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【産婦人科医監修】妊娠31週目(妊娠8ヶ月)。妊婦さんと赤ちゃんの様子。
気をつけることと胎動について
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠31週目は妊娠8ヶ月です。妊娠後期ですが、まだ胎動を激しく感じる人もいれば胎動が減ったと感じる人もいる時期です。体重増加に伴う妊娠31週の妊婦さんの体調の変化や、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。
妊娠週数31週目とはどんな時期?
妊娠31週は週数でいうと、妊娠8ヶ月の4週目です。妊娠後期にあたります。
妊娠31週目の妊婦さんの特徴
妊娠後期の妊娠31週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。
体調
子宮がどんどん大きくなると、肺の方に横隔膜が押し上げられ息を吸うのがつらくなります。血液を赤ちゃんに送るため血液量が増えるので、動悸、息切れを感じやすくなります。多くの血液が赤ちゃんに送られるため、貧血症状(立ち眩み)を起こしやすくなります。
妊娠31週目ころは血液の増加量が最大になり、赤ちゃんへと血液を流す活動も活発となるためママの心臓に負担がかかり、血圧が高くなりがちです。
お腹の大きさ
妊娠31週目はもうすぐ妊娠9ヶ月。妊娠後期の真ん中、といった時期でしょう。この頃にはお腹がとても大きくなり、生理的なお腹の張りを1日に何度も感じるようになります。
子宮底は、おへそを越えて、みぞおちの間くらいまで達し、お腹がどんどん前にせり出し、足元がますます見えにくくなる時期です。胃の圧迫感から胃もたれや胸やけを起こす人もいます。
妊娠31週目の妊婦さんの身体
妊娠後期になると、赤ちゃんの成長に伴い、体重が一気に増加します。子宮がかなり大きくなるので、背中を反ってお腹を突き出した姿勢になりやすく、腰痛や背中の痛みがでやすくなります。
妊娠31週目は妊娠後期ですが、まだ激しい胎動を感じる人も多いです。しかし、この時期の胎児はどんどん大きくなっているので激しい胎動を感じる人もいれば、赤ちゃんが成長してお腹のなかで動き回りづらくなり、胎動が減る場合もあります。胎動が減っても、多くは心配しなくても大丈夫なのですが、ママが心配や不安に思う場合は遠慮せずにかかりつけ医に相談しましょう。
早い人だと、前駆陣痛が起きる人もいます。前駆陣痛は不規則で強弱もあるところが本陣痛との違いです。前駆陣痛を感じたら焦らず、楽な体勢で横になって休むことが大切です。
大きくなった子宮に圧迫され、血液の流れが滞ったり、体内の水分量が増えるので、特に手足にむくみを感じ、いつの間にか静脈瘤ができていることもあります。
妊娠31週目の赤ちゃん
赤ちゃんの身体
妊娠31週の赤ちゃんの身長は、40㎝程度です。赤ちゃんの体重は平均で1400~1900gくらいです。身体や顔に皮下脂肪がつき始めて丸みを帯びてきます。
胎内での様子
赤ちゃんはお腹のなかで、羊水を吸って吐くことを繰り返して呼吸の練習をしています。
身体が大きくなってくるので、動き回るスペースが狭くなってきます。お腹のなかで赤ちゃんは子宮の形に合わせて頭を下にし、手足を縮める姿勢でいることが多いです。お腹をさわると赤ちゃんがお腹の中でどんな向きでいるかが分かるママもいるようです。
臓器はほぼ完成し、聴覚や骨も整ってきます。顔のパーツ1つひとつがはっきりしてきて目立つようになります。まぶたが上下分かれて、まばたきができるようになり、超音波(エコー)検査で見ると、まつ毛や髪の毛が見られることがあります。3D,4Dエコーにも適した時期でしょう。
妊娠31週目のうちにやっておきたいこと
里帰り出産と準備
里帰り出産を考えている場合は、妊娠30週前後から帰省する人もいるでしょう。赤ちゃんは予定日に必ず生まれるわけではないので、産院とのコミュニケーションをとり、安心して出産するためにこのくらいの時期に里帰りができるとよいですね。
電車、車、飛行機などで長時間かけて移動する人は、お腹が大きくなればなるほど身体に負担がかかります。特に飛行機は、気圧の変化などから体調が変わりやすいので、かかりつけの産婦人科医の意見も取り入れて帰省日を決めておくとよいでしょう。予定日が違づいている妊婦さんが飛行機に乗る場合には規定があったり、エコノミークラス症候群にも注意が必要になります。
