正しい妊娠の判定をするために、妊娠検査薬を使うタイミングや使い方の知識を持ちましょう。今回の記事では、妊娠検査薬はいつからいつまでに使えばよいのか、使用後の妊娠検査薬の扱い、妊娠検査薬の仕組みを医学博士、田園調布オリーブレディースクリニック院長杉山太朗先生監修のもと解説します。
妊娠検査薬を使ったことがある人も、ない人も、なぜ妊娠検査薬で妊娠がわかるのか疑問に思ったことはありませんか。妊娠検査薬は一体どのような仕組みになっているのでしょうか?
妊娠検査薬は妊娠ホルモンとよばれる、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を尿から検出することで妊娠の判定を行う仕組みになっています。
妊娠すると、女性の体はさまざまな変化を起こしますが、そのひとつとして赤ちゃんの成長に必要不可欠である胎盤が作られます。胎盤は妊娠中に重要となるさまざまなホルモンを分泌する器官でもあり、その分泌するホルモンの中にはhCGも含まれます。妊娠することで胎盤からのhCGの分泌が活発化し、尿からも検出されるようになります。
つまり、尿にhCGが一定数値以上検出されていれば、胎盤が作られているということなので妊娠の可能性があるということになります。
妊娠検査薬の判定は、多くの製品で99%以上の正確さとうたわれています。数字を見るとほぼ正確といえますが、使用手順を間違えたり、他の要因によって正しい判定ができないこともまれにあります。妊娠反応が陰性でも妊娠のような症状がある場合は病院でも診断してもらいましょう。
妊娠検査薬には「採尿部」「判定窓」「終了窓」があります。窓の中に判定サインと終了サインがいっしょになっている妊娠検査薬もあります。
基本的な使い方は、採尿部に数秒間尿をかけ、キャップをして平らな場所で1~3分程度放置。その後、終了窓に終了サインが現れていることを確認し、判定窓を見ます。このとき、判定窓に線が現れていたら陽性、何もない場合は陰性と判断します。
製品によって、尿をかける時間や放置する時間は異なりますので、説明書をよく読みましょう。また、基本的に尿をかけてから10分以上が経過した妊娠検査薬は使用できません。判定が出ないからといって一度尿をかけた妊娠検査薬に再度尿をかけると正しい判定ができない場合があります。
妊娠検査薬はいつから使えばよいのか、いつから反応するのか、迷う人もいるかもしれません。妊娠検査薬は「生理開始予定日の1週間後以降」に使用することを推奨しています。また、朝、昼、夜、どの時間帯の尿でも検査が可能です。
妊娠したかもと思ったときから、妊娠の検査をするまでに時間が空いてしまったなどの場合、妊娠検査薬はいつまで反応するのか気になりますよね。
妊娠検査薬は性行為の後すぐに検査しても正しい反応は得られませんが、検査が遅すぎてもhCG濃度が高くなりすぎて正確な判定が出ない場合があります。hCGはおおよそ妊娠4カ月頃まで増大し続け、胎盤が出来上がるとともに減少していきます。
最近では開発が進み、全妊娠期間を通して正しい反応が出ると考えられていますが、基本的にはだいたい妊娠5カ月目くらいまでが正確な判定が出る検査期間といわれています。
妊活中の人は早く結果が知りたいという気持ちがありますよね。
推奨されている期間の前に妊娠検査薬で検査することをフライング検査とよびます。フライング検査でも陽性反応が出ることもありますが、着床が完了し、妊娠確定となったかどうかは確実ではなく、着床が未完了だったケースもあります。
より確実な結果を求めるのであれば、妊娠検査薬の検査推奨期間を守って検査するのがよいでしょう。どうしても早く知りたい人は、生理予定日から検査可能な早期妊娠検査薬もありますので、そちらを試すのもよいかもしれません。
妊娠検査薬には数タイプがあり、使用推奨期間が異なるものもあります。
妊娠検査薬のタイプや生産国にかかわらず妊娠検査薬の検査時間は約1分~3分程度、早期妊娠検査薬以外は推奨期間が生理開始予定日の1週間後以降というところは変わりないようです。
タイプごとに検査方法が異なる場合があるので、どのタイプも使用前に説明書をしっかり確認してから検査しましょう。
日本国内の妊娠検査薬は尿を採尿部にかけるタイプが主流となっています。低価格で近くのドラッグストアなどで手に入りやすいです。
海外製の妊娠検査薬はコップに採尿しスティックを浸すタイプのものが知られています。排卵検査薬と妊娠検査薬がセットになっているものもあります。
判定結果がデジタル画面で表示されるデジタルタイプの妊娠検査薬は、判定線が出ているかどうか迷わないで済むという面で、使いやすいという人もいるようです。
早く結果が知りたい人は、生理開始予定日から検査ができる、早期妊娠検査薬を使うとよいかもしれません。判定の正確さも一般的な妊娠検査薬に劣らず、数本のセットで売られている比較的手頃なものもあります。
妊娠検査薬で妊娠の判定が出た場合は、できるだけ早めに産婦人科の診断を受けに行きましょう。
妊娠検査薬の判定結果は100%確実というわけではなく、他の原因によって陽性の判定が現れることもあります。また、妊娠自体が正常かをしっかり病院で診断してもらいましょう。
使い終わった妊娠検査薬は、検査後の産婦人科を初受診する際には、念のため携帯しましょう。その後、記念に保管しておくママやパパもいるようですが、すぐに捨ててしまう人も少なくありません。
妊娠検査薬はいつから、いつまでに使えばよいのか迷う人も珍しくありません。より正確な反応を求める場合は基本的に「生理予定日の1週間後以降に検査」と覚えておくとよいでしょう。また、早く結果を知りたい人には早期妊娠検査薬という選択肢もあります。
ほかにも妊娠検査薬には、判定がデジタル画面のものや、試験紙のようなペーパータイプなど、さまざまな種類があるので自分が使いやすいタイプのものを使うとよいでしょう。
正確に判定するために、妊娠検査薬を正しく使って検査することも大事です。使用方法を間違えると、正しい判定が行えないこともありますので、検査前には製品の説明書をよく読んでおきましょう。
妊娠検査薬で陽性の判定が出た場合は、できるだけ早めに産婦人科で妊娠の診断を受けましょう。超音波(エコー)検査もすると安心ですね。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
※記事内で使用している参照内容は、2018年9月21日時点で作成した記事になります。
2018年09月21日
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