働くママの本質美容「時間をかけるべきケアとそうでないケアは?」

働くママの本質美容「時間をかけるべきケアとそうでないケアは?」

2022.01.14

Profile

小林智子

小林智子

皮膚科専門医/医学博士

皮膚科専門医、医学博士。アンチエイジングリサーチセンター研究員。2010年日本医科大学医学部卒業後名古屋大学皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了。同志社大学アンチエイジングセンターにて糖化と肌についての研究を行う。また、食事と健康に関してレシピや情報などを医学的な立場から発信するブランド「ドクターレシピ」を監修。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)、『おくすり朝ごはん - 皮膚科医が肌荒れしたら食べる - 』(‎ワニブックス)など。2016年長男、2019年次男をアメリカにて出産。

自身も子育て中の皮膚科専門医・小林智子先生が、忙しいママたちに贈る美容コラム連載。第2回のテーマは「コスパ重視の美容習慣」です。忙しい日々のスキンケアについて、じっくり行うべき工程、さっとでよい工程を正しく知り、効率よくキレイを手に入れましょう。

毎日多忙なワーママが「効率よく」スキンケアするためには?

忙しいママにとっては、スキンケアにかける時間も死活問題ですよね。

私自身、いつも二人の息子たちといっしょにお風呂に入るのですが、お風呂上がりは子どもの着替えやら保湿やらで、自分が優雅にスキンケアを行う時間なんて皆無。

みなさんからも、どこを特に重点的に行うべきなのか、反対にどこはズボラでも大丈夫なのか、という質問をよくいただきます。

そんなスキンケアについて、今回は皮膚科学的に検証してみたいと思います。

そもそもスキンケアとは何か。それは「皮膚の生理機能を良好に維持させるためのケアの総称」を指します。そう言うとなんだか難しい気がしますが、具体的には次の3つを指します。

グラフィック1

じっくり洗顔はNG!カギは「保湿成分」を守ること

まず、洗顔です。洗顔は皮膚を清潔に保つために必要なケアで、おそらくほとんどの方が毎日行っているのではないかと思います。

特に女性の場合はメイク汚れを取るために、洗顔料だけでなくクレンジングも使って「ダブル洗顔」をしている方も多いのではないでしょうか。

 

もちろん、洗顔はメイク汚れや皮脂や汗など、落とすべきものをきちんと落とすためにも非常に大切ですが、洗顔で落としてはいけないものもある、ということはご存知でしょうか。

 

それは肌本来の「保湿成分」です。

私たちの肌には元々保湿成分が備わっていて、これらが肌を外的刺激から守ったり、水分が肌の外に蒸発してしまうことを防いでくれたりしています。これを肌の「バリア機能」と言って、肌の重要な生理機能の一つとなります。

 

この保湿成分は、洗顔のやり方によっては過剰に洗い流してしまい、乾燥の原因になることがあります。乾燥させないためにも、実は洗顔方法は非常に重要になってくるのです。特にそれを左右するのが「洗顔料の使い方」にあると私は考えています。

洗顔の泡
※写真はイメージ(iStock.com/kazuma seki)

メイクをしている場合、それを落とすためにクレンジングが必要となります。きちんと問題なく使えていれば、ここである程度の汚れ、数値に表すと8割程度の汚れが落ちます。つまり、その次の洗顔料は洗濯でいう「すすぎ」のような役割で、最後に残った汚れをさっと洗い流すくらいで十分なのです。

 

それにも関わらず、洗顔料をゴシゴシと肌に当てたり、時間をかけて丁寧にくるくるとこすっていたりすると、その間にも保湿成分はどんどん流出してしまっています。洗顔料はポイントを押さえてさっと使うのが正解です。そのポイントは、以下となります。

 

1. 泡立てるタイプはしっかりとへたらない泡を作って洗う

2. Tゾーンなどの汚れやすい部位を除き、洗顔料はさっと時間をかけず洗い流す

3. 摩擦を極力減らす

もし、泡立てるのが面倒であれば最初から泡で出てくるタイプの洗顔料がおすすめです。私ももっぱらこちらを使っています。また、クレンジングも洗顔料もすすぐ時はぬるま湯で行うことも乾燥を防ぐためにも大切です。

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「化粧水の浸透」に時間をかける必要はない

次に「保湿」。保湿は洗顔などによって減った保湿成分を補うことを目的とします。保湿するアイテムには化粧水からクリームまでさまざまあり、どれを使うべきかはその人の肌質や肌の状態にもよります。

スキンケアアイテム
※写真はイメージ(iStock.com/Olga Peshkova)