しかし、仕事などでギリギリまで帰省できない妊婦さんもいるでしょう。なるべく広めの席を予約できるようチケットの手配などは早めの時期に済ませましょう。また移動中は身体を締めつけない楽な格好や、動きやすいように少なめの荷物をリュックにまとめて両手が自由に使えるように事前準備をしっかりすることが大事です。
逆子対策
妊娠31週ころにまだ逆子と診断されると心配になりますよね。近年は逆子が正常位置に戻らなければ帝王切開が打診されますが、産婦人科によっては帝王切開ができない病院もあります。
この時期に健診で逆子と診断されていても、臨月には自然と元の体位に戻る可能性がありますが、逆子体操を取り入れたり、外回転術を検討するよう促される場合があります。
外回転術は、医師がお腹に手を添えてお腹の外から赤ちゃんをぐるりと回転させ、逆子を正常な位置に戻す方法です。外回転術は必ず逆子が戻るというわけではなく、リスクも伴うので、お医者さんの説明をしっかり聞いた上で、やるかやらないかを判断するとよいでしょう。
胎児名をつける
胎児名とは、お腹のなかの赤ちゃんにつける名前です。ニックネームでもよいです。
お腹の赤ちゃんに胎児名で語りかけることで話しかけやすくなり、赤ちゃんをより身近感じたというママもいるようです。赤ちゃんはこの時期、ママの声が聞こえているので赤ちゃんがママの声を覚えることができるでしょう。
妊娠8ヶ月のである妊娠31週ころになったら、胎児名で呼んでみるのもよいかもしれませんね。
妊娠31週目の妊婦さんが注意すること
転ばないように注意
妊娠31週になるとお腹がだいぶ大きくなり、身体のバランスがとりにくくなるので転倒に注意が必要です。
人出の多い場所はなるべく控え、段差に気をつけて階段は手すりにつかまりながら上り下りするようにしたり、普段よりゆっくり行動するように心がけましょう。
強い光や音は避ける
妊娠31週のお腹のなかの赤ちゃんは、光をうっすら感じられるようになり、昼と夜の区別がつくようになっているので、強い光は赤ちゃんをびっくりさせてしまいます。また、聴覚が完成し、お腹のなかの赤ちゃんも音楽を楽しむことができます。
強い光や激しい音楽は避けて、音楽は心地よい大きさで聴くようにしましょう。
感染症に注意
風疹や腟炎、尿路感染症などの感染症はお腹のなかの赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。なかでも風疹は、パパも抗体があるのかを確認しましょう。もし、パパに抗体がない場合は予防接種を受けてもらいましょう。インフルエンザなど妊婦さんでも予防接種が受けられるものは予防接種を受けることが重要です。
妊娠中は人ごみをなるべく避け、どうしても人ごみへ外出するときは、マスクを着用したり、感染症にかかっている人との接触はしないようにする配慮が必要です。感染症は、生活習慣で防げることもあるので、規則正しい生活や栄養バランスのとれた食事を意識しましょう。
体重のコントロール
妊娠31週は、血液の増加量が最大になり、血圧が高くなります。もう少しすると、血液量も落ち着いてきますが、この時期に脂肪や糖質の多いものを食べ過ぎると妊娠高血圧症候群になる可能性もあるので要注意です。
栄養バランスがとれた食事を心がけ、体重が一気に増加しないように調整しましょう。
胎動の激しさに個人差のある時期
妊娠31週にあたる妊娠後期は、お腹のなかの赤ちゃんの体重が増加し、ママはお腹に圧迫感があったり、足元が見えづらくなるでしょう。妊娠31週ころになると、前駆陣痛を起こす妊婦さんもでてきます。
今まで激しいくらいに感じられていた胎動が減ったように感じて不安になるママもいるかもしれませんが、それはお腹のなかで赤ちゃんが大きくなっている証拠の場合がほとんどです。超音波(エコー)検査で見ると、丸みを帯びた赤ちゃんらしい形や表情が見られてうれしくなるかもしれませんよ。
成長しているお腹の赤ちゃんに胎児名をつけたり、コミュニケーションをたくさんとってみてください。きっと赤ちゃんにママの声が届いていますよ。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。