【年齢別】モンテッソーリ教育におすすめの教具・おもちゃ、遊び方

手作り方法、遊び方のポイント

【年齢別】モンテッソーリ教育におすすめの教具・おもちゃ、遊び方

モンテッソーリ教育を家庭で取り入れたいけれど、教具・おもちゃは何を使ったらよいか迷う方もいるのではないでしょうか。おもちゃの手作り方法もわかると気軽に試せそうですよね。そこで今回は、モンテッソーリ教育の教具・おもちゃについて特徴や選び方、子どもの年齢別のおすすめおもちゃ、手作り方法、遊び方のポイントをご紹介します。

モンテッソーリ教育とは

※写真はイメージ(iStock.com/Victoria Popova)
※写真はイメージ(iStock.com/Victoria Popova)

モンテッソーリ教育は、「自立していて有能、責任感と思いやりがあり生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」という目的で、イタリアの医師であり教育家のマリア・モンテッソーリ博士が考案した世界的な教育法です。

この教育を受けることで、子どもに積極性が身に付いたり器用になりやすいと言われており、数々の著名人がその教育を受けたほか、日本でも幼稚園や保育園で取り入れられているなど広がりを見せています。

モンテッソーリ教育では、主に5つの教育分野(日常生活の練習、感覚、言語、算数、文化教育)があり、0~3歳で感覚の敏感期が終了後、3歳以上は運動・お仕事と呼ばれる活動を通して得た感覚を研ぎ澄ませていきます。

また、子どもたちの自発的な行動が尊重されるため、周りの大人たちは「援助者」として接することが求められます。

主な「援助」としては、教育分野や目的に合わせてさまざまな教具・おもちゃ、環境を用意し、学びをサポートします。

出典:話題のモンテッソーリ教育。日本の幼稚園との違いを専門家が解説/KIDSNA STYLE

モンテッソーリ教育の教具・おもちゃの特徴

モンテッソーリの教具・おもちゃは、以下の教育分野に対応するように体系化されたものが使われます。

<5つの教育分野と教具・おもちゃ例>

・日常生活の練習

切る、縫うといった作業のほか、マナーや身だしなみなど生活をしていくうえで必要な動きの練習

例:安全はさみ、縫いさし、ボタンはめおもちゃなど

・感覚

視覚、触覚、聴覚などの五感を教具を通して印象づける活動

例:円柱スタンド、触覚箱、味覚びん、色板など

・言語

聞く・書く・読む・文法の順に学ぶ活動

例:絵カード合わせ、ひらがな練習帳やスタンプなど

・数教育

数量、数詞(数えること)など数を理解する活動

例:数字カード、時計、そろばんおもちゃなど

・文化

地球、時、生命、美術、音楽など宇宙にあるものすべてを多岐に渡って学ぶ活動

例:植物や昆虫、動物、人体のパズル、標本など


教具は、木製や原色など子どもが興味を持ちやすいよう、五感を刺激する要素が含まれているものが多く、小さい子でも扱いやすいデザインのものが取り入れられます。

また、素材についても慎重に扱う感覚を覚えるために、壊れやすい陶器やガラスなど大人が使うものと同じ「本物」があえて使われることも多いです。

出典:話題のモンテッソーリ教育。日本の幼稚園との違いを専門家が解説/KIDSNA STYLE

モンテッソーリ教育の教具・おもちゃの選び方

※写真はイメージ(iStock.com/Kostikova)
※写真はイメージ(iStock.com/Kostikova)

