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【産婦人科医監修】生理前のおりものの変化は妊娠のサイン?特徴など
妊娠したらおりものの状態はどのように変わるのか
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
「いつもとおりものの色や匂いがなんだか違う」もしかして妊娠したかも?と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。生理前と妊娠初期のおりものの特徴について詳しく解説します。おりものの変化から妊娠を見分ける方法はあるのでしょうか。
生理前のおりものはいつもと違う
おりものとは、子宮内膜や子宮頸管、汗腺から分泌される粘液や腟の表面細胞が混ざりあった粘性のある液体です。腟内へ細菌やウィルスが侵入するのを防いだり、自浄効果があります。
女性の体は、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン (黄体ホルモン)の影響を受け一定の周期で変化を繰り返します。生理と同じようにおりものにも周期があり、量や匂いなどの特徴が変化します。
生理前はおりものの量が増え、透明または白色のゼリー状になるのが特徴です。
妊娠したときのおりものの特徴
妊娠するとおりものにはどのように変化するのでしょうか。妊娠したときのおりものの特徴について詳しく解説します。
おりものが増える
妊娠中は女性ホルモン分泌が強まり、おりものが増える傾向にあります。
生理前の排卵時は、受精を助けるためにエストロゲンの分泌量が増えおりものの量がもっとも多い時期です。妊娠が成立しなかった場合、エストロゲンの分泌量が少しずつ減り、おりものが減少するとともに生理がきます。
一方で妊娠が成立すると、感染症から守るためにエストロゲンとプロゲトロンの分泌量が多い状態が続き、おりものの量が減らずに多い状態が続くことになります。
エストロゲンは、妊娠週数が進むにつれ増えるため、妊娠中はおりものの量が増えます。
におい
おりものは正常であれば、無臭や少し酸っぱい匂いがする程度ですが、妊娠するとおりものの匂いが強くなったり普段とは違う匂いがすることもあります。また、反対に匂いがなくなる人もいます。
色
一般的に妊娠初期は、透明や白色のゼリー状のおりものが増える傾向にありますが、白く濁った色、濃いクリーム色、黄色に変化する人もいます。おりものの色には個人差があります。
おりものの変化で妊娠が分かる?
生理前の時期、生理中、妊娠中は女性ホルモンの分泌量が変化します。女性ホルモンの分泌量によりおりものの状態が変化するのは正常なことです。
普段からおりものの状態をチェックしている人は、おりものの変化によって、妊娠に気づくことがあるかもしれません。
生理予定日になってもおりものの量が減らずに増えたり、色が茶色やピンク色などいつもと違うおりものが見られたときは、着床出血が起こり妊娠している可能性があります。
着床出血とは
着床出血は、妊娠判明と前後し生理予定日の1週間前から予定日直前に起こる出血です。受精卵が着床した際に少量の出血を起こし、おりものに血が混じり、茶色っぽくなったり、ピンク色に変化します。
着床出血は、すべての妊婦さんに起こるわけではありません。なかには、生理と変わらない量の出血がある人もいます。生理前に予定日よりも1週間以上早く出血があり、2、3日程度で出血が止まった場合は、着床出血の可能性もあるでしょう。
また、絨毛膜下血腫と呼ばれる出血が起こる妊婦さんもいます。胎盤が安定するまでの間に、胎児を包む絨毛膜の外側の部分に血のかたまりができ出血するのが原因です。
妊娠初期の出血は、胎盤ができあがる途中の子宮内膜の血管の破綻によって起こると考えられており、その際、おりものの色が茶色やピンク色になることがよくあります。
おりものの変化だけで妊娠を判断するのは難しい
疲れやストレスなど体調の変化によって、生理周期が遅れたり、早まったりすることもあるでしょう。
妊娠初期のおりものの変化は個人差が大きく、どのように変化するかは人それぞれです。妊娠してからおりものの量が減る人や普段と変わらないと感じる人もいるかもしれません。
おりものの変化だけで妊娠を見分けることは難しいです。
生理予定日を迎えてもおりものの量が減らず、着床出血の可能性があるときは、生理予定日から2日~3日経過したあとに妊娠検査薬で確認したり、産婦人科を受診しましょう。
注意が必要なおりもの
妊娠によっておりものに変化がみられることもありますが、病気によるおりものの変化にも注意が必要です。
白くてポロポロしている
カッテージチーズのようなポロポロした白いおりものは、「カンジタ腟炎」にかかっているかもしれません。抗菌薬の服用や、性行為、体調不良、通気性や衛生面の悪い下着が原因でなることがあります。
外陰部や腟にかゆみを伴うのが特徴です。
黄色や黄緑で泡状のおりもの
通常おりものは白色や透明のことが多いですが、黄色や黄緑で泡状のおりものは「腟トリコモナス症」にかかっているかもしれません。性行為、タオルや便器、浴槽が感染経路になることもあります。外陰部や腟に痛みやかゆみを伴うのが特徴です。
緑色でゼリー状のおりもの、発熱や下腹部に痛みがある場合には「クラミジア感染症」の可能性も疑われます。
黄色く臭いおりもの
腐ったような悪臭を伴う黄色っぽい膿状のおりものは、「淋病」にかかっているかもしれません。性行為が原因になることが多く、外陰部にかゆみを伴ったり、排尿時の痛み、発熱がある人もいます。おりもの量が増えるのも特徴です。
その他にも、おりものの量が増え黄色の場合、子宮内膜炎や卵管炎など子宮周囲の病気が疑われます。
子宮内の炎症によって膿や出血が生じると、おりものといっしょに腟口から体外へ排出され不快な臭いが生じることがあり、重症化すると下腹部の痛みや発熱などの症状が現れるのも特徴です。
おりものから悪臭がするなど、普段は異なる変化があった場合は、性感染症や子宮の病気の疑いがあるので産婦人科、婦人科を受診し医師に相談しましょう。
受診の際は、いつから症状が出たのかや匂い、おりものの量や形状の変化、おりものの異常以外の症状などについて医師に詳しく伝えることが大切です。
普段からおりものの状態をチェックしよう
おりものの量や匂い、状態の変化には個人差があるので、おりものだけで妊娠の判断を確定するのは難しいです。
生理前のゼリー状のおりものが予定日になっても続く、量が減らない場合は、妊娠している可能性もありますが、自己判断は禁物です。生理予定日から2~3日経過したあとに妊娠検査薬で確認したり、産婦人科を受診するのが望ましいです。
生理の周期が普段から不規則な人は、産婦人科に行くタイミングが遅くなりがちですが、普段からおりものの量や匂い、色をチェックしておくと妊娠判明が早くなったり、細菌性の感染症や子宮の病気の重症化、妊娠初期のトラブルのリスクが軽減できます。
おりものの色や匂いが普段と大きく違う、腹痛やかゆみを伴うなど心配な症状があるときは、早めに産婦人科を受診しましょう。
監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。