情報モラル教育は何歳から?家庭でできる「情報モラル教育」5選

情報モラル教育は何歳から?家庭でできる「情報モラル教育」5選

小学校入学前の子どもたちも、インターネットに触れる機会が増えつつある今、「情報モラル」についてどのように伝えればよいのでしょう。今回は、情報モラル教育を始めるのにおすすめの年齢や、家庭でできる情報モラル教育の方法、体験談をご紹介します。

情報社会に欠かせない「情報モラル教育」とは

情報社会の現代では、誰もがさまざまな情報に簡単にアクセスでき、気軽に発信することができます。ボタン一つで世界中に情報が発信されることで、予想もしなかったような大きな影響を与えたり、誤解を招く可能性もあるでしょう。

情報社会を生きる子どもたちは、情報の送り手、受け手として適切なマナーやルールへの理解が求められます。

文部科学省が定める学習指導要領では、

「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」を「情報モラル」と定め、各教科の指導の中で身につけさせることとしている。

出典: 『情報モラル教育』/文部科学省

として、情報発信の責任や、正しく安全に情報を利用することなどを指導することになっています。

情報モラル教育は何歳から?

小学校では基本的に一人一台パソコンやタブレットが配布されています。そのため小学校低学年では「約束や決まりを守る」「大人と一緒に使う」「知らない人に連絡先を教えない」といった情報モラル教育が行われています。

ただし、小学校に入学する前からインターネットに接続して動画を視聴したり、ゲームをしたりと、デジタルデバイスに触れる子どもは多いでしょう。未就学児の頃から、家庭でデジタルデバイスに触れる際のルールづくりなどで、情報モラルの土台を築けるとよいですね。

家庭でできる情報モラル教育5選

個人情報の流出、SNS上での誹謗中傷やいじめ、何気なく投稿した内容が残り続けてしまうデジタルタトゥー、SNSで知り合った人からの性的被害など……インターネットにはさまざまな危険が潜んでいます。

子どもを被害者にも加害者にもしないために、どのように情報モラル教育を行うとよいのでしょう。家庭で行う際のヒントをお伝えします。


1.自分や他人の「権利」について教える

※写真はイメージ(iStock.com/Yagi-Studio)
※写真はイメージ(iStock.com/Yagi-Studio)

情報社会の便利さの一方で、誹謗中傷やいじめなどの人権侵害、違法ダウンロードや画像の無断使用などの知的財産権侵害などの問題が生じています。

子どもがインターネットに触れる前に、自分の権利も他人の権利も、同じように守らなければならないことを伝えておきましょう。

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2.何が「個人情報」になるのか伝える

「個人情報を人に教えてはいけません」と子どもに言っても、子どもは何が個人情報に該当するのかわからず、SNSに投稿してしまう可能性があります。

氏名や住所、電話番号、生年月日だけでなくメールアドレス、IDやパスワードも個人情報に該当することを伝えましょう。また、通っている学校をインターネット上で知り合った人に伝えることは危険です。公園や近所の写真からも個人が特定されることもあります。


3.ペアレンタルコントロールを利用する

ペアレンタルコントロールとは、子どもが安全にインターネットを利用するための機能です。アプリのダウンロード制御や、ゲームの時間制限、プレイ状況の確認をすることで、インターネット上での子どもの安全を守ります。

子どもが離れていても、リモートでデバイスの設定や変更を行うこともできるようです。


4.ルールをつくる

見えない相手とやり取りすることのできるインターネットを安心して使うためには、お互いを尊重することが大切です。そのためにも、子どもにわかりやすい言葉で、家庭で実践できる情報モラルに関するルールを作っておくと安心です。

警視庁が発表している『インターネット上の犯罪・トラブル防止のためのエチケット』を参考に、子どもと話しながら家庭オリジナルの情報モラル教育を行えるとよいですね。


  • インターネット社会でも、実生活と同じルールとマナーを守る。
  • 他人のプライバシーを尊重する。
  • 住所・氏名などの個人情報を入力する時は、十分注意する。
  • ID・パスワードの管理を徹底する。
  • 他人のミスを大げさに指摘しない。
  • メールを送る前に、内容をよく確認する。
  • 面と向かって言えないことは書かない。

出典:『インターネット上の犯罪・トラブル防止のためのエチケット(ネチケット)』/警視庁


5.普段から子どもとのコミュニケーションを大切にする

子どもが大きくなり、個人のスマホやパソコンを持つようになると、交友関係や、やり取りの内容を把握することはとても難しくなってきます。もしトラブルに巻き込まれても、すぐに保護者に相談しなかったり、取り返しのつかない状態になるまでトラブルに巻き込まれていることに気づかない可能性もあるでしょう。

そういった状況に陥る前に、子どもが小さな頃から家庭でも情報モラルについて教えることが大切です。また、普段からコミュニケーションをとり信頼関係を築いておくことで、子どもが困った時に保護者を頼りやすく、トラブルが大きくなる前に対策をとることができるかもしれません。

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※写真はイメージ(iStock.com/maruco)
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はじめに、総務省が発表している『インターネットトラブル事例集』。コミュニケーション編、個人情報&プライバシー編、情報発信編などに分け、インターネット上のトラブルを漫画でわかりやすく解説しています。

文部科学省は『情報化社会の新たな問題を考えるための教材』として、情報モラル教育の動画も発表しているため、子どもの理解度に応じて一緒に確認してみましょう。

その他、情報モラルを学ぶゲーム教材や、情報モラルかるた、紙芝居、情報モラル教育クイズなど、さまざまな情報モラル教材があるようです。

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最近、飲食店などでモラルに欠けた行動のSNS投稿が相次いでいるので、情報モラル教育が始まったのはいつからなのか気になります。情報モラル教育を受けているなら効果が感じられないな……と。

学校教育だけでは足りない気がするので、家庭でもネットリテラシーなどの情報モラル教育を教えていきたいです。

情報モラル教育を意識したことはありませんが、タブレットを使う時はリビングで使用することや、ゲームの課金はしないというルールをいくつか作っています。

「ネットに書いてあることは全部が本当のことじゃないんだよ」と伝えています。

就学前から早めの情報モラル教育を

※写真はイメージ(iStock.com/itakayuki)
※写真はイメージ(iStock.com/itakayuki)

一人一台のデジタルデバイスが貸与される今、小学校に入ると段階的に情報モラル教育が行われるようです。ただ、未就学児の頃から家庭でインターネットを使う機会があれば、情報モラルについて伝えておくとよいでしょう。

世界中の人とつながることのできる、たくさんの可能性を秘めたインターネットを子どもが快適に使うことができるよう、情報モラルについて親子でいっしょに考えていけるといいですね。

2023.08.15

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