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【調査】「日本版DBS」導入に9割賛成も、方針案には反対派多数。保護者が本当に望む制度とは。
16日、政府から日本版DBSの法案提出が見送りになることが表明され、保護者からは早期の実施を望まれる中で次の通常国会へ持越しとなった。この記事では、実際に保護者の声をアンケート形式で調査した結果を掲載しています。連日、子どもへの性犯罪や子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認する新たな仕組み「日本版DBS」について議論されている。そこで今回、今まさに子育て中のママたちが「日本版DBS」導入についてどのように考えているのか、大きな論点として挙げられている性犯罪歴の照会範囲や対象者に焦点を当て、リアルな声を知るべくアンケート調査を実施した。
見送りとなった日本版DBS。安心を求める保護者の声
16日(月)加藤鮎子こども政策相は「次の通常国会以降のできるだけ早いタイミングで提出する」と表明。
子どもへの性犯罪に関する事件や報道が増加しており、保護者の心配や不安も日に日に増している。日本版DBSの早期実現を望む保護者も多い中、今回の法案提出の見送りについては落胆や憤りを感じる人も多いのではないでしょうか。
性犯罪者の性加害の事実は一見してわからず、表面化しにくい問題であると共に、再犯への懸念は強い。
そのため日本版DBSの実施により、すべての性犯罪が取り除かれるわけではないが、子どもを取り巻く社会になるべく早く安心がもたらされるよう法案の成立が待たれる。
一方、9月にKIDSNA STYLEが実施したアンケート結果では、保護者の50%以上が子どもへの性犯罪について心配・実際に危険性を感じていると回答し、日本版DBSの導入についても9割以上が賛成している。
また、日本版DBSの導入によって我が子の性被害を未然に防ぎたい思いや、不安を軽減し安心したいという意見が75%以上と大半を占めている。
この記事では、こういった保護者の声について、アンケート調査をもとにまとめています。
以下で調査結果の詳細をお伝えします。
子どもへの性犯罪について心配や危険性を感じた家庭が半数以上
今回、子育て中のママたちを対象に「日本版DBS」についてのアンケートを実施。
Q.日常生活の中で、子どもへの性犯罪について心配になったり、実際に危険性を感じたことがありますか?
まず、「日常生活の中で、子どもへの性犯罪について心配になったり、実際に危険性を感じたことがありますか?」という質問では、
はい 53.8%
いいえ 46.2%
という結果に。半数以上の家庭で、不安や危険性を感じた経験があることが分かった。
はいと答えた人への「どんなときに心配や不安を感じますか?」という問いに対しては、一番多かったのが「子どもがトイレへ行く時」で42.1%。次いで、「性犯罪のニュースをテレビやSNSで見た時」が36.8%、「子どもが1人や少数で遊んだり登下校する時」が31.6%に。
その他、ショッピングモールなどの人混みで数秒、目を離した隙や、パパが不在の時、海外滞在時、公園等で服を汚した際にやむを得ず着替えさせる時、という回答もあった。
また、「どんなときに危険性を感じましたか?」という問いに対して、一番多かった回答もトイレに関する内容で31.6%。
「パートナーが子どもを1人でトイレに行かせたり目を離していることがあるのを知った時」や、「子ども用トイレの扉の高さが低いので、他の子どもの用を足しているところが見えてしまい、親ではない人がいてもわからないなと危険を感じた」などの声があった。
さらに、実際に子どもが知らない大人に話しかけられたことや、何も言わずにベビーカーに乗っている子どもの頭を知らない人が撫でてきたなど、接触を目の当たりにしたケースも5.6%の回答があった。
「日本版DBS」導入に賛成の保護者が92.3%
Q.日本版DBSの導入についてどう思いますか?
「日本版DBSの導入についてどう思いますか?」の問いについては、
賛成 66.7%
やや賛成 25.6%
どちらともいえない 7.7%
という結果になり、反対派はおらず、9割以上の人たちが日本版DBSの導入について賛成の意見であることが分かった。
賛成派の方の回答理由として多かったのが、「親が安心して預けることができる」「性犯罪は再犯率が高いと言われているから」「性犯罪を未然に防ぐことに役立つ」という意見。
実際に現在、保育園で働いている方からは「過去に犯していなくても、いつどんな事を起こすかは実際に起きるまでわからない」という声や、
現役教員の方からは、「小児に対する性犯罪歴をもった人には絶対に教員になってもらいたくない。教員としても、我が子をもつ母としても絶対に嫌なため。少しでもその可能性があるならば、単純に子どもが好きで、子どもたちのためにという想いがあったとしても、申し訳ないがやめてほしい」という声もあった。
性犯罪歴の照会が学校・保育所以外「任意」について反対派多数
Q.「日本版DBS」導入案(9/13時点)では、 学校や保育所などについては就職希望者の性犯罪歴の照会を「義務化」、学校や保育所以外の学習塾や学童保育、スポーツクラブなどは性犯罪歴の照会が「任意」とされる方針ですが、これについてどう思いますか?
