【心に余裕がない日に読んでほしい】#04 優しさを振りまく必要はありません

【心に余裕がない日に読んでほしい】#04 優しさを振りまく必要はありません

子育て、家事、育児と慌ただしい毎日を過ごしていると、心に余裕がない日や、なんとなくしんどい1日もあると思います。そんな、がんばりすぎているママに読んでほしい精神科医の藤野先生の「ゆるゆる子育て」についての第4弾です。

余裕がなさすぎて、夫に優しくできません

ママからの相談

子育てと家事や仕事で毎日くたくたで、夫に優しくすることができません。本当はもう少し優しく接したいと思っているのですが…。

藤野智哉

「優しさの貯金」をするだけでいい。

そんなに毎日がんばっているのに、さらにパートナーに優しくしたいという気持ちがあるなんて…。

それだけですごいです。

その気持ちは大切ですが、でも、いっぱいいっぱいのときは優しさを振りまく必要はありません。

誰かに優しくするっていうのは、自分に余裕があるときにする行動。

余裕がない時は優しくできないのが自然です。

むしろ、そのときの「優しくしたい」という感情を覚えておいて、「でも今は無理だから、今度優しくしてあげよう」って貯金していくだけで十分。

でも、だいたいはできなくてもしょうがないかもしれないですね。

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子どもの教育にもっと興味を持ってほしい!

ママからの相談

子どもの習い事や教育について、夫は私に任せきりです。本当はもっと興味を持ってほしいし、一緒に考えていきたい。どうしたら興味を持ってもらえるでしょうか。

藤野智哉

あきらめるとうまくいく、かもしれません。

これは難しいかもしれません…。

他人に「興味がないことに興味を持たせる」って、かなり難しいこと。

精神科医としては「それはあきらめてください」と言いたいです。

ただ、パートナーだからこそ一緒に考えたいと思ってしまうものですよね。

「こういう教育や習い事をさせることで、この子にこんなメリットがある」


「子どもに将来こうなってほしい」


など、できるだけ具体的に話をすることで、なにかが変わるかもしれません。

たとえば、自分が興味がなく、ルールも知らないスポーツをひたすら見ろと言われても、眠くなってしまいますよね。

でも、ルールや選手の情報などを具体的に教えて解説することで、興味を持ってもらえることがあります。

パートナーにちょっと想像させることが大事かもしれません。

「この人もわかってくれるはずだ、興味を持ってくれるはずだ」という考えは

やがて「わかってくれるべきだ、興味を持つべきだ」に変わり

最終的には「なぜわかってくれないんだ、興味を持ってくれないんだ」という怒りに変わります。

他人も1人の人なので無理やり自分の思い通りにしようとすると、必ずトラブルになります。

自分の「べき」は他の人にとっては常識ではない、という考え方が大切です。

自発的に家事をやってくれたら、うれしいのに

ママからの相談

夫は家事をお願いするとしてくれるのですが、お願いするまでしてくれません。本当は自発的にやってほしいのですが。

藤野智哉

大変さを知らないだけかも。

家事の大変さって、僕もひとり暮らしするまで知りませんでした。

家事をやらなかったらどんなに大変なことになるのか、パートナーが知らないだけかもしれません。

まずは、それをちゃんと伝えてみるのが大事です。

めんどくさがったり、聞いてくれない人もいるかもしれませんよね。

本当は、初期の段階から、週イチとか月イチで定期的に話せるようにしておくのが理想的ですが。

見えない家事もあるということを、少しずつ伝えられたらよいですね。

逆に、パートナーがどんな仕事をしているのかとか、普段話さないようなことを聞いてみることで、「この人も外でがんばってるから、しかたないかな」と思えるようになるかもしれません。


そう思えなくても、お互いのことを知ることは、大切です。

付き合っている時は、お互いのことを知ろうと努力していたのが、夫婦になるといつのまにかしなくなりますよね。

相手のことを知ろうとすること、想像することは大切だと思います。


藤野智哉
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Profile

藤野智哉

藤野智哉

精神科医。1991年7月8日生まれ。 秋田大学医学部卒業。 精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神科病院勤務の傍ら医療刑務所の医師としても務める。

2023.06.19

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