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育児休業制度とは。条件や申請手続き方法、パパが取得する場合や延長について
子育てをしながら働くママやパパにとって、育児休業(育休)は利用したい制度の一つですよね。今回の記事では、育児休業の取得条件や対象者について、申出期限や流れ、育児休業を延長する場合や「パパ・ママ育休プラス」「育児休業給付金」など育児休業制度のさまざまな情報について調べてみました。
育児休業制度について
育児休業(育休)は1歳に満たない子どもをもつママやパパが、子どもが1歳になるまでの間、育児のために休業することができる制度です。
育児休業の期間
育児休業の期間は、原則として出産から8週間後の産後休業(産休)が終了する日の翌日~子どもが1歳になる前日までとなります。
ただし、保育園に入れないなどの事情がある場合は「1歳6カ月」になるまで延長ができ、その後も状況が変わらない場合は再度申出をすることで最長「2歳」になるまで休業期間を延長することができます。
また、上記の間で希望する期間、休養を取ることができますので、職場復帰のおおよそのタイミングを会社と話し合っておくとよいかもしれません。
育児休業の取得対象となる人
育児休業を取得するには条件があります。会社に育児休業を取ることを申し出ることに加え、以下の条件を満たす必要があります。
・同一の事業所に1年以上雇用されている
・子どもの1歳6カ月の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、契約が更新されないことが明らかでない
要件を大まかに見てみると、ある程度の長期間、同じ職場で働いており、今後も継続して勤務することが見込まれるママやパパを育児休業の取得対象者としているようです。
また、1日限りの有期労働契約(日雇い)や週の労働日数が2日以下などの場合は育児休業を取得できないので注意が必要です。
これまでに育児休業の条件が緩和されたケースもあり、今後も変更が加わる場合があるかもしれません。
育児休業の対象となる子どもの要件
育児休業は、子を養育するためにする休業制度なので、労働者と法律上の親子関係がある子であれば、実子や養子は問われません。
また、以上の要件以外にも養子や里親に養育されている子どもなども当てはまることがあります。厚生労働省が定めている、育児休業の対象者の要件を確認するとよいでしょう。
申出期限
育児休業の申出期限は、休業予定日から1カ月前までとなります。産休に続いて育児休業に入る場合は、産休中に育児休業の申出をする準備をする必要があります。
育児休業の申出をする際は、開始日と終了日などをはっきりと決めておく必要がありますので、早めに、育児休業の期間はどれくらい取るのかなど、先の予定を把握しておくとよいかもしれません。
育児休業を延長する場合
育児休業の延長は、1歳6カ月~最長で2歳まで延長できるようになっています。
ただし、子どもが1歳になったときに、一定の条件を満たす境遇の場合のみ、上記の期間で育児休業の延長が可能となります。具体的には以下のような場合となります。
保育所に入所できない
育児休業の申出にかかわる子どもの保育所へ申し込みを行っているにもかかわらず、保育所の状況などから入所ができず、その後も入所できない状況が続く場合は、子どもが1歳6カ月~最長で2歳になる日の前日まで延長可能となります。
子どもの養育が困難となった場合
子どもの養育を行う予定だった養育者(ママやパパなど)が死亡、負傷、疾病などの理由で、子どもの養育が困難になった場合、育児休業の期間を1歳6カ月~最長で2歳まで延長できるとされています。
育児休業給付金について
育児休業を取得すると「育児休業給付金」が受給できます。
育児休業給付金は、ママやパパが子どもを養育するために休業する「育児休業」の期間中に支給されるもので「1歳未満の子どもを養育するために育児休業をする雇用保険の被保険者」を対象としている制度です。
育児休業給付金も受給期間を延長できる
育児休業給付金の要件で、「1歳未満の子どもを養育するために育児休業をする雇用保険の被保険者」とありますが、保育所等に入所できないなど、特別な理由がある場合は、子どもの年齢要件を延長することができ、1歳6カ月~最長2歳になるまで育児休業給付金の支給対象範囲となることがあります。
支給額は月給の50%~67%
育児休業給付金の支給額は、以下の計算方法によって算出されます。
【休業開始時賃金日額×支給日数】×【67%(育児休業開始日~6カ月経過後は50%)】
育児休業開始日から6カ月(180日)間は月給(休業開始時賃金日額×支給日数)の67%が支給され、6カ月経過後(181日)は月給の50%が支給されます。
育児休業の関連制度
ママやパパの出産、育児を支えるための育児休業制度をうまく活用できる制度があります。今回は「パパ休暇」と「パパ・ママ育児休業プラス制度」について紹介します。
