「好き」に夢中になった経験が子どもの個性を伸ばす【小宮山利恵子】

「好き」に夢中になった経験が子どもの個性を伸ばす【小宮山利恵子】

情報にあふれ、変化のめまぐるしい時代。子どもが「好き」を追及し、「個」として生きていくために必要なこととは? 全6回にわたり、リクルートのスタディサプリ教育AI研究所所長・東京学芸大学大学院准教授である小宮山利恵子さんに伺います。

小宮山利恵子

子どもに「好奇心の種」をまいて、好きなことを徹底的にやらせてあげよう

「子どもの個性を伸ばしてあげたい」
「子どもがやりたいことを見つけて幸せに生きてほしい」

そう思いながらも、どのように子育てすればいいのかわからず悩んでいる親御さんは少なくありません。

講演会やセミナーでも、「どうすれば子どもが好きなことを見つけられますか?」と質問されることがよくあります。

未就学児の場合、親がきっかけを与えてあげなければ、子どもは新しい世界を知ることができません。
ですからまずは、子どもにいろいろな遊びや体験をさせて「好奇心の種」をまいてあげましょう。
 
その種の中から、1つでも2つでも子どもが夢中になるものがあれば育っていって、いつか花開くかもしれません。

親は邪魔せずに、子どもが満足するまでやらせてあげてください。
夢中で遊ぶ
写真はイメージです(iStock.com/SolStock)
たとえば、砂場で暗くなるまで何時間も遊び続けるお子さんがいたら、その集中力や探究心が別のことに向かう日が来るかもしれません。

レゴブロックや折り紙、お絵描きに夢中になる子がいたら、将来、何かをつくり出すことが好きになるかもしれません。

小さなお子さんは、自分がやりたいことがまだはっきりわかりませんから、好き嫌いや、向き不向きを試してみるつもりで、習いごとをはじめてみるのもいいでしょう。

私にも中学生の息子がおりますが、年長の頃に料理教室に通いはじめたことがきっかけで、料理が好きになりました。

親にできることは、子どもの好奇心を刺激する環境と選択肢を与えて、好きなものがあれば邪魔せず、徹底的にやらせてみること。

そして、子どもが一生懸命やっていることがあれば全力で応援してあげる。それだけでいいのです。
個を励ます親
写真はイメージです(iStock.com/fizkes)

ゲームやYouTubeが「悪」ではない。好きなことを知るための会話を


一方、未就学児でもゲームやYouTubeが好きな場合、どうすればいいか悩まれている方も多いようです。

親がスマホやパソコンを見ていれば、当然、子どもも自然と興味を持ってしまいます。

子どもへの影響を心配するのであれば、まずは親がスマホをいじる時間を減らして子どもに向き合ってあげたほうがいいと思います。
 
アップル創業者のスティーブ・ジョブスも、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも、自分の子どもが小さい頃は、スマホもタブレットも一切与えませんでした。

その代わりに、スマホやタブレットがなくても、子どもが遊びを楽しめる環境を与えていたのです。
親子で向き合う
写真はイメージです(iStock.com/evgenyatamanenko)
とはいえ、今は小学校でも一人一台タブレットを使う時代ですから、未就学児でもスマホやタブレットに触れさせること自体は問題ない、と私は考えています。実際、私の息子も未就学児の頃、「1日30分」とルールを決めてYouTubeを見せていました。
 
ただし、見終わった後に必ず、「何見てたの?」「何がおもしろかった?」と、自由に答えられるオープンクエスチョンをしていました。

すると、その動画が好きなのかどうなのか、本人も考えるきっかけになるからです。ゲームについても、小学生以降はルールを決めてやらせています。
親子で会話
写真はイメージです(iStock.com/IPGGutenbergUKLtd)
私自身も小学生の頃はゲーム好きで、友達と集まってゲーム機が壊れるまでゲームしたこともありました(笑)。その結果ゲームを仕事にした時期もあります。

私は高校受験も大学受験も限界までがんばったのですが、学習に必要な条件は「意欲」と「継続」と痛感しました。そのため、「ゲームのように勉強を楽しめればこの2つの条件をクリアできるのに……」という思いがあり、教育とゲームの研究をしていました。
 
ライフワークとしたいテーマは“教育”です。家庭環境に恵まれなかった私は、高校も大学も給付奨学金で卒業したため、経済的格差に関係なくすべての子どもに平等に教育機会を与える仕事がしたい、という夢もありました。
 
リクルートが提供している「スタディサプリ」は、教育における課題解決を目指しており、現在、私もスタディサプリ教育AI研究所所長としてサービスをより多くの学習者に届けることを目指しています。


学び
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 子どもの頃にまいた好奇心の種は、いつ何がきっかけで育つかわかりません。未就学児や小学校低学年の頃に興味がなかったことでも、中学生以降に興味を持つこともあります。子どもの頃にやめたことを、大人になって再開する人も少なくありません。さまざまな仕事をしている中で、自分が好きだったことを判断材料にしている方もいます。
 
しかし、種がなければまったく知らないのと同じです。ですから親は、できるだけ視野を広く持って、子どもに好奇心の種をたくさんまいてあげたほうがいいのです。
種をまく
写真はイメージです(iStock.com/FotoDuets)

なぜこれからの時代に「好きなこと」が必要なのか

これからは「個の時代」と言われています。

海外では当たり前ですが、日本でも終身雇用制度がなくなりつつあり、大企業でも定年まで安定して働き続けられる時代ではなくなってきました。
 
兼業や副業をはじめ、プロジェクトごとに雇用契約を結ぶ「ジョブ型」雇用も増えていますから、これからますます、集まったメンバーが得意なことを生かす働き方に変わっていくでしょう。

基礎学力はもちろん大事ですが、すべての勉強を平均点でできるオールラウンダーである必要はなくなります。むしろ、何かひとつでも秀でた得意分野があれば、足りないところは仲間と補い合えばいい。そういう意味では、自由度高く働ける時代になっていくとも言えます。
 
好奇心のおもむくまま、好きなことに夢中になった経験があればあるほど、その人の「個」が輝きはじめます。自分を「個」として認められて育った人は、自分に素直に、自分で決めて、自分らしい人生を送ることができます。
子どもの夢
写真はイメージです(iStock.com/CHBD)
本当に大切なことに夢中になれるとき、人も組織も、より良い未来を生み出せる。それは、リクルートが目指す世界観「Follow Your Heart」でもあります。
 
子どもは好奇心の塊、可能性の宝庫です。

ぜひいろんなものを見せて、触れさせて、感じさせて、体験による好奇心の種をまいてあげましょう。その中から、その子に合った種が育っていくことが、個性へとつながっていくのです。
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小宮山利恵子

スタディサプリ教育AI研究所所長。東京学芸大学大学院准教授。「教育におけるICT利活用をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。早稲田大学大学院修了後、衆議院、ベネッセを経て2015年株式会社リクルート入社。同年12月より現職。
著書に『教育AIが変える21世紀の学び』(共訳、北大路出版、2020年)、『レア力で生きる 「競争のない世界」を楽しむための学びの習慣』(KADOKAWA、2019年)、『新時代の学び戦略』(共著、産経新聞出版、2019年)など。

Twitter:@RiekoKomiyama

2022年01月14日

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