教具・おもちゃの選び方として、まず最初は、伸ばしたい教育分野に特化して選ぶとよいかもしれません。

細かい部品を使ったり知識を要するおもちゃの場合は、子どもの年齢や能力に合わせて選ぶようにします。

また、その子のレベルより少し難易度が高い教具・おもちゃを用意すると、積極的に取り組みやすいこともあるようです。

出典:話題のモンテッソーリ教育。日本の幼稚園との違いを専門家が解説/KIDSNA STYLE

【年齢別】モンテッソーリ教育におすすめの教具・おもちゃ

モンテッソーリ教育におすすめの教具・おもちゃを年齢別にご紹介します。


0歳

0歳の生後間もない時期は、まだ視力が未発達で至近距離しか目の焦点を合わせることができないでしょう。

そのため、おもちゃを選ぶのであれば、まず目の焦点を合わせる練習として原色や白黒のカラーが使われた、モンテッソーリのモビールがおすすめです。風が吹くことでやさしく動くため、メリーよりも目で追いやすいかもしれません。

※写真はイメージ(iStock.com/eggeeggjiew)
※写真はイメージ(iStock.com/eggeeggjiew)

発達に応じて、ラトルや鏡、ベビージムなども、見たり舐めたり手を使ったりする感覚の洗練に活躍しそうです。


1歳

1歳になると手先が器用になってきたり、走ったり階段の上り下りなど様々なことができるようになってくる子も。

モンテッソーリ教育では、手を使うことが大切と考えられています。もし子どもが小さい物やティッシュなどをつまむ動作をしていたら、それは指先を使いたいサインかもしれません。

積み木やパズル、楽器、ハンマートイ、シール貼りなどは、手先の発達のサポートにおすすめです。

※写真はイメージ(iStock.com/olesiabilkei)
※写真はイメージ(iStock.com/olesiabilkei)

2歳

2歳では、指先や体を使う動きが発達するほか、話せる言葉の数が増えてくる子もいるでしょう。

安全はさみやのりの練習セット、 型はめパズルボックス、ひも通しなどのビーズおもちゃ、バランスゲーム、スタッキングタワーなど少し難易度の高い知育玩具は、子どもの発達をより促すでしょう。


3歳以上

3歳頃になると、エレベーターにある階のボタンやカレンダーの日付など「数」に興味をもつ子も多いのではないでしょうか。スマホやタブレットなど大人が使っているものにも興味を示しやすい年頃です。

モンテッソーリでも大切とされている数字学習ができる知育玩具のほか、型はめパズル、円柱さし、ねじを使った組み立ておもちゃ、おままごとやお医者さんなどごっこ遊びセット、魚釣りおもちゃ、楽器といったおもちゃは活用できそうです。

※写真はイメージ(iStock.com/jojof)
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出典:話題のモンテッソーリ教育。日本の幼稚園との違いを専門家が解説/KIDSNA STYLE

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【年齢別】モンテッソーリおもちゃの手作り方法や遊び方

モンテッソーリの教具・おもちゃの手作り方法や遊び方を年齢別にご紹介します。どれも、100円ショップなどで材料を入手して、簡単に作ることができます。


【0歳~向け】ストロー落とし

※写真はイメージ(iStock.com/TijanaD)
※写真はイメージ(iStock.com/TijanaD)

<材料>

・ストローボトル(ドリンクジャー)※ストローと蓋付きの瓶

・使い捨てストロー数本

<作り方>

1. 瓶に付属しているストローを外す

2. 使い捨てストローを、瓶に入る長さでカットして完成

<遊び方>

瓶の穴にストロー落とし入れることで、集中力や指の力を鍛える

蓋付きの瓶は中におもちゃを入れて、指を上手く使って蓋をひねり開ける動作を練習することもできます。

子どもが蓋を開けられるようになったら、ひねる動作の応用でコマにもチャレンジするのもよいでしょう。


【1歳~向け】シール貼りおもちゃ

<材料>

・大きめの丸いシール

・台紙

・シールを剥がした後にゴミを捨てる容器

<作り方・遊び方>

1. 丸いシールをシートについたまま1つずつ切っておく

2. 1.のシールをぴったり貼れる円のイラストを台紙に描き完成

丸いシールは、1つずつ切っておくと慣れない子どもでも剥がしやすいかもしれません。

シールのサイズを小さくして貼る難易度を上げれば、4歳頃まで対応できるでしょう。

また、シールの代わりに色紙にして、糊を筆で塗って貼っていくやり方でも楽しめそうですね。


【2歳~向け】ひも通し

<材料>

・色付き粘土(乾くと固まるタイプ)

