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【産婦人科医監修】妊娠30週目(妊娠8ヶ月)の妊婦さんと赤ちゃんの様子
妊娠8カ月は安定期?赤ちゃんの体重はどれくらい?
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
安定期といわれる妊娠中期が終わった妊娠8ヶ月の妊娠30週目は、ホルモンの影響を受けやすく情緒不安定になったり、トラブルも感じやすいかもしれません。妊娠30週の妊婦さんの体調や、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。
妊娠週数30週目とはどんな時期?
妊娠30週は週数でいうと、妊娠8ヶ月の3週目です。
妊娠8ヶ月は安定期といわれる妊娠中期をすぎた、妊娠後期にあたります。
妊娠30週目の妊婦さんの特徴
妊娠8ヶ月、妊娠30週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。
体調
女性ホルモンの影響で乳腺が発達し、胸が張ったり、痛みを感じることがあります。子宮が腸を圧迫することで便秘や痔になったり、ホルモンの関係で、胃もたれや胃のむかつきを感じることがあります。
ホルモンバランスが崩れるため、イライラしたり、情緒不安定になることが多くなる妊婦さんもいるかもしれません。
お腹の大きさ
子宮底は、おへそとみぞおちの中間まで上がってきています。お腹のなかで赤ちゃんがどんな姿勢でいるかが分かる人もいるでしょう。
妊娠30週目の妊婦さんの身体
ホルモンの影響で、胸や子宮が大きくなり、羊水量が増えるので妊婦さんのお腹はより大きくなります。妊娠30週になると、生理的なお腹の張りがよく起こるようになります。大きくなった子宮に血管が押されるため、血液の巡りが悪くなり、手足がむくみやすくなり、静脈瘤ができる人もいます。
お腹のなかの赤ちゃんの体重が増えることでママの体重も増えます。脂肪も増えるので、汗疹ができやすくなります。特に、下半身や脇の下に汗がたまりやすいので、かゆみが出る人もいるようです。
妊娠30週は、女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌がピークを迎えるので、おりものの量が増えます。1度落ち着いていたおりものが出産が近づくにつれて再び増えます。また、子宮付近の筋肉が緩み、膀胱を圧迫するので尿漏れが起こりやすくなります。
妊娠30週目の赤ちゃん
赤ちゃんの身体
妊娠30週の赤ちゃんの身長は、38㎝程度です。体重は平均で1300~1700gくらいになります。
自分で体温調節ができるようになり、眉毛やまつ毛までしっかり生えてきます。一方、全身の産毛は、薄くなってきます。
妊娠30週ごろの赤ちゃんは、身体がどんどん成長するため、お腹のなかで縦向きになり、身体を折り曲げてくつろいでいる状態です。超音波(エコー)検査では、赤ちゃんがゆったり身体を動かしている姿が見られるかもしれませんよ。
胎内での様子
心臓や肺などの内臓機能や脳などの中枢神経の機能が備わり、骨髄の働きもほとんど完成してきます。この時期、呼吸様運動ができるようになります。脳が著しく成長し、表面のしわのより具合が一層脳らしくなってきます。
また、五感が発達し、聴覚は外の音をはっきり聴き取ることができるくらいになります。五感の発達によって睡眠時間が長くなるのが特徴です。お腹のなかでの赤ちゃんの位置がある程度決まってくることもあり、この時期動きが以前に比べて少なくなるのが一般的です。赤ちゃんが呼吸様運動ができるようになるので、お腹のなかの赤ちゃんのしゃっくりを感じるなど胎動の感じ方が変わってくるかもしれません。
妊娠30週目のうちにやっておきたいこと
妊婦健診は経腟エコーに備えて
妊娠後期に入っても経腟エコー検査を複数回行うことが奨励されています。この妊娠30週目あたりに行われることが多いでしょう。
妊娠後期の経腟エコー検査では、胎児とママをつなぐ胎盤の位置を観察する検査が行われます。また、お腹の張りや出血など早産を疑う症状がある場合に、経腟エコーを使って子宮頸管の長さを測定します。
経腟エコーは、内診台にあがるので、パンツやショーツ、レギンスなどを脱いで検査をします。ワンピースにレギンスや、ゆったりしたロングスカートなどの格好だと露出を最小限に抑えられるでしょう。
この時期の健診は経腟エコーと経腹エコーの両方を行うことが多いので、ボトムのインナーが脱ぎ着しやすく、お腹を出しやすいトップスを選ぶとよいですよ。
妊娠線予防
妊娠8ヶ月の妊娠30週になると、お腹のなかの赤ちゃんがぐんと大きくなり、妊婦さんのお腹の皮膚が急激に伸びるので妊娠線ができやすくなります。
最も皮膚が伸びるお腹を中心に、妊娠することで胸や太ももなど脂肪がつく場所は妊娠線ができやすいです。妊娠線は1度できると消えにくいので、妊娠線専用のクリームやオイルでお風呂上りや乾燥を感じるときに、こまめにケアをすることが大事です。
