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プログラミングの教育効果は?習い事のメリットと選び方、体験談も
小学生では2020年から、中学生では2021年から必修化されているプログラミング。そうした背景から、子どもの習い事でも特に注目を集めています。プログラミングの習い事は何歳からできるのか、プログラミングを習うメリット、スクール選びのポイント、プログラミングの習い事に関する体験談を紹介します。
「プログラミング」の教育効果
プログラミングとは、コンピュータに特定の動作をさせるために、コンピュータに理解できる言語で指示を与えることです。
では、なぜ今プログラミングの習い事が注目を集めているかというと、プログラミング教育の必修化が関係しています。小学生では2020年から、中学生では2021年から、高校でも2022年からプログラミング教育が必修化されているのです。
2025年の大学入学共通テストから、出題教科と科目数が再編され、プログラミングを始めとした情報科学や、情報リテラシーの知識などを問う「情報」が導入される見込みとなっています。
そもそも、なぜ大学入学共通テストに「情報」が導入されるのでしょうか。その背景には、次のような要因があります。
IT技術の発展
世界中で技術の発展が急速に進み、そのスピードは加速する一方です。今後は、今以上に多くの分野でコンピュータ技術やソフトウェア技術が利用されることでしょう。そのため、プログラミングの知識が必要になる場面が必然的に増えていきます。
国内でも、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足するといわれています。子どもたちが大人になる頃には、労働市場が変化しプログラミングが必要な職業の需要がさらに高まっていることでしょう。
出典:『- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書』/みずほ情報総研株式会社(経済産業省委託事業)
プログラミング的思考を育む
プログラミング教育の背景には、IT人材の育成という目的もありますが、それ以上に、どんな仕事でも求められるプログラミング的思考を育むことが重要だとされています。
プログラミング的思考とは、物事の動きや順序を理解し、効率的に意図した結果へ導くために考える力のこと。プログラミング的思考で論理的に物事を考えることは、創造力や思考力と並び、これからの時代に求められる力のひとつです。
未就学児から可能なプログラミングの習い事
多くのプログラミング教室は小学生を対象としていますが、中には未就学児からプログラミングの習い事を始めることができる教室もあります。
未就学児のプログラミングは、遊びの要素を取り入れ、ロボットやブロックを組み立てたり、ゴールまでの動きを考えるゲームを使ったりすることで、初めて触れるプログラミングを楽しめる工夫をしているようです。
慣れてきた頃から徐々にパソコンやタブレットに触れ、タイピングが不要なビジュアルプログラミング言語を始めることもあります。
一般的には小学生の中・高学年頃から段階を踏んで、本格的なプログラミング言語を学んでいくようです。
プログラミングの習い事のメリット
プログラミングの習い事をすることで、子どもは何を得ることができるのでしょうか。
ITリテラシーの習得
プログラミングは、子どもたちが大人になる頃には、必要不可欠なスキルになっている可能性があります。
プログラミングを学ぶことで、基本的なITリテラシーを向上させ、情報化社会において必要なスキルや知識を身につけることができるでしょう。
問題解決力を身につける
プログラミング的思考は、問題を解決するためにロジカルに考え、実際の手順を論理的に作り上げるための思考法です。習い事を通して、幼い頃からプログラミング的思考の訓練を積むことで、問題に直面しても創造力を働かせて解決するための方法を導くことができるかもしれません。
将来的に選択の幅が広がる
デジタル社会においては、プログラミングと全く関係のない業界は無いに等しいといってよいでしょう。プログラミングは様々な分野で使われているため、とても汎用性が高いスキルです。
応用力のあるプログラミングの習い事を経験することで、将来子どもが職業を選ぶ上で幅広い分野を選択肢として考えることができるかもしれません。また、たとえプログラミングと関係のない職業に就くとしても、論理的に考えるプログラミング的思考法が無駄になることはありません。
また、世界共通のスキルであるプログラミングを学ぶことで、国境にとらわれず働くことができる可能性もあります。
英語を身近に感じる
