なぜ、英語力だけではダメなのか。世界に通用する子を育てるためには

なぜ、英語力だけではダメなのか。世界に通用する子を育てるためには

2017.04.24

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平川裕貴

平川裕貴

幼児教育研究家

英語プリスクール「リリパット・リトルキンダー」経営者、「日本・欧米いいとこどり育児」を提唱する幼児教育研究家。経営者としての視点と教育者としての視点から、子ども達が生きる未来の社会を見据えて教育に取り組んでいます。 保育士、英語教師資格保有。

英語さえできれば、世界中の人達と友達になれて、世界で活躍できる人材になれるのでしょうか?実は、残念ながらそうではありません。今回は、『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する平川裕貴が、「なぜ英語力だけではダメなのか」「世界に通用する子に育てるためには何が必要なのか」をお話します。

インターネットの発達で、世界中の人達と瞬時に話せ、地球の裏側の出来事も手に取るようにわかるようになりました。とあるアーティストが海外セレブに見つけられTwitterで呟いたことにより一躍世界的に大ヒットになった話など、もはや国境など存在しないかのようですね。

グローバル社会とは

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英語の必要性が言われる時に必ず耳にするのが、「グローバル社会」という言葉です。でも、グローバル社会とはどのような社会なのでしょうか?単純に言えば、


人や物が国境を越えて行き来することが日常になるという社会です。


単に観光として行き来するくらいなら、「相手の国の挨拶くらいは覚えよう」と思いますよね。しかし現状は、もうそのレベルではすまない段階まで進んでいるのです。


企業にも進むグローバル化

今は外国人が日本企業の社長になることや、日本企業が外国の企業に買収されるなんてことが珍しくはない時代なのです。

また、世界規模で展開している会社なら、たとえ日本の企業でも、


社員の半数以上が世界中から集まった外国人


ということも決して珍しくはないのです。となると、社内公用語は当然ながら英語になってしまいます。


英語がコミュニケーションツール

すでに大手のインターネット通販会社やアパレル会社、家庭用電気機器会社や商社、銀行などの日本企業も、


英語を社内公用語として使い始めています。


実際、欧米の企業でも、英語圏以外の海外の国々からたくさん社員を採用しています。世界中の若者がインターネット上で入社試験を受けて採用されている時代なのです。

ただ英語が話せるだけで良いなら、社員は全員欧米人にすれば問題ないはずですが、それでは意味がないのです。ここに英語力だけではダメというヒントが隠されています。

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なぜ英語力だけではダメ?

グローバル社会とは、人や物が国境を越えて行き来する社会と言いましたね。物が行き来するとは、原料や製品が輸出入されるということ。まあ、今更始まったことではありませんがもっとわかりやすく、あるストーリーをお話しましょう。

あるアメリカ企業の社長が、自社製品を日本でも売りたいと考え、英語が 堪能な日本人を採用しました。そして、彼に質問しました。


・日本でこの製品は受け入れられるか?

・日本ではどのような宣伝方法が効果的か?

・どのような販売方法が受け入れられやすいか?

・どのくらいの値段設定なら売れるか?

・日本人好みのパンフレットの色やデザインは?

・アフターサービスはどのようにすればいいか?


ところが彼は、インターナショナルスクールを出て英語は話せるけれど、日本や日本人の考え方がまったくわからなかったのです。 結果、日本のことを知らない日本人社員など必要ないと、即クビを言い渡されてしまいました。

もうお分かりですね。英語が話せる人間なら欧米にいくらでもいます。なぜ日本人でなければならないのか?それは日本人独自の文化や考え方や感性を持っているからです。

世界で活躍するには英語が話せるだけではダメなのです。日本人ならではの感性を持ち、日本のことを知らなければ世界で通用しませんし、受け入れられないのです。

世界で通用する子に育てるためには

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筆者は30年以上子どもの英語教育に取り組んできましたが、決して英語ができるだけの国籍不明の人間を育てたいとは思いません。英語はあくまでも手段です。


「アイデンティティ」を持つ

本当に大切なことは、「自分は何者か」というアイデンティティなのです。日本に生まれた私達は、日本人としての感性を持っています。それらを子ども達に伝えていけば良いのではないでしょうか。


・細かいことにも心配りができるおもてなしの心

・ものを大事にする“もったいない精神”

・人に迷惑をかけないように気使う心

・他人を助ける優しさや思いやり


それらを持ったうえで、日本人に欠けている「考える力」や「チャレンジ精神」や「責任感」などを欧米の文化から学べばいいのです。


日本の文化をしっかり伝える

世界で通用する人間とは、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、異文化をも受け入れられる広い心を持った人です。子ども達には英語と同時に、日本の文化もしっかり教えていきましょう。

アイデンティティの育て方や、欧米から学ぶべきことについては、また別の機会に詳しくお話したいと思います。


執筆:平川裕貴

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元日本航空CA。外資系英語スクールマネージャーを経て、1988年子ども英語スクールを開校。現在、英語プリスクールで、3歳から6歳までの子ども達を、幅広い視野と思いやりを持ったバイリンガルに育てている。また、スクール経営の傍ら、長年欧米文化に触れてきた経験から、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱する幼児教育研究家として活動。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』 に子ども教育評論家として出演。また、英語やしつけに関する記事を多数執筆。著書に『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(彩図社)『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』(アマゾン)

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英語プリスクール「リリパット・リトルキンダー」経営者、「日本・欧米いいとこどり育児」を提唱する幼児教育研究家。経営者としての視点と教育者としての視点から、子ども達が生きる未来の社会を見据えて教育に取り組んでいます。 保育士、英語教師資格保有。

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