注意したいのは化粧水の取り扱いです。

多くの方が化粧水を洗顔後すぐに肌につけると思いますが、一般的に化粧水の保湿力は、乳液やクリームなどの油分が多いアイテムと比べると低いです。

それにも関わらず、「化粧水をいかに浸透させるか」ということに躍起になっている方を多く見かけます。

たとえば化粧水をパッティングしたり、バシャバシャと塗ったり、長時間コットンでパックをしたり……。

保湿力を高めたければ、化粧水のあとに乳液やクリームを塗り重ねた方がよほど効果的ですし、そこに労力は必要ありません

化粧水は手に適量取り出して、軽く押し当てる程度に肌に馴染ませれば十分です。

保湿する女性
※写真はイメージ(iStock.com/shironosov)

忙しいママで、あれこれ保湿アイテムを塗る時間がない、特にお風呂上がりなんてとんでもない! という方には、実は乳液が重宝します。

乳液は保湿アイテムの中でも水分と油分がいいバランスで配合されていて、肌馴染みがいいのが特徴です。

乳液をお風呂上がりにとりあえずパッと顔に塗っておき、落ち着いたら改めて美容液やクリームなどをその上から塗る。保湿アイテムを塗るのは時間が空いてしまっても大丈夫なんですよ。

日焼け止めはテクスチャ―より「塗る量」がポイント

 最後にUVケア。このUVケアは朝のスキンケアの最大の肝となります。

前回のコラムでもお話したように、紫外線ダメージはシミだけでなくシワやたるみなどあらゆるエイジングサインの原因となります。これを「光老化」と言いますが、光老化を最小化するためにも日焼け止めはマストです。

UVケア
※写真はイメージ(iStock.com/takasuu)

UV効果を発揮するSPFやPAの表記は、日焼け止めだけでなく、最近では化粧下地やファンデーションなどのさまざまなアイテムで目にします。

表記されているSPFの数値を発揮するためには、ただ塗るだけではなく、「十分量を塗る」ことがポイントとなります。

反対に十分量を塗れていれば、日焼け止めでも化粧下地でも、同等のUVカット効果を発揮します。

 

ただし、この「十分量」塗るのは一見簡単そうですが、実践するとなるとなかなか難しいのです。

たとえば乳液タイプの日焼け止めの場合、500円玉くらいの大きさの量が必要となりますが、これを実際に塗るとかなりベタベタします。

 

そこで私が実際に行っている4つの工程を伝授したいと思います。

1. まず、日焼け止めを十分量手の甲に出したらそれを顔に5〜6ヶ所(首も含む)に点状に置く

2. それぞれを塗り広げる。その際に耳、首の裏も忘れずに。手の甲に残った日焼け止めはそのまま手の甲に塗り広げる

3. 日焼け止めが肌に馴染むまでの間を、朝食や出かける支度などの時間にあてる

4. 馴染んだらファンデーションなどのメイクアップを行う

 

このやり方であれば、日焼け止めがベタベタしても時間が経ってからメイクをするため、そこまでメイクがよれたり、不快に感じたりすることもありません。

 

どんなに忙しい朝でも、日焼け止めをしっかり塗るまでは家を出ない! それくらいの気合いで、私は毎日、日焼け止めを塗っています。

スキンケアイメージ
※写真はイメージ(iStock.com/kyonntra)

クレンジングと日焼け止めをしっかり、洗顔・保湿はさっとで効率化

さて、最初のテーマに戻って、スキンケアはどの工程をじっくり行うべきか? ですが、

1. 夜はクレンジングでしっかり大方のメイク汚れを取る

2. 朝は十分量の日焼け止めを塗る

 

この2つはじっくり行うべき工程だと思います。そして、

 

1. 洗顔料はしっかり泡立てることが重要で、必要以上に丁寧に時間をかけて行う必要はない

2. 保湿アイテム、特に化粧水は手を使って肌に馴染ませるだけで十分

という2点は意外と知らない人も多く、これらの行為によってかえって肌に負担をかけてしまっている方も多い工程かなと思います。

 

ぜひ限られた時間の中で、効率的なスキンケアを意識するようにしてみましょうね。

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小林智子

小林智子

皮膚科専門医、医学博士。アンチエイジングリサーチセンター研究員。2010年日本医科大学医学部卒業後名古屋大学皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了。同志社大学アンチエイジングセンターにて糖化と肌についての研究を行う。また、食事と健康に関してレシピや情報などを医学的な立場から発信するブランド「ドクターレシピ」を監修。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)、『おくすり朝ごはん - 皮膚科医が肌荒れしたら食べる - 』(‎ワニブックス)など。2016年長男、2019年次男をアメリカにて出産。

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