土地が、何かの理由で小さく残されていたものではなく、そのほとんどはかつて庭付きの一戸建て住宅の土地を、さらに半分や3分の1に切り分けて計画されたものなのである。

昭和時代はフツウだった100坪敷地

そのような土地は、都心のターミナル駅から10駅以内の30分圏内によく見られるもので、昭和40年代に分譲されたと思われる。築50年程の住宅が建っており、相続時期を迎え相続税の支払いや、家族は既に他の場所やマンション等に居住している、元の家を維持する気のない遺族によって売却されたケースの土地に多い。

そこをさらに分割しているのは、宅地の再販売のための苦肉の策なのである。

元の家は、15~20メートル角ほどの100坪(約330㎡)ぐらいの土地にガレージと門に塀、庭があって南向きの二階建て住宅という構成であったろう。

50数年前に連載が始まった「ドラえもん」や「オバケのQ太郎」といった藤子・F・不二雄が手掛けたマンガ作品の舞台になるような家である。

詳細を見る

この記事を読んだあなたにおすすめ

画像

https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-report-240424-96696749

2025.04.26

ニュースカテゴリの記事

「イクメンって言葉が嫌い」は男女の分断を広げる?【てぃ先生×治部れんげ】
子育てや教育のテーマを元に読者から集めた質問にゲストスピーカーと対話する動画記事コンテンツ。