【 調査 】「公共の場所での授乳」について男性の意見と、海外の授乳事情について

【 調査 】「公共の場所での授乳」について男性の意見と、海外の授乳事情について

最近ネットで話題になった「公共の場所での授乳」。さまざまな意見が議論されていたようです。そこで今回は、KIDSNA編集部が独自にアンケートを取り、男性たちの意見をきいてみました。また海外の授乳事情についても調査してみました。そこには意外な結果が…?

公共の場所での授乳、どう思いますか?

レストランで授乳をする女性
Iryna Inshyna/Shutterstock.com

ネット上で議論になった「公共の場所での授乳」、赤ちゃんがいて母乳で育てているママたちにとっては気になる問題ですよね。

「私は、母乳の出が悪く完全ミルクで子どもを育てました。自分が母乳で育ててなかったというのもあり、おしゃれなレストランで隣の席のママたちが母乳をあげながらランチしている姿に最初はびっくりしました。でも、ケープで隠したり、人の多い所から少し外れるなど周囲に配慮した上でなら、母乳はどこであげてもいいと個人的に思います」(編集部・30代・1女のママ)

「子どもが欲しがるときは、公共の場所でもケープして授乳していたかも。2人目のときはフリーランスだったので、先方に事情を話して打ち合わせ中に授乳することも。そのほうが静かになるし、自分の胸が張ると仕事どころではなくなるから。電車の中でも子どもがおっぱいを欲しがって泣くと、その声で服がびしょびしょに濡れてしまうので、途中の駅で降りてトイレで授乳したりしていました」(編集部・30代女性・2男のママ)

編集部内だけでもいろんな意見があったので、ほかの人がどう考えているかを知りたくなりました。そこで、社内の既婚・独身男性たちに意見をきき、さらに、海外の授乳事情についていろんな国の人に質問してみました。

既婚・子持ちの男性たちの意見

「気にならない派」と「授乳室で派」のふたつに意見がわかれました。また、それが自分の奥さんだった場合のこともきいてみました。


隠してるなら気にならない

「ケープで隠してくれるなら、気になりません」という意見がほとんどでした。それが自分の奥さんだった場合も同様でした。ただ「近くに授乳室があるならそっちでやってほしいかな」という前提。「近く」がどれぐらいの感覚なのかは個人差があると思いますが、基本的には公共の場所での授乳もOKという感じでした。

中には「ケープで隠しもせず町中で授乳している女性を見て、昭和かと思った(笑)」(30代・1男1女のパパ)という意見も。でも「ちょっとびっくりしたけど、まあ別にいいんじゃない」ということでした。


授乳室でやってほしいかも

授乳室
©  Nagamasa – Fotolia

少数派ですが「やっぱり授乳室でしてほしい」という意見もあります。その理由をきいてみると「つい見ちゃうから」とのことでした。ママでも、授乳していても、やっぱり女性は女性。「それがきれいな人だったら、やっぱり見ちゃうよね」(30代・1女のパパ)というのは男性が永遠に持つ、女性の体に対する興味なのかもしれません。

女性として見てもらえるのはうれしいですが、授乳中はちょっと勘弁してもらいたいのが本音ですよね(笑)

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独身男性たちの意見

こちらは全員が「隠してくれているなら、気にしない」との意見でした。

「公共の場で泣かれるよりは、全然いいかと思います。もし自分に奥さんができた場合でも、ケープで隠してくれてたら大丈夫です」(20代前半)

「ケープなど策を講じてくれるなら全く構わないです。ただ実際にやられると、抵抗感はないですが、多少びっくりすると思います。でも、授乳室がどこにでもあるわけではないうえに、頻度も多いので、仕方ないですよね」(20代前半)

パパ予備軍(?)の理解ある意見でした。ぜひそのまま年齢を重ねてほしいなと思いました!

「ある程度隠している素振りがあれば、気にしない。とはいえ極端な混雑時など、授乳限らずスペースを取ることが邪魔・危険になる場所はやめてほしい」(20代後半)

という意見も出ました。ベビーカー問題も最近はいろいろ話題になっていますね。「子どもは社会の宝」といわれることもありますが、公共のスペースでは邪魔にならないように子育てをすることが理想なのでしょうか。でも安全面での問題もあるし、むずかしいですね…。

海外の授乳事情は?

