「新型マツダ・ロードスターが290万円」は奇跡に等しい…文化事業化した国産「大衆スポーツカー」が直面する危機
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2024年に大幅商品改良を行った4代目マツダロードスター(ND型ロードスター)が、販売好調だ。自動車ライターの小沢コージさんは「外観からインテリアから走りまで全域で進歩した。ただ、国産スポーツカーを取り巻く状況は年々厳しさを増している」という――。
なぜ今ロードスターが売れているのか
今年に入り、マツダの国内販売が伸び悩んでいます。
本来コロナ禍を抜けて上り調子なメーカーも多いはずですが、例の認証不正問題もあり、同社の2024年上半期の国内販売は乗用車6万3501台でマイナス31.9%と3割減!
逆に海外販売は55万1889台で前年同期比5.4%のプラス。中でも電動化で厳しいはずの中国が4万1688台と31.3%のプラスで、それだけに国内の低調ぶりが際立ちます。
車種別に見ても1~6月月販合算はコンパクトカーのマツダ2が1万400台で前年同月92%、売れ筋SUVのCX-5が8700台で64%、CX-30が6500台で63%、スタイリッシュハッチバックのマツダ3が5900台で75%と軒並みダウン。
そんな中、予想外に気を吐いているのがスポーツカーのマツダ・ロードスターで上半期は4900台と実に前年同月118%。マニアックな2人乗りオープンなので絶対数は多くないですが月平均800台超えと大爆発。今年1~3月に限っては月販1000台以上と例外的に伸びているのです。
しかも現行ND型(標準グレードの「S」が289万8500円〜)は、2015年デビューの4代目。発売から実に9年目を迎えており、2024年1月は大幅商品改良こそ行われましたが、骨格は基本変わりませんし、根本的な室内スペースやラゲッジスペースも変わりません。
走りは、クルマ好きの中では「歴代ベスト」の声が上がるほど熟成されていますが、ハイブリッド化もしていませんし、古さは否めません。ロードスターはなぜにそこまで長く愛されるのでしょう?