激しい咳や痰などの症状を伴う喘息では夜間に咳き込む子どもが多く、心配な夜を過ごすママやパパもいるでしょう。また天気などによっても乾いていたり、息苦しそうだったり咳込み方が異なるように感じますよね。小児科医金高先生の監修をもとに咳の理由、季節や天気、時間帯との関係性について解説します。
喘息とは、空気の通り道になっている気管支が炎症を起こして収縮や腫脹し、激しい咳、発作、呼吸困難を繰り返す病気です。
喘息には、以下のような症状がみられます。症状は喘息の程度によっても個人差があります。
・咳
・息苦しい
・のどのイガイガ
・痰
・ゼーゼー、ヒューヒューと音が鳴る呼吸音
・呼吸困難
・胸に圧迫感
呼吸をするときに、息苦しそうなゼーゼー、ヒューヒューと音がする呼吸は、「喘鳴」と呼ばれ、重症化すると、呼吸困難になる場合もあるので注意が必要です。
喘息が起こる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
ハウスダスト(主にダニ)や花粉、カビなどの物質が原因で、アレルギー反応を起こすことが多いようです。犬やねこなどのペットの毛でもアレルギー反応を起こすこともあるので、ペットを飼っている人は注意が必要です。
定期的に布団カバーやシーツ、ぬいぐるみなどを洗濯や、掃除して清潔な部屋を保つことが大切です。
激しい運動をすると、口呼吸になり、乾燥した空気が気道に入ります、冷たい空気が気道を刺激して喘息の発作が起こります。
運動全般が喘息に悪い影響を与えるわけではなく、適度な運動は、心肺機能を高め、基礎体力が上がり発作が起こりにくい体作りにもなります。簡単にできる体操などを取り入れ、運動の前のウォーミングアップを忘れずに行うようにしましょう。
たばこや花火、線香などの煙が、気管や気管支に入り、粘膜に刺激を与えると喘息の発作が起こります。たばこの煙は、気道の炎症を悪化させるため、子どもに喘息の疑いがあるときには、たばこや、花火の煙が当たらないように意識することが大事です。
寒気や気圧が低下すると、喘息の発作が起こりやすいです。気圧に急な変化が起こる台風が来たときや、季節の変わり目の秋と春は寒暖差が大きく、特に喘息が起こりやすいので注意が必要です。
また、季節の変わり目に風邪をひく子どもが多いため、喘息を引き起こすこともあります。子どもが季節の変わり目になると息苦しく感じたり、咳が止まらなくなったり、痰が出るなどの症状は喘息かもしれません。
夜から朝にかけて子どもが息苦しそうであったり、咳が激しく出るなどの姿がみられるかもしれません。夜間には、気管支を広げていた交感神経も休息するため、気管支が狭くなり喘息の症状が出やすくなります。
夜に子どもの咳が止まらないなどの喘息の症状が出たら、どのような対応をしたらよいのでしょうか。
咳をたくさんすると、のどが乾燥します。そのときには、常温の水や白湯を飲ませて喉に潤いを与えます。
しかし、激しく咳込んでいるときには、上手く水分を飲めないことや、水が気管支に入ってしまうこと、小さな子どもだと吐いてしまうこともあるかもしれません。また冷たい飲み物を飲ませると咳が強く出ることもあります。慌てず、子どもの飲めるペースでゆっくり常温の水分を摂らせましょう。
新鮮な空気を吸うと、発作が少し落ち着く場合があります。子どもに喘息の発作が出たときには、窓を開けて空気を入れかえたり、一度、部屋や家の外に出たりしてみましょう。
咳が出ているときには、仰向けに寝ているより、上半身を起こした姿勢の方が楽に呼吸ができるようです。枕やクッション、折ったタオルを背中に入れ、上半身を45度くらい起こした姿勢にすると呼吸がしやすくなるかもしれません。
寒い時期になると、暖房を使いますよね。暖房は、部屋を乾燥させます。乾燥した部屋に長時間いると、気道が乾き、咳が出やすくなります。部屋を乾燥させないために加湿器を使うのもおすすめです。
加湿器が汚れていると、汚い空気が排出され、逆に喘息の原因になることもあるため、使用する前に掃除をしましょう。
・喘息の発作で眠れない
・ぐったりしている
・顔色が悪い(青白い)
・喘鳴が強く出る
以上のような症状が見られるときには、緊急性があるため、夜間でも救急外来を受診してください。あらかじめ発作時の治療が指示されているなら、早めに行いましょう。
救急を受診するべきか迷ったときには、小児救急電話相談(#8000)で子どもの症状を話して相談してみてもよいでしょう。
子どもの咳が続き、息苦しそうにしているときや、もともと喘息で夜になると咳が止まらないなどの症状がみられると心配ですよね。
喘息の原因として、アレルギー物質や激しい運動、煙などさまざまな事柄があげられます。また喘息の発作は、昼間より夜、気圧や寒暖差の激しい季節の変わり目に起こりやすい傾向があります。
喘息が起こりやすい季節や天気、時間帯のときには、特に注意をして子どもの様子をみることが大切です。喘息の症状が現れたときには、水分補給や呼吸しやすい姿勢などの適切な対処をしてください。吸入薬や内服薬をもらっている場合は早めに使用して効果をみましょう。
ママやパパは、喘息についての知識をつけ、子どもの喘息の原因になりそうな原因を遠ざけたり、喘息かもしれないと思う症状がつづくときには、早めに受診しましょう。
金髙太一(おひさまクリニック)
おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。
子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。
2018年11月05日
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