小学生の3割が1ヶ月の読書量ゼロ!自ら進んで読む「読書習慣」を身につける方法

読書がもたらす効果から習慣付けとコツ、また注意点など

小学生の3割が1ヶ月の読書量ゼロ!自ら進んで読む「読書習慣」を身につける方法

読書量の多い子は、語彙力だけでなくコミュニケーション能力や礼儀、マナースキルが高いと言われています。しかも、大人になったときの未来志向や社会性などの意識や能力が高いといった報告も。そこで、今回は「読書習慣」がもたらす効果から本を読む習慣付けとコツ、また注意点などをまとめてみました。

小学生の3割は1ヶ月に1冊も本を読まない

子どもたちの資質や能力を育む上で、「読書活動の推進」は不可欠といわれています。

だからこそ、子どもに「本を好きになってほしい」と考える保護者の方も多いのではないでしょうか。

そこで乳幼児から小学生までの子どものいるママに、普段どんな本をどのくらい読んでいるのかを聞いてみました。


体験談「お子さんは普段、どんな本をどんなふうに読んでますか?」

Aママ
Aママ

夜寝る前などにほぼ毎日本をみています。今気に入ってるのは、あいうえお絵本やアニメのキャラ図鑑や知育絵本です。

Bママ
Bママ

休みの日にいっしょに図書館に行って本を選んで借りてきて、寝る前に読んであげたりしています。また、学校の授業で毎週「としょ」があり、図書室で1〜2冊借りてきますが1年生なのでまだパラパラと眺める感じです。

Cママ
Cママ

長男次男はマンガが大好きで暇さえあれば読んでいますが、活字を読むのは3年生の娘だけです。娘は、図書室から5〜6冊の小説を常に借りてきて読むだけでなく、休み時間にも物語や伝記シリーズのほか、様々なジャンルの本を読んでいるようです。2年生のときの通信簿に「生き字引」と書かれたくらいです。

Dママ
Dママ

私が絵本好きなこともあり、幼稚園に入る前は図書館にほぼ毎日行って、かなりの数の本を借りていました。また、子供向け・大人向けにかかわらず毎日5〜10冊くらい音読していましたが、子どもたちも意外と興味持ってくれていました。

また、ママやパパが読書好きなこともあり、リビングには常に子どもたちの本のほかにも図鑑や辞書を置くなどの工夫をすることで、お気に入りの本がある子どももいるようです。

 
※写真はイメージです(iStock.com/Edwin Tan)

ただし、こんな意見もありました。

Dママ
Dママ

子どもが中学生と小学校6年生になったこともあり、かなり読書量が減りました。特に中学生の息子は余暇の時間が減ったこともあり、ほとんど読まなくなりました。

確かに、いまの子どもたちは忙しいようです。


いまの小学生は忙しい!自由時間の減少の理由は「習い事」?

学研総合教育研究所が発表している「小学生白書」『小学生の日常生活・学習に関する調査』(2021年8月調査)によれば、「学校以外で行っている習い事はない」と回答したのは24.8%。実に小学生の75%以上が何かしらの習い事をしていると回答しています。

しかも、その割合も学年にあがるにつれて増え、全体の3割にあたる子どもたちが小学校6年生になると学習塾に通っていることがわかっています。

 
※写真はイメージです(iStock.com/takasuu)

小学生が1ヶ月に読む本は平均2.9冊

さらに興味深いことに、同調査によると小学生全体で1ヶ月に読む本は平均2.9冊。つまり1ヶ月に3冊も読んでいない計算になります。

また、約3割の子どもが1ヶ月のあいだに1冊も本を読んでいないことがわかっています。

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出典:学研教育総合研究所「小学生白書」 小学生の日常生活・学習に関する調査 2021年8月調査 


しかも、2021年調査では学年があがるにつれて読書量が減っていくのに対し、1989年調査では3年生以上の子どもは月に平均10冊以上の本を読んでいたことがわかります。

忙しい毎日を送る子どもたちの読書量の減少は致し方ない気もしますが、子どもへの読書は絶対必要!そう思っているのは保護者だけではありません。

法律で決まっている「読書活動の推進」

文部科学省は減少する子どもたちの読書活動に対し、「子どもの読書活動の推進に関する法律」を制定、2001年に公布・施行しています。

しかも、概ね5年に一度、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を策定しているほど、子どもの読書活動が大切であるとしています。

では、なぜ子どもにとって読書活動は大切なのでしょうか。

 
※写真はイメージです(iStock.com/blackred)

子どもに「読書習慣」がつくことによるメリット

文部科学省は子どもの読書活動の重要性について次のように述べています。

「子供の読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」

また、「 読書は人類が獲得した文化である。読書により我々は楽しく、知識が付き、ものを考えることができる。また、あらゆる分野が用意され簡単に享受でき、しかもそれほど費用が掛からないという特色を有する。読書習慣を身に付けることは、国語力を向上させるばかりでなく、一生の財産として生きる力ともなり、楽しみの基ともなるものである。」とも評しています。

読書推進の取り組みの1つである『子ども司書のすすめ』の著者である東海学院大学 アンドリュー・デュアー教授は、子どもの読書による恩恵が多様である、とした上で「14の良いこと」を例として挙げています。