・使い捨てストロー1本

・クッキーなどの抜き型

・長めの紐

<作り方>

1. 粘土で好みの形を作る

2. 1.が乾く前に中央にストローで穴をあける

3. 乾燥したらひも通し用ビーズの完成

<遊び方>

長めの紐の端を何回か固結びして、ひも通し用ビーズを通していく

粘土は、抜き型以外にも手で丸めて好きな形に作ったり、アクリル絵の具で色付けしても

個性的なオリジナルビーズになりそうですね。

紐はどんな紐でも良いですが、先が細く固くなっている靴紐は穴に通しやすくおすすめです。

穴を小さくして紐を細くしても、より難易度が上がって手先を使う練習になるでしょう。


【3歳~向け】感覚当て袋

<材料>

・同じ巾着袋2つ

・おはじき、ビーズ、ブロックなどの小物を各2つずつ

<作り方>

2つの巾着袋の中にそれぞれ同じ小物を入れて完成

<遊び方>

大人と子どもがそれぞれ巾着袋を持ち、大人が取り出した小物と同じものを、子どもにも視覚を使わず手の感覚だけで探し当ててもらう

小物の形の特徴を手で捉えイメージするのを繰り返すことで、子どもの感覚が段々鋭くなっていくかもしれません。

 

同じ小物でもシールを貼ったものと貼らないものなど触った感触の違う小物にしたり、

子どもの様子を見て個数を変えて難易度を上げるのもおすすめです。


【4歳~向け】縫いさし

<材料>

・厚紙や画用紙、フェルト

・穴あけパンチ(1つ穴タイプ)や目打ち

・毛糸用とじ針

・毛糸やコットン糸

<作り方>

1. 厚紙や画用紙、フェルトに線やイラストを描く

2. 1.の線やイラストに、約1cmの等間隔で点を書く

3. 2.の点に穴あけパンチや目打ちで穴をあけて完成

<遊び方>

手芸のなみ縫いのように、毛糸を通したとじ針を穴に順々に表側と裏側から刺していき、端まで縫い終わったら糸を切りテープで留める

針は、先の丸い毛糸用とじ針が安全です。針に糸を通したり、玉留めを作る際は最初は大人が手伝ってあげましょう。

直線縫いから2枚の画用紙やフェルトを縫い合わせる、バッグを作るなど難易度を上げていくのもおすすめです。

モンテッソーリ教具・おもちゃで遊ぶポイント

モンテッソーリの教具・おもちゃで遊ぶ時のポイントをご紹介します。


教具をしまう棚やトレーを用意する

※写真はイメージ(iStock.com/sandsun)
※写真はイメージ(iStock.com/sandsun)

モンテッソーリ教育では、「成長のサイクル」と呼ばれる活動が重要で、その中ではまず、子どもが本来持つ力が発揮されるよう、集中して取り組める環境作りが必要です。

特に、教具をしまう棚は大切な存在で、「使いたい教具を子ども自身が選ぶ」「作業場所に運ぶ」「使い終わったら元の場所に戻す」というサイクルが途中で中断されないようなデザインの棚があると理想的です。

木製で角がまるく面取りされており、奥行きが深すぎない2~4段程の低めの棚を取り入れている方も多いようです。

また、棚に秩序感が出るよう、教具をトレーに入れて棚にしまうことも大切です。教具ごとにトレーにまとめ整頓することで、子どもの「すぐやってみたい!」という気持ちに応えることができ活動に集中できます。

