非認知能力とは?具体例から幼児期の子どもの伸ばし方・鍛え方

非認知能力とは?具体例から幼児期の子どもの伸ばし方・鍛え方

2024.01.06

育児を語る上で例に出る「非認知能力」とは何でしょうか。よく聞くけど実はよく知らない、という声も聞かれます。簡単に言うと、子どもが身につけたい「生きるスキル」と考えることができるようです。非認知能力を伸ばすには何ができるのでしょう。具体例とともに見ていきましょう。

「非認知能力」とは

「非認知能力」は、一般的には「認知能力」と呼ばれるもの以外の能力を指します。

認知能力とは、主に目に見える分野での人の能力をイメージすると分かりやすいでしょう。


認知能力は、知能指数や偏差値など数値で見ることができる能力。

対して非認知能力は、社会性や感情のコントロールといった目に見えない人の能力とされています。


この非認知能力の具体的な要素について、2015年にOECD(経済協力開発機構)が公表した資料では「社会情動的スキル」と定義されています。


この社会情動的スキルとは、大まかに分けて以下の3つとされています。


・長期的目標の達成

・他者との協働

・感情の管理


この3つの土台は、就学前の0歳から6歳の間に築くことが重要とされているようです。


出典:子どもの「非認知能力」を伸ばしたい親が知るべき3つのこと

非認知能力の3つの要素と具体例

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iStock.com/Satoshi

ここからは、前章で提示した非認知能力の3つの要素を身につけたい力として捉え、さらに掘り下げていきましょう。


長期的目標の達成......「自己に関わる心の力」

将来の夢や具体的に叶えたい希望を目標設定し、強い意欲を持って継続するには「やり抜く力」が必要です。それによって長期的目標の達成につながります。


「自己に関わる心の力」とはさまざまな要素がありますが、自分を大切にするために必要な自己肯定感や、自分を高める力の源になる自尊感情と自己効力感がこれにあたります。


また、好奇心や自制心も大きな要素としてこの中に含まれます。これらを育むことで「やり抜く力」が育ちます。


他者との協働......「社会性に関わる心の力」

一般的に「社会性」と呼ばれる分野を理解するのが、この能力のキーポイントです。


先述した「自己に関わる心の力」とバランスをとり、社会のなかで他者との関係を円滑に進める能力と考えると分かりやすいかもしれません。


簡単に表現すると、協調性に代表されるような「人との関係を作り維持する力」「人とうまくやっていく力」とも言えます。


人の気持ちを汲み取る「共感性」や、ボランティアなど見返りを求めず他者の役に立ちたいと考え行動する「向社会性」などが、この「社会性にかかわる心の力」の重要なパーツです。


感情の管理......「セルフコントロール能力」

「大切な目標または他の人のために自分の感情をコントロールする力」と呼ばれます。幼少期から成人後まで、社会生活を送る中で重要なスキルと言えます。


この能力を身につけることで、上記の2つの能力「自己に関わる心の力」「社会性に関わる心の力」をより強化させることができるでしょう。


出典:乳幼児期の「非認知能力」についての実態調査。知らない保護者は79.5%

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子どもの非認知能力を伸ばすとは。家庭できること

非認知能力が最も伸びるのは、一般的には幼児期から10歳までと言われています。


しかし、非認知能力の重要なファクター「やり抜く力」は10歳程度から伸びやすいという知見や、社会性に関わる前頭前野の成長は10代以降がピークと言われることからも、決して一概には言えない部分は多いようです。


これを前提に、幼児期以降に非認知能力を伸ばすために家庭で簡単に取り組めることとは、また保護者の意識の持ち方とはどんなことがあるのかについてまとめました。


以下のような行動を意識することで、非認知能力を伸ばす土台を作ることができるようです。


認知能力と非認知能力をともに伸ばす

学力や記憶力などに代表されるような認知能力は、教科の学習を進める上で「話す・見る・聞く」というような能力が欠かせません。


認知能力と非認知能力は切り離せないものと捉え、総合的に育てることで相互作用が期待できます。


計画や目標設定を具体的に教え伴走する

ゴールだけを提示するのではなく、スタートとゴールの間に踏むステップを親子で目線を合わせて設定し、共に進めていくことが大事です。

スモールステップを積み重ねる成功体験が、子どものやり抜く力を育むことにつながります。


子どもの成功を具体的に褒める声かけ

上記のスモールステップのなかで、子どもができたことを言葉で具体的に評価して褒めましょう。


「すごい」「えらい」など漠然とした声かけではなく「○○できたね、だからすごい!」と具体的に褒めることで、保護者への信頼感と安心感が生まれ、チャレンジする力の支柱となります。


子どもの興味・関心を見定め自主性を尊重する

「自主性の尊重」とは、子どもをひとりの人間として認めて尊重することからはじまります。


先回りして子どもがやりたいことに手を出してしまう、大人目線で指示をしてしまうなど、子どもの伸びる機会をつぶさないように気を配りましょう。


出典:【非認知能力/前編】子どもの能力を伸ばす前に見直すべき「親のマインド」とは

出典:習い事でやり抜く力を育てる。人より遅くても「続けること」で身につく力

出典:【非認知能力】IQが高い人ほど脳の発達が遅い?やり抜く力に手遅れはない

子どもが持つたくさんの非認知能力の芽を家庭で育む

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iStock.com/Milatas

非認知能力の基本的な考え方と必要な要素、それを家庭で育む・伸ばしていくためのポイントについて見てきました。


保護者や家庭での接し方を意識することで、子どもの成長とともに必要になる社会性などの「生きるスキル」を育てていくことができるでしょう。


2024.01.06

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