パパ休暇(育児休業の再取得)
ママの出産後8週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合、パパが育児休業を再度、取得できるという休暇制度です。
特別な事情がなくても、取得できるところがポイントで、パパの育児休業のタイミングを上手に設定することで、ママの産後と職場復帰を支えることができるでしょう。
パパ休暇を取得するための要件は「子どもの出生後、8週間以内に育児休業を取得し、その期間内に育児休業が終了している」ことです。
パパ・ママ育休プラス
育児休業には、パパとママの両方が育児休業を取得する場合の「パパ・ママ育休プラス」という制度があります。
子どもの育児休業可能期間は、特別な理由がない限り原則として1歳までですが、パパ・ママ育休プラスを活用し、パパとママの両方が育児休業を取得することで、2人の育児休業期間を併せて育児休業可能期間を1歳2カ月まで延長することができます。
また、2人の育児休業期間を併せることで、育児休業給付金を「1歳2カ月の全期間67%給付で受け取ることができる」という点も特徴です。
パパ・ママ育休プラスを利用するには、以下の要件を満たす必要があります。
・子どもが1歳に達するまでにパパかママが、育児休業を取得している
・パパかママの育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前である
・パパかママの育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降である
パパ・ママ育休プラスの対象者(パパかママどちらか)の育休開始日が、配偶者の育休開始日より前だと、この制度は利用できないということと、子ども1人あたりの育休の最大日数は変わらないので注意しましょう。
以下の資料に掲載されているパターン例の図を見ると分かりやすいかもしれません。
育児休業中の税金や保険料
育児休業中は、税金や保険料がかかるのかママやパパは気になりますよね。では実際にどのようにやりくりしていけばよいか説明していきます。
健康保険料や厚生年金
産休や育児休業中に、健康保険料や厚生年金などの社会保険料の支払いが免除される制度があります。
事業主が年金事務所や健康保険組合に、制度の申出をすることで、被保険者本人負担分と事業主負担分ともに免除されます。また、免除された場合であっても、健康保険の給付や厚生年金の反映は通常通り行われます。
免除される期間は、「育児休業等を開始した日を含む月~終了した日の翌日を含む月の前月まで」となります。
厚生年金に加入せず、国民年金のみ加入している方は、平成31年4月1日以降、出産予定日を含む月の前月から4カ月、国民年金の保険料が免除されるようです。
制度を利用したい場合や手続きに関する疑問は、勤務先の会社の担当者に直接聞いてみるとよいでしょう。
所得税
育児休業中に、通常通り給与が支払われる会社に勤めている人の場合、所得税がかかります。支払いに関して、免除されるなどの特例はありません。
ただし、育児休業中に受け取ることのできる、育児休業給付金は「非課税」ですので、この給付から所得税は差し引かれません。
住民税
住民税は前述したとおり、前年度の収入によって、今年度に支払う税額が決定されます。そのため、育児休業中も支払う必要があります。
住民税についても支払いに関して、免除されるなどの特例はありませんが、育児休業中の育児休業給付金(非課税)を受け取っている場合、次年度の住民税にはこの給付金は収入には含まれません。
育児休業終了後の社会保険料
育児休業終了後の社会保険料の特例制度は、保険料の額や保険給付の額を決めるために必要となる、標準報酬月額を育児休業後の給料を元に改定する手続きを取ることができます。
育児休業後に給料などが以前より減ってしまったなどの場合にこの手続きを取ることで、育児休業前ではなく、育児休業後の給料に応じた保険料負担にすることができます。
手続き後は、育児休業終了日の翌日を含む月以降の3カ月間に受けた給料の平均額によって標準報酬月額が決定し、その翌月から改定されます。
育児休業を活用して子どもとの時間を大切に
今回紹介した育児休業制度は、子育て中のママやパパにとって大切な制度です。育児休業を取得するためには一定の条件があるので、よく確認し休業の計画を立てるとよいかもしれません。
育児休業中に受け取ることのできる「育児休業給付金」も活用することでママやパパにとっての経済的な助けとなるでしょう。
また、育児休業にかかわる「パパ休暇」や「パパ・ママ育休プラス」などの休暇制度も併用することができることに加え、社会保険料などの免除、特例制度もあります。
育児休業制度と関連するさまざまな制度を活用することで、パパやママも家族と過ごす時間が、より充実したものになるかもしれませんね。
※記事内で使用している参照内容は、2018年9月19日時点で作成した記事になります。