尿漏れ対策
妊娠30週は、女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌が最も増えることや、子宮が大きくなって膀胱を圧迫するため、くしゃみや咳をした拍子に尿漏れを起こすことがあります。
こまめにトイレに行ったり、妊婦さん用の尿漏れパッドを活用して尿漏れ対策をしましょう。妊娠中は、骨盤付近の筋肉が緩んでいるので、骨盤周りの筋肉を鍛える体操を行うのもよいかもしれませんね。
里帰り出産の場合はこの時期までの帰省がおすすめ
里帰り出産を考えている場合は、妊娠30週くらいで帰省するのがおすすめです。赤ちゃんは予定日に必ず生まれるわけではないので、産院とのコミュニケーションをとって安心して出産するためにこのくらいの時期に里帰りができるとよいですね。
電車、車など長時間かけて移動する人は、お腹が大きくなればなるほどきつくなります。飛行機は、気圧の変化などから体調が変わりやすいので、予定日が近づいている妊婦さんが乗る場合には規定があります。エコノミー症候群にも注意が必要です。
しかし、仕事などでギリギリまで帰省できない妊婦さんもいるでしょう。その場合は、飛行機や電車の広めの席を前もって予約しておく、なるべく楽な格好で移動できるようにクッションの持ち込みや服装など、事前準備をしっかりすることが大事です。それでも妊娠35週までには移動をできるように今から準備をしておきましょう。
赤ちゃんとの生活をイメージしたインテリアづくり
妊娠8カ月の妊娠30週目に入ると、赤ちゃんが生まれたあとの生活を現実味をもって考え始める人も増えるでしょう。ベビーベッドの位置や赤ちゃんが過ごす部屋作りをしたり、ベビー用品を揃えるのも楽しい時間になりそうですね。
逆子対策
今まで逆子かもしれないといわれていた人も妊娠30週には、赤ちゃんの体位が元に戻ることが多いです。この時期に健診で逆子といわれたら、赤ちゃんがこれからもっと成長すると子宮のなかのスペースが狭くなり、自然に赤ちゃんが正常な位置に戻るのは難しくなるかもしれません。積極的に逆子体操を取り入れてみましょう。
妊娠30週目の妊婦さんが注意すること
皮膚を清潔に保つ
脂肪が増えて、下半身や脇の下に汗がたまりやすく、かゆみや汗疹ができる場合があります。一時的なかゆみであれば問題はありませんが、妊娠性皮膚搔痒のような症状が出たら病院できちんと診てもらいましょう。
妊娠中は、汗をかきやすいのでなるべく通気性のよい洋服を着たり、汗をかいたらこまめにタオルでふくなど皮膚を清潔に保つ工夫が必要です。
栄養バランスのとれた食事
お腹のなかの赤ちゃんのために意識して栄養を取ろうとする妊婦さんもいるかもしれません。しかし、体重が急激に増えると、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群を引き起こしたり、出産や産後のママの身体に影響が出ることがあります。
外食はなるべく避け、肉やお菓子など脂肪や糖分の多いものは量を意識して、栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。
適度に身体を動かす
妊娠8ヶ月になると、お腹がどんどん大きくなるので、運動量が減ってしまう人が多いでしょう。運動量が減ると、体重増加や妊娠糖尿病、妊娠高血圧症につながるかもしれません。ウォーキングや簡単な体操など適度に身体を動かすことは、運動不足の解消だけでなく、ママの気分もリフレッシュにもなります。買い物や犬の散歩など何か目的を持てるとよいですね。
身体を冷やさない
妊娠中は、ホルモンバランスや自律神経の乱れ、運動する機会が減り、筋肉量が落ちることなどで身体が普段より冷えやすくなっています。身体が冷えると、血液循環が滞ったり、むくみや尿漏れも起こりやすくなるなどのマイナートラブルも増えるでしょう。
室内でも靴下を履いたり、なるべく身体を覆う服装を心がけるなどして身体を冷やさない工夫が大切です。
マイナートラブルは赤ちゃんが成長している証拠
妊娠30週目は、お腹がますます大きくなり、ホルモンの分泌量もピークを迎えることで、むくみや尿漏れなどのマイナートラブルを感じやすくなる時期でしょう。胎動が前ほど感じられなくなるかもしれませんが、それは赤ちゃんが順調に大きくなっている証拠です。お腹のなかの赤ちゃんは、内臓機能や五感も育ってきています。
逆子や皮膚トラブルなど心配なことも増えるかもしれませんが、逆子体操や通気性の洋服を着るなどの対策を取り入れましょう。
もうすぐ赤ちゃんに会える喜びを感じながら、お腹のなかの赤ちゃんにたくさん語りかけてみてください。赤ちゃんの部屋作りや家中の家具のレイアウトを赤ちゃんとの生活のために変えるのも楽しいでしょう。赤ちゃんが生まれてからの生活をより実感できるかもしれませんよ。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。