トレーは子どもの目線に合う高さで棚にしまい、取り出しにくくならないよう余裕を持ったスペースで並べるとよいでしょう。


何で遊ぶかは子ども自身に選んでもらう

モンテッソーリ教育では、誰かに決められた活動でやらされているだけでは、子ども本来の集中力が発揮されにくいと考えられています。

「子どもが自分で選択できる」という点を大人が意識し、自分でやりたいことや興味のあることを選択することで、子どもも満足がいくまで繰り返し活動に対して取り組みやすくなるでしょう。


最初は大人が見本を見せ、子どもが集中している時は見守る

遊ぶ前には、使う教具・おもちゃの名前や使い方、注意点などわかりやすく遊ぶポイントを子どもに教えてあげましょう。

実際にゆっくりとやって見せることで、「おもしろそうだから自分もやってみたい!」という気持ちになりやすいです。

また、モンテッソーリ教育では、子どもを信じて見守ることが大切にされています。

大人はつい手助けをしてしまいがちですが、手助けをするのは求められたときだけにしましょう。子どもが集中して取り組んでいる際は、繰り返し挑戦したり考えたりする機会を作ってあげれるように、離れたところから見守るのがいいでしょう。

出典:話題のモンテッソーリ教育。日本の幼稚園との違いを専門家が解説/KIDSNA STYLE

モンテッソーリ教育の教具・おもちゃについての体験談

モンテッソーリ教育の教具・おもちゃについてママたちに話を聞いてみました。

 
 

モンテッソーリ教育を取り入れたおもちゃを手作りしたことがあります。

女の子なので『縫いさし』は以前からやらせてみたいなと思っており、フェルトととじ針、細めの毛糸で作ったオリジナル縫いさしは、大人が見本をみせるとすぐ子どもも興味をもってやっていました。最初は難しそうでしたが、1度慣れると『面白い!』と言って夢中になってやっていました

 
 

算数教育のモンテッソーリ教具で『数字と玉』というものがあり、それを真似て100円ショップの数字カードとおはじきで4歳の子どもと遊んでみました。3歳頃からとても数字が大好きな子なので、とても楽しそうにおはじきを数えて並べていました

 
 

モンテッソーリの色水遊びを自宅でやったことがあります。赤、黄色、青の食用色素をそれぞれ使い捨ての透明コップに少量入れ水を注ぎます。

その色水の入ったコップとは別に空のコップを数個用意し、好きなように色を作って遊びました

 
 

知り合いのお子さんの話ですが、ご両親が家庭でモンテッソーリ教育を取り入れていたそうで、小さい頃はよくレゴブロックで遊んでいたと言っていました。

その子は、親切で頭がよく哲学者のような子で、成長してからも博士号までとり仕事についてからもその延長のようにすごく楽しみながらやっています

 
 

子どもが、モンテッソーリ教育を取り入れている保育園に通っていました。

教育内容はすべて『お仕事』と呼ばれ、24gと12gの板を両手のひらに乗せて、わずかな重さの違いを体験する重量板のお仕事や、コルク、大理石、木、金属、フェルトといった異なる素材をバラバラに置き、同じ物を目をつぶって組み合わせていく温覚板のお仕事がありました。

そのほか、色々な三角形を組み合わせ形を作っていく構成三角形のお仕事、ドライバーや時計を使ったお仕事もあり、とても子どもが楽しんでいました

モンテッソーリ教具・おもちゃで遊んでみよう

※写真はイメージ(iStock.com/yaoinlove)
※写真はイメージ(iStock.com/yaoinlove)

モンテッソーリ教育は家庭でも取り入れることができ、教育分野や年齢ごとにさまざまな教具・おもちゃの種類があります。

効果があるかは個人差がありますが、今回ご紹介した教具・おもちゃの選び方や、遊ぶ時のポイントをおさえることで、子どもの自発的に考える力などを鍛えることができるかもしれません。

子どもが楽しみながらできることを増やし、自信をもって成長できるように、興味の対象や成長の度合いなどに合わせて教具・おもちゃを選んであげられるとよいですね。

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