トランプのおかげで史上最高値をどんどん更新「有事の金」に今からでも投資すべきなのか…73歳現役FPの回答
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トランプ米大統領の関税政策の影響で株価は乱高下。対して「有事のゴールド」が最高値を更新している。今からでも買うべきなのか。73歳現役FPの浦上登さんは「今後の市場の不透明さを考えると、値動きリスクのヘッジ手段として投資額の10~20%を金にすることを検討すべき。金の価格は今は高いが、毎月少しずつ積み立て投資する方法もある」という――。
なぜ世界の投資家は「金」にも投資をするのか
アメリカのトランプ大統領が世界全体を相手に関税をかけると言い出し、株価が暴落した「トランプショック」。4月9日には報復関税を課さない国には相互関税は90日猶予するという声明を出したので、一転して株価は急騰したが、中国には125%の関税をかける(4月11日には145%に訂正)と宣言したこともあり、今後どんな形で事態が収拾されるのかは見えていない。
アメリカのAEI(The American Enterprise Institute)というシンクタンクは、トランプ政権の計算が間違っていて、彼らが提示した相互関税は本来の数字の倍になっていると指摘した。これが本当なら、始めから間違った認識によって世界を混乱に陥れたことになる。
基軸通貨を持ち、世界のGDPの4分の1を占める国といえども、腕力で歴史の針を巻き戻すことはできない。これで世界を恐慌に巻き込んだらトランプ大統領は永遠に悪名を歴史に残すことになるだろう。
ここで、方針を修正したとしても、バブル崩壊の兆しが見えていた米国の株式市場がどうなるかは予測不可能だ。
図表1を見ていただきたい。アメリカのS&P500の価格推移を直近の4つの株価後退、すなわち、リーマンショック、コロナショック、ウクライナ戦争、トランプショックで比較したものだ。
直近の高値からの下落率で比較すると次の通り。
リーマンショック △57%
コロナショック △44%
ウクライナ戦争 △25%
トランプショック △19%(2025-4-12現在)
この比較でいうと、今のところ従来の3つの株価後退と比べれば、ショックは一番軽いが、今後株価は調整局面に入る可能性が高そうである。