「生まれつきの能力」でも「意志の強さ」でもない…"すぐに諦めてしまう子"と"やりぬく子"のたった一つの違い
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自己肯定感を高める秘訣はあるか。心理学者の榎本博明さんは「そもそも、自己肯定感を一時的な気分の高揚と混同している人が多いように思う。本当の自己肯定感とは、もっと持続的・安定的なものだ」という。では、その「本当の自己肯定感」を高めるにはどうすればいいのか。新著『自己肯定感は高くないとダメなのか』(筑摩書房)より、一部をお届けする――。
「ほめられてうれしい」≠自己肯定感が高まる
ほめられれば高まり、叱られれば低下し、何かがうまくいけば高まり、うまくいかないと低下するような一時的な気分の高揚を自己肯定感とみなすなら、そのようなものが高くても何の意味もない。いくら高めたところで、嫌なことがあればすぐに低下してしまうのだから。
一方、持続的・安定的な自己肯定感が高まれば、叱られたり、失敗したりといった否定的な出来事による衝撃を緩和することができる。だからこそ、持続的・安定的なのである。
ゆえに大切なのは持続的・安定的な自己肯定感が高いことであり、これこそが本当の自己肯定感であるとみなすべきだろう。
では、そのような本当の自己肯定感はどうしたら高まるのだろうか。
2020年に「教育新聞」に「なぜ「自信のない子」が多いのか――自己肯定感を育む11の方法」として連載したものをもとに重要と思われることを列挙しつつ解説していくので、ぜひ参考にしていただきたい。
キレやすい子供が急増している
①忍耐力を鍛え、衝動コントロール力を高める
自己肯定感の低い子の特徴のひとつに、衝動的でキレやすいということがある。
友だちから嫌なことを言われると、怒鳴るように言い返したり、つい手を出したりしてしまう。先生から注意されたことに納得がいかないと、泣きわめいたり、暴れたりしてしまう。
そのようなキレやすい子どもたちが急増していることが大きな問題となっている。
衝動が収まると後味の悪さが残るが、それでは自己肯定感は下がるばかりだ。
これに関しては、本書『自己肯定感は高くないとダメなのか』(筑摩書房)で小学校での暴力事件の件数が急増し続けていることや小1プロブレムと言われる幼稚園から小学校への移行でつまずく子が多いことを指摘し、その実態について解説したので、そちらを参照してほしい。
嫌なことがあったり、思い通りにならないことがあったりすると、ついキレてしまうというのでは自己肯定感が高まることは期待できない。また、学校に適応できない自分を肯定するのも難しいだろう。