「スノープラウ(除雪車)ペアレント」になってませんか?アクティブ・ラーニングや子どもの主体性を考える

「スノープラウ(除雪車)ペアレント」になってませんか?アクティブ・ラーニングや子どもの主体性を考える

3年後の2020年、新学習指導要領がスタートするのをご存じでしょうか?その中で重要視されている「アクティブ・ラーニング」という学習方法には子どもの主体性が不可欠だといわれています。それを伸ばすような幼児期の子どもとの接し方とはどのようなものかを考えてみました。

他人事ではないと感じて…

筆者には小学4年生の息子がいます。先日、学習塾の保護者会で講師から「これからは子どもが主体的に考え学習するアクティブ・ラーニングが重要視される」という話がありました。筆者の育児を振り返ってみると「子どもの主体性」を伸ばすような育て方ができていたか不安を感じ、これは他人事ではないと思いました。

みなさんはどうでしょうか。子どもの主体性を伸ばすために毎日の生活の中で心がけていることはありますか?

今の幼児が小学校に入るころには、新学習指導要領がすでに導入されています。そこで今回は、同じママとしての立場から、幼児期の子どもを持つママたちができることを考えてみました。

アクティブ・ラーニングとは

現在の小学校の授業例

数ヶ月前に息子が通う学校で行われた授業参観。総合学習の時間で「自分たちの学校について」グループごとに子どもたち自らテーマを決め、調べ、模造紙にまとめていたものを発表し、質問の受け答えをするという授業を行っていました。学習指導要領の改訂は2020年からですが、すでにアクティブ・ラーニングを意識して少しずつ取り入れている学校も多いのだな、と感じました。


親世代に受けた教育とは大きく変わる教育方針

今の親世代の多くは、受け身で詰め込み型の教育を受けてきた世代でしょう。2002年の学習指導要領の改訂では、詰め込みの反動で「ゆとり教育」が本格的に取り入れられましたが、その後子どもの学力が低下したため2011年からは学力重視の教育へと移行。

そして情報化社会の大きな発展やグローバル化、少子高齢化など急速に変化し、先の読めない社会で子どもたちが活躍できる能力をつけるために、2020年には新学習指導要領がスタートします。その中でも「アクティブ・ラーニング」が重要視されています。


アクティブ・ラーニングの内容

文部科学省が定義する「アクティブ・ラーニング」とは、もとは大学教育で使われていた言葉です。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法

出典: 文部科学省ホームページ

2012年以降、受け身な受講ではなく、能動的な学習方法「アクティブ・ラーニング」が大学で取り入れられました。その後、幼小中高にもその必要性が説かれ、新学習指導要領に盛り込まれました。

子どもたち自らが課題を発見し、解決に向け主体的・協働的に学ぶ学習するという方針で、教室でグループ・ディスカッション、ディベート、グループワークなど、グループ内で話し合いや発表などをする方法が有効だといわれています。


センター試験は廃止される

アクティブ・ラーニングの授業を受けるのに必要なことは、学習意欲・自信を持ち、自学・自習の態度や能力が身についていること、基礎学力が定着していることがあげられています。また、新学習指導要領では大学入試センター試験が廃止され、入試では思考力、判断力や表現力を問う内容が増え、これまでの暗記型の勉強だけでは通用しきれなくなります。自らの意見を言え、思考力や実践力も求められるのです。

子どもの主体性、尊重していますか?

以上、アクティブ・ラーニングや子どもの主体性について書きました。しかし最近、それらとは真逆な「スノープラウ(=除雪車)ペアレント」という言葉があります。


危険そうなものをすべて排除

小さなものでも子どもにとって危険だと思うものは何でも排除しようとする、度を越した過保護な親のことを「スノープラウ(=除雪車)ペアレント」と呼ぶそうです。子どものためを思っての行動ですが、逆効果になることもあるようです。


あれこれ先を心配しすぎて…

そんなバカなと傍観するのは簡単ですが、筆者は自分にもそれに近い要素はあるのではないか?と気になりました。あれこれ先を心配しがちな親は、実は全くの他人事ではないかもしれません。気づかないうちに、子どもの主体性が育つきっかけを奪っていないでしょうか。

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子どもが小さいと、親は常に子どもを見守り一心同体のような気持ちになりますが、子どもは少しずつ成長して自分の意志で動こうとします。それに気づいてあげることが大切なのかもしれません。


書店で子どもが絵本を選ぶ時

筆者の経験を振り返ってみます。たとえば、書店で絵本を選ぶ場面。筆者は息子に「好きな絵本を持っておいで。ママはAとBがいいと思うけどね~。」などと度々言っていました。子どもが持ってきた本Cではすぐに飽きてしまいそうだなと、つい世間で評価の高いA、Bの本をすすめていたのです。よかれと思っていたのですが、傍観している夫からは「それは子どもを誘導してるじゃない」と失笑されていました。


どうせダメって言うと思うけど

また、いつからか息子は頼みごとなどをするときに「どうせお母さんがダメって言うと思うけど」という前置きをつけるようになりました…。私ってそんなにダメダメ言っていたかな!?とドキッとしました。今思えば、自分の都合を主張し、子どもの主体性を摘み取ることをしていたのかもしれません。

子どもが自ら進んでいくために

以上、ちょっと反面教師な例を挙げましたが、子どもが主体性を持って生きていけるようにするために、親ができることはあるのでしょうか。


少しずつ手を離して、見守る

子どもは自分で選んだ物を親に認めてもらったり、自力で成功したことにより自信を持ち、自ら進んでいきます。子どもが成功したことは、親も少しずつ手を離して見守っていきたいですね。

また、自分より優れたところを持った友だちや有名人などを見て、自分もやってみたいというきっかけになることも多いようです。そんな時には親の都合を言いすぎずに、「やってみたい」という気持ちを尊重してあげたいものです。


子どもを信じてみる

私たち親世代は、幼い頃から子どもだけで自由に遊んでいませんでしたか?足を滑らせて溝に落ちたり、すべり台で顔から落ちて擦り傷を作ったり、大人になった今となってはゾッとするような出来事もあったのではないでしょうか。ちょっとしたことでケンカになって泣いて帰ったことも多かったです。

しかし自ら痛い思いや失敗をして経験したことは、決して忘れることなく、同じ失敗をしないように学ぼうとしたと思います。

今の時代に小さな子どもだけで遊びに行かせることはできませんが、ちょっとしたケンカや遊びなどに親が先回りしすぎて「何事もない」ように終わらせるのは、経験するチャンスすら奪ってしまうことにもなります。口を出さずにいるのは親としてはとってももどかしいでしょうが、子どもを信じて見守る勇気も必要なのかもしれません。

親がヒントを与えがち

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子どもたちがこれからの時代を生き抜くために導入される、アクティブ・ラーニング。ちょっと難しく感じる言葉ですが、少しは身近に感じてもらえたでしょうか?

親はついヒントを多く与えがちですが、それは子どもの主体性を奪ってしまうことにもなりかねません。一緒にいる時間が長い幼児期こそ、親も心がけておきたいですね。


参考サイト

文部科学省ホームページ

2017年02月19日


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