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参考:東京都教育委員会「未来を支える読書」>読書のすすめ「本を開いて、未来も開く」


さまざまなメリットがある読書。では、どうしたら習慣付けることができるのでしょう。

そこで編集部では、文部科学省「子供の読書活動推進に関する有識者会議」議事録と配布資料を参考に、家庭でできる「読書習慣」が身に付くポイントと年齢に応じた本のセレクトをまとめましたので、ご紹介します。

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子どもの「読書習慣」が身に付くポイント

1、乳幼児のころから絵本の読み聞かせをする

子どもにとって、大好きな人が自分のために語りかけてくれることは、大きな喜びであり、この喜びが人間への信頼感を築き、深めていく大きな要素となります。

また、保護者にとって、子どもの喜ぶ姿に接することは育児への活力を生み、生活の中に楽しみを発見することにもつながります。

 
※写真はイメージです(iStock.com/xijian)

2、家庭文庫(本棚)の設置

自由で家庭的な雰囲気の中で本に接することができる環境はとても大事です。身近な家の中に本があれば興味を持ってくれることでしょう。


3、図書館・地域の読書活動への参加

子どもが読書に興味を持つためには、読書の楽しみを知る機会を作ることが重要です。読書に関心のない子どもがおはなしを聞いたり、自分で読むことが苦手な子どもが絵本を読ん

でもらうことは、子どもが物語の楽しさを味わい、本に対して興味を抱くための有効な手段です。

また、これらの活動の中で子ども自身が読書の喜びを分かち合う仲間を見つけたり、本の世界へ案内してくれる大人に出会うこともあるでしょう。


4、ママ・パパも読書をする

現代社会では、情報を得るのに必ずしも本を必要としません。しかし、読書は、自ら考え、豊かな時間を過ごすものとして、大人にとっても欠かせません。家庭における読書習慣が子どもに大きな影響を与えることでしょう。


5、タブレット活用による電子書籍やマンガ・絵本を否定しない

「読みたい本がない」「本に興味がない」という子どもに対して、読書を楽しいと感じ日常的に本に触れる機会を増やす工夫が必要です。その上で、昨今の教育のデジタル化によりひとりひとりにタブレット端末が配布されていることもあるので、電子書籍を活用することも否定するものではありません。

また、マンガをきっかけに日本文学や日本をはじめ、世界の歴史に興味を持つことがあります。ですので、本でないことを否定はしないであげてください。

 
※写真はイメージです(iStock.com/twinsterphoto)

また、日記をつけるように「1日1ページ読書」の習慣付けや「読書日記」や「読書スタンプラリー」として記録をつけるなど、目標設定をしてみるのもよいでしょう。

そして、何よりママやパパが積極的に本との触れ合いをさせてあげることが重要です。

子どもの年齢に応じた本のセレクトとは

乳児期:0歳~2歳

乳幼児のころはまず本に親しむ環境をつくってあげることが大切。繰り返すセリフや音の響きがおもしろいお話は、子どもの興味関心を引き出します。また、色や形が豊富に描かれた短めの絵本を、ママやパパが語りかけるように読んであげるとよさそうです。

2歳近くになると「イヤイヤ期」がはじまり、集中力も長くは続かないので無理強いをしないようにしましょう。身近なごはんやトイレの本、好きな動物やおもちゃなどが出てくる本などを選ぶのもよいでしょう。


幼児期:3~5歳

さまざまな物事に興味や関心が出てくる幼児期には、身の回りのものを題材にした絵本を選ぶとよさそうです。また、語彙が増え集中力や想像力もつくので、ストーリー性があるお話や絵本も楽しめます。

中には自分で本を読めるようになる子もいますので、その子の成長や発達進度、興味関心に合わせてあげるとよいでしょう。ただし、字が読めることとお話しがわかることは別ですし、読んでもらうのを聞くことは心地よい体験です。できる限り子どもが望む間は読み聞かせを続けてあげましょう。


小学校低学年

小学校に入学すると自分で本を読むようになり、また学校の図書館で本を借りることを勧められます。子どもが自分で読むなら文字が少なめのものや絵が多い本を選ぶとよいでしょう。

また、学校によっては朝活として読書の時間や、保護者ボランティア等による「絵本の読み聞かせ」の時間が設けられていたり、クラス文庫のほか上級生が下級生に読み聞かせを行う時間もあるようです。


小学校高学年

小学校高学年になると、文字の読み書きがスムーズにできるようになり語彙も増えるので、ストーリーが複雑な本や絵が少ない本でも楽しめるようになります。想像力もつくので、

積極的に図書館や本屋にいっしょに行き、自分で選んでもらいましょう。

推理ものや小説もオススメで、子どもによっては大人向けの本を読むようにもなります。ただし、決して無理強いはせず、街の図書館や読み聞かせイベントなどに参加してみるのもよさそうです。

また、小学生になると読み聞かせを辞めるご家庭が多いようですが、読み聞かせによる親子のコミュニケーションは情緒の安定につながるので、小学生になっても積極的に取り入れましょう。


参考:文部科学省「子ども読書の情報館」,「子供の読書活動推進に関する有識者会議

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2022.12.05

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