【産婦人科医監修】第二子がなかなか授からない…。二人目不妊の気になること
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医療法人浅田レディースクリニック理事長
医療法人浅田レディースクリニック理事長
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。
「一人目は自然に妊娠したのに、二人目がなかなか授からない…」と悩む方は少なくないようです。不妊はデリケートな問題でもあるため、人には相談しにくいこともあるでしょう。今回は、不妊治療専門クリニックの浅田先生に、二人目を希望しているママの疑問にお答えいただきました。二人目不妊の原因や問題点、受診の目安などをお伝えします。
第二子がなかなか授からない…受診のタイミングは?
「一人目は自然に妊娠したのに、二人目がなかなか授からない…という方は意外と多く、決して珍しくありません。」
そう話すのは、不妊治療に長年携わる浅田レディースクリニック理事長の浅田義正先生。
過去に妊娠・分娩した経験の女性が、その後妊娠しない状態のことを、一般的に「二人目不妊」といいますが、受診のタイミングはあるのでしょうか。
一人目は自然妊娠したのに二人目ができない。不妊の原因とは
先ほど「二人目不妊は珍しくない」というお話がありましたが、二人目不妊はなぜ起きるのでしょうか。
加齢に伴う卵子の老化と減少
一人目はとくに意識しなくても妊娠したのに、二人目がなかなか授からなくて…。何か原因はあるのですか?
不妊の主な原因は、卵子の質の低下です。卵子は女性の体で常に作り続けられるわけではなく、生まれる前に一度しかつくられません。
つまり、卵子は自分の年齢と同じだけ年を重ねていきます。20歳の時の卵子は20年間、30歳の時のは30年間たった卵子なのです。
また、卵子は年齢とともに数も減っていくそう。
生まれる前、お母さんのお腹の中にいるときにつくられる卵子の数は約500万~700万個といわれていますが、生まれたときには約200万個、初潮を迎えるころには30万個くらいにまで減り、35歳くらいでは1~2%しか卵子が残っていません。
二人目を望むときは一人目より年をとっているので、必然的に卵子の質と数も低下。結果として、妊娠しにくい状態になります。
男性側の要因
男性側に問題がある場合もありますか?
男性側の原因としては、精子の数が少ないことが考えられます。二人目不妊かな?と思ったら、精子の検査も併せて受けるのがよいかもしれません。
他には、「今日は排卵日かもしれないからタイミングをとらないといけない」など、ストレスを感じることでED(勃起不全)になり、不妊に影響することがあるようです。
ライフスタイルの変化
生活習慣が原因の場合もあるのでしょうか?
誤解されている方が多いのですが、生活習慣の改善により妊娠率が上がったというエビデンスはなく、当院では生活習慣と妊娠率に直接的な関係性はないと考えています。
規則正しい生活、飲酒や喫煙などをやめる、食事や運動などの生活習慣は、妊娠率ではなく妊娠後の健康に関わる話なのだそうです。
生活の変化が影響を与えるとするなら、一人目の子育てで忙しく、性交渉の回数が減ってしまうことかもしれませんね。回数が減れば、それだけ妊娠の可能性も低くなってしまいます。
このように、妊娠のチャンスが減っていることも、二人目不妊の原因のひとつ。
妊娠するには、精子と卵子が出会うタイミングの考え方が大切ですが、かえってそれがプレッシャーになる場合もあります。排卵日にこだわりすぎず、タイミングを多くもつのがよいでしょう。
妊活をサポートする不妊治療の専門設備
浅田レディースクリニックの不妊治療についてご紹介します。
不妊症の検査
不妊症の検査は、ホルモン検査、超音波検査、粘液検査、精液検査などさまざまなものがありますが、今回の記事では、最新の不妊検査・治療「AMH検査」と「凍結融解胚移植」について紹介します。
「AMH検査」とは、卵巣内の卵子の数を推測する検査。妊娠率は卵子の質が主に関係するため、AMH値が妊娠率に相関するわけではありませんが、指標のひとつになります。検査方法は、血液検査なので簡単に測定できます。
「凍結融解胚移植」とは、受精卵を凍結保存した後、これを解かして子宮内に移植する方法のこと。近年体外受精によって用いられるケースもあるそうです。
不妊治療ステップアップの目安
続いて、不妊治療のステップについて紹介します。
不妊治療は、できるだけ自然妊娠に近い治療法からスタートして、一定の成果が認められない場合には、治療内容を順次変えていくステップアップ治療。ステップアップ治療は、ある治療をしてその結果が出るかどうかで判断するものです。
どのくらいで次に進むかはドクターや患者さんによりますが、当院では一般的に5~6周期でステップアップし、2年以内に結果を出すことが望ましいと考えています。
上のグラフからもわかるように、1回の採卵あたりの妊娠率は加齢とともに低下します。より多くの選択肢を得るためにも、早めの検査・治療を受けることをおすすめしたいです。
不妊治療にかかる費用
不妊治療にかかる費用は、検査や治療によって大きく異なります。健康保険が適用されるものと適用されないものがあり、費用についてもパートナーや医師とよく相談しましょう。
一般的には、「タイミング法(保険適用)」が1回数千円、「人工授精(保険適用外)」が1回数1~2万円、「体外受精(保険適用外)」が1回数20~60万円程度。
※体外受精は、国の特定不妊治療助成事業の公的補助を受けることができます。
「不妊かな?」と思ったら、まずは相談してみよう
一人目は自然に妊娠したのに、二人目がなかなか授からないと、「どうしてだろう?」と悩んでしまいますよね。でもそれは決して珍しいことではありません。
二人目不妊の場合、あまり先送りにしてしまうと加齢(卵子の質の低下)が進み、ますます妊娠しにくくなる可能性があります。
「二人目不妊かな?と思ったら、早めにクリニックを受診するのがおすすめ」と浅田先生。
浅田レディースクリニックは、不妊治療専門のクリニック。生殖医療を行う専門設備を揃え、妊娠という目標に向かって患者の気持ちに寄り添いながら治療をすすめています。
フロア内に子どもを預けられる親子待合室も完備。子ども連れで受診できます。
気になった方は夫婦で話し合い、ぜひチェックしてみてください。
監修:浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
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浅田義正
2020.07.27
受診のタイミングは人それぞれですが、だいたい1年くらい様子をみる方が多いですね。
二人目・三人目不妊の主な原因のひとつは、加齢による卵子の質の低下。治療を先送りすることで成果が下がることもあるので、わたしとしては『不妊かな?』と思ったら婦人科やクリニックに相談してみるのがよいと思います。