子どもの教育費はどれくらい必要?FPに聞く、就学前に知るべき必要な貯金額

子どもの教育費はどれくらい必要?FPに聞く、就学前に知るべき必要な貯金額

2017.08.21

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伊達有希子

伊達有希子

ファイナンシャルプランナー

1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®︎。世田谷区在住、2歳・4歳の姉妹を育てる母。2013年にYOU & ME PARTNERS/ユメパートナーズを設立。専門家へ気軽に相談できるFP顧問サービス(FPコモンズ)を立ち上げサポート中。

子どもの教育にかかる費用が気になるママも多いと思われます。実際、何にどれくらいかかるか、貯金はどれくらい必要か、知りたいところですよね。今回はファイナンシャルプランナー(FP)の伊達有希子さんに、小学校を受験する場合も含め、子どもに必要な教育費の目安を聞いてみました。

小学校受験にかかる費用はどれ位?

小学校受験は、子どもの意思もありますが親がその主導権を握っています。

「希望する小学校に強い思い入れがあるから」、「子どもの将来を見据えて早いうちからしっかりとした教育を受けさせたいから」などさまざまな理由で小学校受験を考える人が増えています。

小学校受験を考える上で特に気になるのが、その教育費ではないでしょうか。

子どもの教育費の傾向

文部科学省の平成26年度「子供の学習費調査」の結果 によると、学習費総額(学校教育費、学校給食費、学校外活動費の合計)は、公立の幼稚園を除く小学校、中学校、高等学校で増加となりました。

一方、私立ではいずれの学校種においても学習費総額は増加傾向で推移しています。

文部科学省ホームページ:結果の概要-平成26年度子供の学習費調査

■学習費総額の推移


〈公立幼稚園〉  
平成24年/23.0万円  平成26年/22.2万円

〈公立小学校〉  
平成24年/30.6万円  平成26年/32.2万円

〈公立中学校〉  
平成24年/45.0万円  平成26年/48.2万円

〈公立高校〉   
平成24年/38.6万円  平成26年/41.0万円

〈私立幼稚園〉  
平成24年/48.7万円  平成26年/49.8万円

〈私立小学校〉  
平成24年/142.2万円   平成26年/153.6万円

〈私立中学校〉
平成24年/129.5万円  平成26年/133.9万円

〈私立高校〉    
平成24年/96.7万円   平成26年/99.5万円

小学校受験に必要な準備と金額の目安

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小学校受験を考える場合、幼稚園の年中から約1年間かけてその準備を進めることになります。

小学校受験にはある程度の「コツ」や「場慣れ」が必要なこと、そして何より小学校受験のための情報が手に入ることから、


幼児教室や体験教室へ通わせるケースが多いようです。


その費用は通う頻度により異なりますが月5万円〜15万円程度になることも。これらのお教室へ通わせる以外にも、家庭学習のためのドリル購入代(1冊1,000円〜2,000円前後)や、模擬試験代(1回1万円前後)がかかります。

その他、受験料(私立の場合は2万円〜3万円前後・国立の場合は3,300円)や受験用の服などの準備も必要です。トータルすると、100万円単位でお金がかかることになりそうですね。

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私立小学校入学後の教育費

小学校における学習費総額に注目してみると、公立小学校は321,708円に対して、私立小学校は1,535,789円となり、その学習費の差はなんと4.8倍でした。

さらに詳しくその内訳をみてみると、公立小学校の学習費総額のうち、学校教育費が59,228円、学校給食費が43,176円、学校外活動費219,304円となっています。

これに対し、私立小学校の学習費総額のうち、学校教育費が885,639円、学校給食費が46,089円、学校外活動費604,061円となっています。

学校教育費に含まれるものとしては、授業料、学校納付金、通学関係費、修学旅行や遠足などの見学費、図書・学習品・実習材料費などがあります。これらのデータから、


私立小学校の場合は公立に比べて、主に学校教育費が多くかかることがわかります。


一貫した教育を受けられることは私立のメリットですが、その分学校教育費が高くなっているようですね。また学校によっては納付金の額にも注目しておきたいところです。

学校教育費以外にかかる費用に注目

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次に、学校教育費以外の動向をみていきましょう。実は私立小学校にかかる費用で、見落としがちなのがこの部分です。

文部科学省では、家庭での学習に使用する物品・図書の購入費・家庭教師費・学習塾費等の支出を「補助学習費」、体験活動や習い事(ピアノ・水泳・習字等)のための支出や用具の購入を含めて「その他の学校外活動費」と定義しています。

私立小学校に通うと、この「補助学習費」と「その他の学校外活動費」が多くなるのが特徴です。

公立では中学校3年生の約435,000円が最も多くなるのに対して、私立では小学校6年生の約740,000円が最も多く、金額が倍近くかかる上に、その時期が早まっています。

「補助学習費」と「その他の学校外活動費」の公立小学校、私立小学校の具体的な金額は下記の通りです。


公立小学校

小学校1年生 補助学習費:8.0万円 その他の学校活動費:13.3万円

小学校2年生 補助学習費:4.5万円 その他の学校活動費:12.1万円

小学校3年生 補助学習費:6.0万円 その他の学校活動費:13.4万円

小学校4年生 補助学習費:7.8万円 その他の学校活動費:14.3万円

小学校5年生 補助学習費:10.0万円 その他の学校活動費:13.1万円

小学校6年生 補助学習費:15.3万円 その他の学校活動費:13.2万円


私立小学校

小学校1年生 補助学習費:21.8万円 その他の学校活動費:34.4万円

小学校2年生 補助学習費:16.3万円 その他の学校活動費:34.2万円

小学校3年生 補助学習費:20.0万円 その他の学校活動費:32.2万円

小学校4年生 補助学習費:30.1万円 その他の学校活動費:31.5万円

小学校5年生 補助学習費:40.2万円 その他の学校活動費:27.2万円

小学校6年生 補助学習費:51.6万円 その他の学校活動費:22.4万円

私立小学校受験を考えてもよい家計かどうかの判断を

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これまでご紹介した通り、小学校受験はその準備から入学後も多額の教育費がかかります。

通常、高校生くらいまでの教育費は生活費の中から賄っていくことをおすすめしていますが、小学校から私立を目指す場合は子どもが産まれたと同時に計画的に貯金していくことが必要です。

ただし、子どもの教育費は小学校だけではありません。その先の進学まで見据えて計画を立てることが重要です。

そして教育費以外のライフイベントまで含めて総合的に考えて「小学校受験を目指してもよい家庭なのかどうか」を見極めることがポイントとなるでしょう。

教育費にお金をかけすぎるあまり、それ以外の生活が理想とかけ離れたものになってしまっては意味がありません。

教育費はかけようと思えばいくらでもかけられる青天井ですから、身の丈にあった教育方針と教育費の目安について、早い段階で知っておく必要があるでしょう。


執筆:伊達有希子

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1982年茅ヶ崎生まれ。2004年専修大学英米文学科卒業後、呉服屋に入社。AFP取得をきっかけに、2009年企業系FPとして保険会社に転職のち、2013年にyou&me partners(ユメパートナーズ)設立。2016年には起業家サポートとしてFPコモンズのサイトを立ち上げる。資格:CFP・1級FP技能士 趣味:旅行・食べ歩き

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