「通勤電車には"体にいい席"がある」…精神科医が"地下鉄以外"の電車で推奨する行動とは
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ラジオ体操、冷水シャワー、脳トレ……健康にいい朝の過ごし方についてはさまざまな「説」がある。科学的に根拠のある「説」はどれなのか。生活習慣と睡眠に詳しい精神科医に聞いた。
1.起床
日中、元気に過ごせるのはどっち?
A 10分だけ二度寝する
B 明るい光で目を覚ます
音に頼らないのが理想の起き方
今の日本社会は朝型人間にとって有利にできているといえます。深夜残業は望ましくないとされる一方で、朝早くから活動することは称賛されがち……ということは、年をとるのも悪いことばかりではありません。人間は30代半ばごろから、徐々に体内リズムが朝型にシフトしてきます。すると若いころは朝が苦手だった人でも、朝にすんなり起きられるようになるのです。
体内リズムが朝型になるに従い、夜眠くなる時間も前倒しになって、夜遅くまで働いたり、徹夜したりという無理がきかなくなってきます。つまり中年以降は朝から夕方までがメインの活動時間。朝の時間帯を有効活用することが、より重要になるといえます。
また、朝の過ごし方はその日一日の体調や仕事の効率も左右します。ちょっとした違いでも積み重なれば大きな違いになるもの。正しい朝の習慣を身につけたいものです。
まずは毎朝の「起き方」について確認してみましょう。あなたは目覚まし時計を使って起きていますか? ほとんどの人はスマホのアラームで起きているのではないでしょうか。
スマホのアラームについていることが多い「スヌーズ機能」は、今や若者を中心に多くの人が使っています。「あとちょっとだけ寝かせて……」というときに便利な機能です。
スヌーズ機能を使うと、以前は目覚めが悪くなり眠気が増えるのではないかと考えられていました。しかし最近では、スヌーズ機能を使ったときは朝の眠気が強いものの、日中の記憶や作業能力はむしろ良かったというデータもあり、結果は一貫していません。
スヌーズ機能が目覚めによくないという説の要因として挙げられるのは、眠っている脳の「もっと眠り続けていたい」という特性です(これを「睡眠慣性」といいます)。スヌーズ機能を使う起床法を毎朝続けていると、起床すべきときに浅い睡眠を繰り返してしまい、眠り続けたいという「睡眠慣性」を長引かせると考えられているのです。
かといって、アラームの大きな音でいきなり飛び起きるのはストレスになりえます。そもそも、自然界にアラームはありません。できればアラームに頼らず、部屋の明るさで自然に起きられるように生活リズムを整えましょう。アラームは寝過ごさないための「保険」の意味でセットして、スヌーズ機能には頼りすぎないほうがよいでしょう。
寝起きが悪くて困るという人は、目が覚めたら布団のなかで手足や体幹を動かしてみてください。手を握ったり開いたりを繰り返す。左右にゴロゴロと向きを変え、足をバタバタさせる。伸びをする。こんなふうに体を動かすと体温が上がり、目が覚めてきます。あるいは口に出して「あー、イヤだ! 起きたくない!」と大きな声で言うと、さらに覚醒効果が得られるうえ、精神的なモヤモヤを吐き出してスッキリする「カタルシス効果」も得られます。