それでは、日本以外の国では授乳をめぐってどんな意見があるのでしょうか。世界中のいろんな方にきいてみました。


台湾:公共の場所での授乳が推進されている

まず、台湾に住む日本人女性にきいてみると、「公共の場での授乳が推進されているみたい」という答えが返ってきました。「政府が公共の場での授乳推進のポスターを作って町に貼っている」そうです。

「台湾は育児休暇が取ることがむずかしいので、出産後産休だけ(2ヵ月とか)で復帰する人がほとんどで、そうなると育児の主体はおじいちゃん・おばあちゃんとなり、ミルクが多くなり…という文化があるのでその中で、もっと母乳を推奨しようという背景があります。なので、公共の場所でケープで授乳するとちょっとびっくりはされるけど、逆に「いいことだね」「がんばれ」みたいな空気で見られるのではないかなーと個人的に思います」(日本人・30代女性・1男1女のママ)

なるほど。母乳推奨→公共の場所での授乳推進、ということですね。


スウェーデン:ほとんどの男性が気にしない

スウェーデンから来日している男性もきいてみると「ほとんどの人が公共の場での授乳に関して、違和感なく受け入れていると思います」とのこと。

男性もですか?ときくと「そうですね。ほとんどの男性はいいと思っていますよ。もちろん、本当に少数だけど、セクシャルな目で見る人もいるかもしれないけれど」ということでした。「スウェーデンのママたちは家では母乳、外出時にはミルクと切り替えている人が多いかもしれませんね」(スウェーデン人・20代男性・既婚)

ちょっと意外だったのが、スウェーデンには日本のような「授乳室」がない、とのこと。「パパやママがオムツを替えるスペースはあるけれど、授乳だけが目的の部屋のようなものはない」そうです。


アメリカ:人それぞれの価値観がある

アメリカではどのような意見があるのでしょうか。「ケープで隠している人もいれば、隠さない人もいる印象です。アメリカでも日本のように授乳についてメディアで取り上げられることもあるし、実はトラブルも多発しています」(日本人女性・40代・既婚)

実はアメリカでは、過去に粉ミルクが推奨されていて、それが母親の社会復帰や男性の育児参加につながり、多くの家庭で粉ミルクで子育てを行ってきたという背景があります。が、近年WHO(世界保健機関)や医師たちが母乳を推奨するようになり、アメリカの母親たちもそれを受け入れ始めているそうです。

しかしそれでもまだ母乳にたいするネガティブなイメージ(母乳育児は貧しい人がするもの、野蛮なもの)が拭えない人びとのあいだで、「公共の場所での授乳」をめぐるトラブルが発生しているそうです。


ウガンダ:母親に敬意を持つ

ちょっと遠いアフリカのウガンダという国の人にメールで意見をきいてみました。

「それは自然なことであり母親としての責任もあると思うので、女性が公共の場所で授乳していたら、僕はそのことに敬意を持って接します」という答え。「それに、長時間赤ちゃんに母乳をあげないと母親もつらいでしょう。そのまま母乳が出なくなったら赤ちゃんは健康に育たない。だから、いつでもどこでも、赤ちゃんが欲しいときに授乳することは自然なことだと思う」(ウガンダ人・30代男性・4女のパパ)

アフリカならではの、寛大な意見でした。人工的なミルクが普及していないという事情もあるようですね。


韓国:日本と似た状況があり、よく議論になる

最後に、日本在住の韓国の男性にきいてみたら「個人的には、いいと思います。授乳しているお母さんがいいと思うならそれでいいのではないでしょうか」という意見でした。

「ただ、韓国でもそれはするべきじゃないとか、時々ネットで議論になることがありますね」という日本と似たような状況だそうです。「それについて、いちばん大切なのは教育なんじゃないかと思います。お母さんが赤ちゃんに授乳することはとても自然なこと。それを知って僕も見る目が変わりました。もう少し寛容になってもいいんじゃないのかなと思います」(韓国人男性・30代)

さいごに

画像

たしかに、日本の育児はまだまだ女性主体で男性が知らないことが多いのかもしれません。まずは男性に、赤ちゃんやお母さんの体について知ってもらうことから始めたらいいのかな、と思いました。また私たち女性が、子育てについて積極的に発言・発信することで、世論が変わるのでないのでしょうか。

みなさま、貴重なご意見をどうもありがとうございました!

2017年01月18日


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