ビジュアルプログラミング言語ではコードを書く必要がありませんが、本格的なテキストプログラミング言語のベースには英語が使われています。そのため、プログラミングを学ぶことで、同時に英文法や単語に触れることにもなるのです。
中には、英語でプログラミングを学ぶことのできる教室もあるようです。
プログラミングの習い事で注意したいこと
プログラミングの習い事にはさまざまなメリットがある一方で、注意しておきたいこともあります。
習熟までに時間がかかる
論理的思考力が必要になるプログラミングは、初心者にとっては難しいものです。未就学児の子どもがプログラミングを習熟するまでには、スモールステップで継続的に時間をかけて取り組む必要があることを理解しましょう。
また、プログラミング的思考が直ちに学校の成績につながるわけではないことへの認識も必要です。
子どもによって興味の持ち方に差がある
体験でブロックやゲームをしたときには楽しんでいたのに、入会後、パソコンを前にした途端に興味を失ってしまったというケースもあるようです。また、子どもによっては「このプログラムだったらやりたくないけど、こっちだったらやってみたい」と教材の好みがはっきりしている子もいます。体を動かす習い事の方が好きな子どももいるでしょう。
子どもがプログラミングに関心を持っているかよく観察し、子どもに合った習い事や教室に出会えるといいですね。
パソコンに触れる時間が長くなる
プログラミングを習うということは、必然的にパソコンの前にいる時間が長くなります。その分、外で遊ぶ時間が減り、体を動かす機会がなくなるため体力の低下を招きかねません。また、姿勢が悪くなったり、ブルーライトの影響で夜なかなか寝付けなかったりすることもあるようです。
パソコンを使うときは時間を決めて、生活習慣が乱れないようにすることが大切です。
また、インターネットに接する機会も増えるため、危険に晒されないようフィルタリングなどで適切な管理をすることや、家庭でのルールづくりも求められます。
プログラミングはどこで習う?選び方のポイント
プログラミングの習い事を検討するときのポイントを紹介します。
カリキュラムの内容
初めてプログラミングに触れる子どもが、無理なく楽しめるようなカリキュラムが組まれているか確認しましょう。いくつか比較検討すると、違いが確認できるかもしれません。また、それぞれの子どもの発達や進み具合に応じたコースが選択できることも大切なポイントです。
プログラミングは一人でもくもくと作業を進めるといったイメージがありますが、自分の作った作品を他の子どもや先生に向けてプレゼンテーションしたり、チームに分かれて共同制作したりすることもあるようです。コンテストで評価を得た場合には、全国大会や世界大会に出場できることもあるようなので、子どものモチベーションにつながるかもしれませんね。
費用、頻度
多くのプログラミングスクールの月謝は1万円から2万円弱ですが、オンラインの場合はもう少し安く抑えられる場合もあるようです。
プログラミングの習い事では、月謝の他、タブレットやロボット教材などの教材費が発生する場合もあります。レンタルできるケースもあるようですが、長く通うとすると買った方が安い場合もあるようなので確認が必要です。
また、多くのプログラミングスクールでは毎週か、隔週(月2回)開催の場合が多いようです。毎週開催される場合の時間は1回あたり50分前後、隔週の場合は90分ほどなので、トータルで見ると月謝に大きな差はないのかもしれません。
用事などで振替できるスクールと、できないスクールがあるため、入会する前にチェックしておきましょう。
学習スタイル
プログラミングの習い事は、通学、オンライン、教材配信と大きく3つのパターンで習うことができます。
通学すると、子どもの状況が先生によく見えるので、子どもがどこでつまづいているのか確認してもらうことができます。直接コミュニケーションをとることができるので、学校外の友だちができることもあるでしょう。ただし、この中では最も費用がかかります。
オンラインでプログラミングを習うメリットは、送迎負担がなく、保護者が子どもの成長を目の当たりにすることができる点です。ただし、子どもがパソコンの使い方に慣れるまではフォローが必要かもしれません。また、オンラインでもきめ細やかな指導を望む場合は、参加人数の確認も必須です。
タブレットやパソコンに教材が配信されるタイプでは、AIにより判定されるため先生はいません。費用が抑えられる他、子どもが好きなときに取り組めるといったメリットがあります。
子どもに合ったスタイルでプログラミングの習い事を始められるとよいですね。
【体験談】プログラミングの習い事を考えたことはある?