「日本版DBS」導入案(9/13時点)における、犯罪歴の照会範囲の問いについては、
賛成:23.1%
反対:66.7%
どちらともいえない:10.3%
と回答。反対派の意見の方が多いことが分かった。
それぞれの回答理由としては、以下のようになっている。
「賛成」の声
子どもと関わる時間の多い人達なので、しっかり調べて欲しい。
「反対」の声
教育現場だけでなく、習い事でも関わるのは同じだと思います。
学童保育は親のいない時間で子どもがたくさん過ごす場所なこととまだ幼い子供なので不安。
すべて義務化にしてほしい。忙しいのはわかりますが、預ける側もお金を払っている以上はしっかりしたサービスであってほしい。子どもは宝と思うなら子どもを守れるように性犯罪者から遠ざけてほしいです。
子どもを狙った人が意図して犯罪歴を隠したりするのではないかと心配。
「どちらともいえない 」の声
スポーツクラブも様々であり、一概には言えない。
どの場面でも起こりうることなので、分類する理由がわからない。
スポーツクラブ等も預ける相手としては身元をしっかりして欲しい。
「どちらともいえない」と回答頂いた中には、反対寄りの意見も見られた。
不起訴になった性犯罪歴者が「照会対象外」についても反対派多数
Q.性犯罪歴が照会の対象となるのは、 性犯罪で有罪判決を受けた前科者に限られ、捜査の対象になっても不起訴になった前歴者は対象外の方針(9/13時点)ですが、これについてどう思いますか?
また、性犯罪歴の照会対象に関する質問については、
賛成:2.6%
反対:51.3%
どちらともいえない:46.2%
と反対派の意見が多い結果に。
各回答の理由としては以下のようになっている。
賛成
不起訴になったなら、それでいい。
反対
不起訴になっても性犯罪にはかわりないのですべて照会してほしい。せっかくなら犯罪者すべて見れるようにしないと意味が無い。
未遂で不起訴になる人は意外と沢山いる(痴漢、盗撮など)
癖は元々あるものなので、起訴か不起訴関係なく、子どもに危険が及ばない対策をとってほしい。
どちらともいえない
捜査された方も対象としてほしいが、不起訴の理由にもよるため。
難しいところですね。有罪になっていなくても危ない人はいるでしょうし、逆に何もしていないのに冤罪のようになってしまった人がいないとも限らないので……
とても難しいと思います……けど、その疑いがかけられたなら、もうその職に付けないと、仕方がないと割り切ってもらいたいですね。
日本版DBS導入で「少し不安が軽減される」と思う方が多数
Q.日本版DBSが導入されることで、子どもへの性犯罪への心配や不安は軽減されると思いますか?
日本版DBSが導入されることで、子どもへの性犯罪への心配や不安は軽減されると思うかという問いについては、
とてもそう思う 15.4%
少しそう思う 61.5%
どちらともいえない 15.4%
あまりそう思わない 5.1%
全然そう思わない 2.6%
と「少しそう思う」という回答が多数となり、以下のような回答理由を頂いた。
とてもそう思う
雇う側がしっかりしていれば子どもに対する性犯罪は減ると思うし、被害に遭う子どもも減る。小さな子を性の対象にするなんて最悪なことだと早く気づいて欲しい。
驚異になりうる人を予め振り落としているので、多少なりとも減ると思います。また、一度でもそのような事があれば職を失うということにもなるので抑止力に多少なりともなるかと思います。
少しそう思う
犯罪にまで手を染めていなくても性癖は様々だと思うから。
完全に防げるとは言えないが、少しは安心できる。
なにがあるか分からない時代なので心配は心配ですが、そういった方が関わりを持てなくなると思うと少し不安は軽減されます。
いままで『子どもだから』と受け流されていたことも、社会全体で認識していけば未然に防げるのではないかと期待している。
どちらともいえない
制度をすり抜ける方法を考えつく人もいると思うので。
あくまで情報を知るツールだから。
あまりそう思わない
隠れた趣味等を持つ人はいると思うので、コレだけでは十分とは思えない。
全然そう思わない
学校や保育園など集団生活ではないところでも起こりうる話なため、いつ怖い目に合うかわからないという不安と危機意識は常にある。
「子どもから目を離さず、トイレには必ず一緒に行く」対策をする家庭が最多
「日本版DBS導入について、その他ご意見があれば教えてください」という質問については、以下のような回答も。
とても賛成です。女性も働かないといけないけど、保育園や幼稚園、学校での性犯罪のニュースなどを見ていると安心して預けにくいので、預ける側が判断しづらいことに対して雇う側が判断してくれると安心できる。
児童だけでなく、介護を必要とする全世代においても、何かしらのDBSがあると良いかと思います。
前科のある人が知らずに我が子の担任だったとなると、どんなにいい先生だったとしても見る目が変わるし、そもそも何故またそんな職業に就くのかも疑問。
完全に性犯罪のリスクが無くなる訳では無いが、少しでも安心材料を増やして欲しいです。
『更生』の機会を奪うという意見があるが、子どもが対象ではない職種はいくらでもある。『更生したから大丈夫』という不確かさより、子どもを確実に守ることが優先されるのは当然。
また、「子どもの性犯罪のニュースが報道される中、ご家庭でされている対策があれば教えてください。」という問いについては、22名の方が回答。
その中で「子どもから目を離さず、トイレには必ず一緒に行く」という対策が一番多く40.9%。
次いで「プライベートゾーンは見せない、触らせない」という回答が36.4%、「早めに性犯罪についての教育をしたり、防犯対策などを家族で話し合いたい」という回答が31.8%あった。
今回のアンケートでは、日頃から子どもへの性犯罪について不安や危険性を感じることがよくあるなか、「日本版DBS」導入については賛成派、方針案については反対派が多く、保護者はより子どもを守ることができる制度を望んでいるようだ。
また、子どもの性犯罪に対して意識して対策している家庭が多いことも分かった。
性犯罪歴の照会対象の範囲について意見が分かれる面もあり、今後子どもを性被害から守るために効果的な制度となるのか注目していきたい。
【調査概要】
・対象:KIDSNA読者へアンケート調査を実施
・調査期間:2023年9月16日~2023年9月20日
・回答数:39人
絶対に通う所は義務になっているから。