注目が集まるプログラミング教育。習い事としてプログラミングを考えたことがあるか、保護者に教えてもらいました。
検討したことはありますが、一旦後回しの状態です。
元々子どもが生まれる前にIT企業で働いていた時にエンジニアの優位性を知り、子どもにはプログラムをやらせてみたいと思っていました。それは「手に職」的なイメージで考えていました。
逆に必修化された今、誰もが当たり前にそこそこできるようになるのであれば、あえてやらせなくてもいいかなとも思っています
アプリとキット教材を5歳の息子にやらせています。難しく考えずにゲーム感覚でプログラミングを取り入れている教材です
雰囲気的にやったほうがいいかと思い、プログラミングの習い事を検討したことはあります。でもはっきりとした目的がなかったのと、子どもがプログラミングよりもやりたいことがあるとのことだったので、結局やりませんでした
もともと「ゲームを作る人になりたい」と保育園の頃から言っていて、スクラッチなどもしていたので、いくつか教室の見学に行きました。
やはり1年生の頃では言葉がそもそも理解できないと難しいプログラムだなと思い、3年になってロボット工作のプログラミング教室に通い始めました
遅かれ早かれゲームにはまる時期が来るだろうと思い、それならゲームを作ることにはまってほしいという密かな願いがありました。でも5歳の息子にはプログラミングは少し難しかったようで、レゴを使ったロボット工作の教室に通うことにしました。
数年かかりますが、ゆくゆくは自分でプログラムを組んでロボットを動かすカリキュラムになっているようです
【体験談】プログラミング教育に保護者が期待すること
最後に、小学校・中学校・高校とプログラミングが必修化される中、保護者がプログラミング教育に期待することを聞きました。
思考の型を知ってもらうことでわたしたち親世代にはない発想を形にしてもらえたらうれしいです。でも、ゲームを通してすでにどんどん形にできているような気もします
家族みんなゲームやアプリが好きなので、娘がプログラミングをマスターして、アプリ開発できたら面白そうだなと思いました
これをこうしたら、あれがああなる……という論理的思考力は身についてほしいなと思います。あとはプログラミングやIT全般に苦手意識を持たないようになればいいかなと思っています。
でも先日一年生の長女が学校で支給されたタブレットで普通にスクラッチを使ってひとりで遊んでいたので、ICT教育が自然に浸透しつつあると感じました
名ばかりのものにならないこと、自治体による差がでないことを祈ります。現段階では習い事としてはなかなか通うのは難しい家庭もあると思いますが、どんな家庭の子にも平等に機会が与えられるという意味でもプログラミング教育にはぜひ国単位で力を入れてほしいです
プログラミングに限らずですが、子どもたちが自分で何かを作る楽しさに目覚めてくれたらいいなと思います
子どもに合ったスタイルでプログラミングの習い事を始めよう
プログラミングが必修化されていることからもわかるように、これからの時代、プログラミングは今以上に欠かせないスキルとなることは間違いないでしょう。また、プログラミング的思考はどんな職業に就いたとしても求められるものです。
子どもの可能性を広げるプログラミングを習い事として検討するとき、保護者の気持ちが先走っていないか子ども本人の思いを聞き取り、子どもに合ったスタイルでプログラミングの習い事を始められるとよいですね。
ピアノや空手など他の習い事のほうを気にしており、プログラミングの習い事については検討したことはありませんでした。でも娘は、ピタゴラスイッチなどプログラミングの考え方に近い内容のTVや動画が好きなので、興味を持ちそうです!